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歯科技工士・岩澤 毅

網岡雄[016/016] 101 - 衆 - 社会労働委員会 - 19号 昭和59年06月28日

1984年06月28日 | 国会議事録
[016/016] 101 - 衆 - 社会労働委員会 - 19号
昭和59年06月28日

○有馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、健康保険法等の一都を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。網岡雄君。

○網岡委員 お許しをいただきまして、健康保険改正法案に関連をいたしまして、若干御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、この改正案が出されます前に、厚生省は、一月二十五日に社会保険審議会に本案を諮問されているわけでございますが、その際、同社会保険審議会が答申を出すに当たりまして、その冒頭の答申案の文書の中で触れておりますことは、従来のこの種の審議会の答申の前文といたしましては、かなり異例とも思えるような非常に強い調子で、遺憾の意を表しておみえに保なるわけでございますが、内容を言いますと、「更に、本年一月二十五日、健康保険制度等の改正について諮問を受けたところであるが、今回の改正案は、我が国の医療保険制度の根幹にかかわるものであり、慎重かつ広汎な検討を行う必要があるにもかかわらず、予算編成後の極めて限られた審議期間
で審議し、答申をとりまとめざるを得なかったことは、遺憾である。今後このようなことのないよう努められたい。」、こういう今までの答申の中では非常に異例とも思われるような強い調子で、遺憾の意が述べられておるのでございます。
 同時に、社会保障制度審議会がやはり答申をいたしておりますけれども、二月二十三日の答申案の内容を見ますと、三つの点が触れられております。
 その内容は、一つには「保険財政における収支のバランスのみにこだわった感があり、医療保険本来の趣旨に照らした検討が必ずしも十分になされたとは思われない。」ということが一つです。
 二つ目に保は、「本審議会は、これまで、今日の医療保険制度における問題の根本的原因は、医療に関する諸々の体制の整備、合理化を怠ったことにあることを指摘し、これら基本的諸問題の改革についての方向を示し、いくたびか対策を求めてきたが、政府は総合的展望を樹立しないまま推移し、そして、今回の改正に当たってもその点が明らかにされていない。」ということです。
 第三は、「国民の生活に大きな影響を及ぼしかねない内容を含むだけに、改革を進めるためには慎重でなければならないし、国民の理解と納得を得ることが肝要である。」ということで、この保険法についても、改正案についても慎重な審議を行うようにということが、暗に制度審議会においても述べられておるところでございますが、社会保険審議会における答申の遺憾の意の述べ方、さらに社会保障制度審議会で前文において三点にわたって述べておる点は、いずれも政府が、長年にわたって大きな問題を抱えてきているにもかかわらず、その医療制度の根本的な改革についてのメスが加えられないままに、一方、財政的な負担が増大をする、百十兆円に及ぶ赤字というものを抱えた中で、財政のつじつまを合わせるために急遽この法案を作成をし、対応してきたということについて、両審議会が遺憾の意を表しておるところでありますが、厚生大臣、この両審議会の答申の内容を見て、提案をされた責任者として今どういうお考えをお持ちになっているか、その所信をこの際お聞きをしたいと思います。

