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歯科技工士・岩澤 毅

医療再生は可能か (ちくま新書 717) (新書) 川渕 孝一 (著)

2008年04月27日 | amazon.co.jp・リストマニア
医療崩壊本ブームから再生のシナリオ提示, 2008/4/27

By 歯職人

 現場の医療提供者から現在の医療崩壊の報告本の出版が相次いでいるが、本書は医療経済・医療政策・医療経営学者からの医療崩壊点描と経済側面からの報告、視点を変えた再生のシナリオである。

 「第1部 誰も幸せにならない医療システム」により、現在の日本の医療崩壊状況が点描される。

 「第2部 健全な医療財政のための提言」が、著者の提言の真髄と言える。著者は、自身が試みる『医療の「見える化」』を中心においている。

 著者が本書の最後に「あとがきに代えて」で提示する策は、結局「本格的少子化対策」に収斂されていく。その具体例は、不妊治療に対する保険適用であり、「こうのとりのゆりかご」の全国設置であり、有給休暇・休職に「不妊治療」を加えることである。

 本書により、人口構成の変化・高齢化社会においては、医療・年金・介護を、「共助」「公助」「自助」によりバランス良く支えることの困難性が逆に浮き彫りにされたと言えよう。


(イリョウサイセイハカノウカチクマシンショ )
ちくま新書
医療再生は可能か
ISBN:9784480064226 (4480064222)
221p 18cm
筑摩書房 (2008-04-10出版)

・川渕 孝一【著】
[新書 判] NDC分類:498.13 販売価:735(税込) (本体価:700)

いまや瀕死にあえぐ日本の医療制度