○渡部国務大臣 両審議会から、冒頭に、極めて短時間の審議の中で結論を迫られたという点の御不満があったというお話、これは私どももいろいろ今後のあり方について勉強させられたのでありますが、現在の毎年やっておる手順の中では、やはり政府の予算案というものが固まりませんと責任ある諮問というものができませんので、暮れに政府の予算案が決まってから私ども審議会に諮問するということで、それぞれ両審議会には、大変定まった期間の中で御審議をちょうだいするというハードな作業をしていただくことになって、これは大変恐縮であると考えております。
 また、今回の私どもが出した案が、これは制度の根幹の問題であり、また将来の医療保険についての基本的な大きな改革であることも御指摘のとおりでございます。
 先生御案内のように、今回の案の患者に一部御負担を願うという問題については、昭和四十年代から、この社会労働委員会でも幾たびか審議され、また各党の間でもいろいろ議論が闘わされ、そして、私の勉強した範囲では、厚生省は、その都度その都度小手先の改正というようなことでその場を取り繕うことでない、将来にわたっての抜本改正をやるべきでないかという御意見をちょうだいいたしておりますので、今回私どもは、長い間のそれぞれの皆さん方の御意見に従って、思い切った抜本改正、これをやっていただけることによって、二十一世紀の医療に対する展望が開かれていくという思い切った改革案をお願いしたわけでございます。
 また、先生御指摘の財政問題はいろいろ議論のあるところでございますが、私どもが今回お願いしておるこの改革案は、今申し上げましたように、四十年代からの先生方のいろいろな御議論を踏まえ、医療費が二十一世紀に向かって、今日まで毎年毎年増額をしておった、これがこのままでよいのか、また国民の皆さん方の負担がどの程度まで耐えられるかというようなことから、今回の改革によって負担と給付の公平化を図り、また医療費の適正化を図るために、今回の改革案を出して、今後保険料率を二十一世紀の将来に向かってまで上げないで済むような願いを込めて出したものでございます。
 先生御指摘のように、財政問題も関連なしとはいたしません。これは、私ども政府の立場で、予算を伴わない政策というものはないのでありますから、いかなる政策を我々がお願いする場合もそこに財政問題が関連することは当然でございまして、今日の経済成長はもう低成長で当分いくしかない、したがって、国家財政もかなり窮屈な中で今後我々は社会保障制度の基本を守っていかなければならない、そういう中で、今何私どもは改革案をお願いしているわけでございます。

○網岡委員 大臣からいろいろな点で述べられましたが、私は大臣の御答弁、一応聞いておきまして、きょうは健康保険法に対する各論の詰めをする委員会でございますから、具体的にひとつ詰めをしていきたいと思っております。
 答申の中にも出ておりますけれども、まず医療制度に対するもろもろの体制の合理化、これは大臣の御答弁にもございましたように古くから議論をされている問題でございますが、その中の一つの問題点といたしまして、今日の医療体制の中で薬づけになっている、こういう医療体制の矛盾というものが、これは随分長い間言われてきておるわけでございますけれども、政府もそれなりの対応はなさったということはわかります。しかし、その内容を見ますと、まだまだ薬価の問題についての政府の対応が、その矛盾にすべてメスを加えてしまっているということにはならないと思うのでございます。
 きょう私は、今までの委員会の中で余り触れられていない新薬の薬価の問題について、若干御質問を申し上げてまいりたいというふうに思います。
 新薬の収載は、業者から提出されましたならばできるだけ早く、こういうことになっているというふうに漏れ聞いておりますが、しかし、薬価の改定は中医協の決定、取り決めが年一回行われなければならない、こういうことになっておるにもかかわりませず、私は、五十六年からことしまでの薬価改定と新薬収載の関係について調べましたものを見ますと、まず、五十六年六月一日に、五十三年七月の調査に基づいて一八・六%の薬価の改定が行われました。続いて五十六年の九月一日にソロ収載が行われ、これは二千九百五十一品目という非常に多いソロ品目の収載が行われました。そして、問題の新薬収載は同じ日の五十六年九月一日に七十四品目が収載になっております。そして、同じ年の五十六年十二月二十八日に同じく新薬の収載が八十五品目にわたって行われております。そして、明くる年の五十七年八月十二日にはこれまた新薬が三十三品目収載になりまして、薬価の改定はようやく二年明けた五十八年の一月一日、ほんのちょっぴり四・九%の改定が行われ、そして、五十八年の二月三日にはまた新薬の収載が行われまして、六十一品目の収載が行われ、ことしに入りまして三月一日、薬価の改定が一六・六%行われました。そして、薬価の改定が行われましたすぐ後で、五十九年三月十七日に新薬の収載が百四品目にわたって、これは従来から見ますとかなり大幅な新薬の収載が行われておるわけでございますけれども、出されました。そして、五十九年の六月二日にはこれまたソロ品目の収載が何と千二百八十九品目にわたって行われているわけでございます。
 これを少し経過的に追ってみますと、五十六年から五十九年の三月十七日までを見ますと、薬価の改定は五十六年六月一日に一回、五十八月一月一日に一回、五十九年三月一日に一回生いうことで三回でございます。そして新薬の収載は、五十六年九月、五十六年十二月、そして五十七年の八月、五十八年の二月、そして五十九年の三月、五十五年の十二月を入れますと新薬収載は六回の収載
が行われているということでございます。
 そうなりますと、薬価の改定は三回で、そして新薬の収載は五十五年を含めますと六回。年二回ということが言われているそうでございますが、この点については三年ということで年限をはめますと、約束どおり一年に二回という新薬の改定は行われている勘定になるわけでございますが、しかし薬価の改定は、四年にまたがるわけでございますけれども三回しか行われていない。つまり、薬価の切り下げは一回省かれていますけれども、新薬の収載はきちっと約束どおり果たされているというところに、今行われている厚生省の薬価行政といいますかそういうものが、業者には甘く、そして医療の問題をじかに受ける国民の立場からいきますと、医療の矛盾を解決していくための施策というものが非常になおざりになっている、こういう感じがしてならないわけでございますが、この辺につきまして厚生省はどういうお考えをお持ちになっているか、お尋ねをしたいと思います。

○吉村政府委員 確かに、新薬の収載は私ども年二遍ということを原則にして収載を行っております。また、薬価の改定につきましては五十七年におきます中医協の御答申に基づきまして年一回は必ずやる、こういうことで五十八年、五十九年は年一回薬価基準の改正をやってまいっておるわけでございます。
 なぜそういう間隔といいますか回数の違いが生ずるか、こういうことでございますが、私ども、薬価の改定につきましては全品目を調査して薬価の改正をする、したがってかなり調査期間もかかりますし、その後の追跡調査等にも時間を要しますし、現在薬価基準に載っかっております薬の数、品目が約一万四千ぐらいでございます。したがって、一万四千についての品日につきまして価格をそれぞれ決めていくということにはかなりの時間がかかる、これはひとつ御了承賜りたいというように思います。それから新薬の方につきましては、これはまあ現在日本の製薬メー力ーも力がだんだんついてまいっておりまして、新薬の開発というものを製薬メー力ーの使命としていろいろ開発をしてきております。したがって、最近新薬の承認というものも数が多くなってきていることもこれは事実でございます。そしてやはり新薬を出せばその新薬について医療に適用する、そのためには薬価基準に収載をしなければならない、こういうことに相なるわけでありまして、私どもは、新医薬品を早く保険医療の中に取り入れ、そして国民の皆さん方に医療上の適用がされることを望んでおるわけでありまして、そういう観点から新薬につきましては一年に二回原則として登載をする、こういう方針で進んでおるわけでございます。何も薬価の引き下げは回数を少なくして、そして新薬の登載はてきぱきとやって、そういうことによってメーカーの便宜を図っておる、こういうことではございませんので、この点はひとつ御理解を賜りたい、こういうように思います。

○網岡委員 一つの考え方であると思うのでございますが、現実に新薬の収載で薬価が決定していきます際に、これはほとんど例外なしと言った方がいいと思うのでございますが、結局お手本の薬と比較しながら高いものに焦点を合わせて薬価が決まっているというのが、残念ながら今の新薬の決定の仕方でございます。その矛盾というものを私は具体的に出していきたいと思うのでございますが、今局長は、多少軌道修正をするという意味でおっしゃったように、国際価格を参考にしながら薬価を決める、あるいは収載が終わったらその後で用量などが拡大されたときにはその薬価について考慮する、検討する
というような項目が一応入っております、それはそれなりに新薬の薬価決定での一つの軌道修正の役割を果たしているというふうに私は評価はいたしますけれども、問題はそういうことが具体的にやられているかどうか、実物をはめて少し御質問を申し上げたいと思うのでございます。
 きょう委員長にお許しをいただきまして、資料をお配り申し上げました。これは、つい三月七日の日に薬価収載が行われました、まだでき上がったほやほやの新薬の薬価でございます。これは今局長が御答弁になりましたように、もう一つの軌道修正の目盛りであります外国薬価との比較がどうなっているかということで私が調査をいたしました結果、この表のように百四品目のうちで十二近くの薬を見たわけでございますが、いずれも日本の薬価に対してアメリカの薬価は、例えばβ-ブロッカーは三・四七倍でございます。アテノロールという薬は三・四二倍。イギリスヘまいりますと、マレイン酸チモロールに該当するものは五・一七倍、テノーミンという薬は四・五二倍というふうに、せっかくいい案が、外国薬価と比較して決めようということになっておるにもかかわらず、実際に決定されてまいりますとアメリカの三倍、イギリスの薬価の大体五倍近くになっている。そして、あとの薬を見ますと大体一・五倍近くの割で薬の値段がついているということから見ますと、新薬の薬価決定に基づく内規が決められたわけでございますが、果たして、その規則がきちっと守られていないということを私は感じざるを得ないわけでございます。
 例えばこの二つの品目でございますが、三・四倍、五倍近くの高い薬価がついたというのは一体どういう原因なのでございましょうか。そして、一つの目盛りとなっていた外国薬価などとは実際に合っていないのでございますが、これはどうしてでございましょうか。

○吉村政府委員 この三月に収載をいたしました新薬の価格にきまして私ども調べましたところ、確かに、先生御指摘のようなものがもちろんございます。ただ、私ども全体的に申し上げますと、今回薬価基準に登載をいたしました品目のうち、国際的に流通をしている品目が四十一品日ございます。その四十一品目のうちで日本が安い品目も十五品目あるわけでございます。全般的に日本が高い品目も十二品日ございます。今御指摘のβ-ブロッカーは日本が高い品目に属します。そして米、英、独、仏と比較しておりますので、アメリカと比べると安いけれどもドイツと比べると高いとか、あるいは逆にフランスと比べると安いけれどもイギリスと比べると高い、いろいろ日本の場合が高かったり安かったりする品目が十四品目あるのでございます。
 それで私ども、国際的に比較をする、こういうやり方ももちろんとっておるわけでありますが、物によっては国際比較をしない品目もあるわけでございまして、御指摘のβ-ブロッカーに属する薬につきましては、国際価格との比較ということではなしに類似薬効比較方式によって決定したものでございます。したがって、比較をした薬の価格が高かったがゆえにこういう高い価格に決定をされた、こういうことになる、御指摘のとおりでございます。

○網岡委員 今御答弁がありましたから、それでは次に移ります。
 新薬薬価に対してはもう一つの問題があります。それは、Aという薬を開発する場合に、その手本となるBという薬よりも、用量が半分でBと同じ薬効を持つ、こういうデータを出しまして、そして薬事審議会の審査を合格をいたしますと、結局一日量で倍になって計算されるものですから、そのもとの薬の二倍まではいきませんけれども、大体一・五倍から一・六倍、物によれば一・八位近くの薬価がついていく、こういうことで新薬の
薬価が引き上がっていくもう一つの要素をつくっているのでございます。
 具体的なことを申し上げませんとわかりませんから、私は一つ申し上げますけれども、例えばエフエム系の注射剤でセファメジンという薬がございます。これは当初二千九百六十円、今はもう千八百円くらいの薬価になっているようでございますが、これを手本にしてハンスポリンという薬が出されました。これはさっき申し上げましたようにセファメジンの半分でいい、こういうことになりまして、結局値段がついたのは四千七百六十五円、こういう値段がつきまして、もとの薬の約一倍半くらいの値段がついてクリアしたわけです。そして市場に出てくるようになりましたら、一年たたずしてそのセファメジンの使用量は大体一グラムから二グラム、こういうことで通常売られているわけでございますけれども、新薬の収載ができた直後は、このくだんのパンスポリンという薬は〇・五ないし一グラム、こういうことで表示がされていたのでございますが、一年たちますとたちまち用量が変わりまして、セファメジンと同じ用量の一グラムないし二グラム、こういうことでじゃんじゃん売られておるわけでございます。結局倍で薬が競り上がっている、こういう状況になっております。
 そこで、もう一つの軌道修正をする目盛りであります、収載が終わった後で用量が拡大をされた場合にはその時点で判断をして値段を検討するんだ、こういう一つの目盛りがあるわけでございますが、その目盛りが果たして守られているかどうかということを見ますと、今度の薬価で両者の関係を見ますと、セファメジンは千八百円、そしてパンスポリンは何と三千五百八十四円です。そうすると、その目盛りに合わせますと、最初になったときよりむしろ率が悪くなっているのですよ。最初のときはもとの薬から比較すると一六〇、ところが、今度薬価を改定して、これは見ていただけばわかりますが、千八百円と三千五百八十四月ですから一九九ということになるのですから、約二倍になってしまったわけです。そうすると基準に書いてあることとは全く違っているのじゃないですか。一体どういうことになっているのですか。ここに新薬決定のいろんなお題目は並んでおりますが、採用の際にはそれがだだ盛りになっている。これは私には、どこかで癒着しているのではないかということが疑われてならないわけでございます。こういう点について厚生省は一体どういう反省をし、先ほど言いましたように、比較というものが悪ければ場合によれば原価でいこう、原価でいかなければ国際比較でいこう、こういうふうに軌道修正をされるものがあるにもかかわらず全然守られていない。これでは医療費を少なくしよう、倹約しようと言ったってできるわけはないのですよ。こういう努力をやらずにおいて、そして審議会にもまともにかけずに、わずかの時間で審議を急がしてやって、そして健康保険の改悪をして、本人一割負担、二割負担ということを国民に押しつけるというやり方は、これは私は言語道断だというふうに思うのでございますが、いかがでございましょうか。

○吉村政府委員 薬価基準収載後に、今先生御指摘のように、例えば効能効果が違うとか、あるいは用法用量等の変更が行われた場合には薬価を修正する、こういう決めになっておるわけでございまして、私ども、本来迅速果敢にやるべきであるところをそれが遅延をしておる、こういうおしかりをこうむるような事態もあることはこれは私どもまことに申しわけない、こういうように思っておりますが、私ども、この原則によって、薬価の再算定と申しますか、そういうものを今後的確にやっていこうと思います。
 ただ、一たん新薬も流通過程に入りますと、やはりそれなりの市場価格を形成をしていくわけでございまして、そういう段階に入りますならば、新薬の価格を決定した時点の原則から離れて、市場価格主義の方に変わっていく、こういうことに相なるわけでございます。
 今御指摘のセファメジンとパンスポリンの価格上のアンバランスが非常に拡大しておるではないか、こういう御指摘がございましたが、これは恐らく、現在用法用量の変更が行われて、薬価の再算定をいたします場合におきましても、市場価格、パンスポリンが市場で幾らで売られておるか、セファメジンが市場で幾らで売られておるか、そういう価格を調査してこういう価格になったのではないか、こういうように考えておるわけでありまして、市場価格がそうであれば、私どもその市場価格に従って決めるべきではないか、こういうことで、例えばセファメジンとパンスポリンの価格の差が当初は一・六倍であったものが現在では一・九九、まあ二倍になっておるではないか、こういう御指摘でございますが、それはセファメジンが非常に下がればそういうことになる場合もあるわけでございます。別にパンスポリンの価格設定がおかしい、こういうこともあるかもしれませんが、セファメジンの価格が下がればパンスポリンとの価格比較というのは格差が広がっていく、こういうことになる場合もあるわけでありまして、市場価格に従って私どもはこの価格を現在においては算定をした、こういう結果今申しましたような姿になっておるのだろう、こういうように考えておる次第でございます。

○網岡委員 市場価格はだれがつくっているかと言ったら、これは厚生省ですよ。薬価を決めていくわけでしょう、薬価を決めて、そしてその値段をやっていくわけですから、市場価格は実際は厚生省じゃないですか。これはきょうはやりませんけれども、薬の値段だけは大体メーカー、卸、小売となってだんだん上がっていくのですよ。薬だけはメーカーの段階から下へ行くほど下がるのですよ。この仕組みというのはどこがもとかと言えば、薬事審議会、そして厚生省じゃないですか。そこがやっていくのですよ。だから、厚生省がさっき言った三つの目盛りで修正をするということで腹をくくったら、幾らでもこれは市場価格というのはそこで決まっていくのですよ。極端に言えば局長の手の中にあるのですよ、これは。やれるのですよ、それは。それをやらないだけの話じゃないですか。そして、収載が決まってから既に十年近くたっているのですよ。そして、用量は前の薬と同様の一グラムと二グラムになっちゃっているじゃないですか。そうだったら、薬価を下げるということであるならば、千八百円という手本の薬に合わして同額ということがひどければ、二百円ぐらいの差をつけて二千円にするとかいうところが、せっかくつくった基準を生かすという方法じゃないでしょうか。これじゃ薬価を、総体的には低くなっていますけれども、実際は高くすることに操っているということを言ったってこれは過言じゃございません。どうですか。





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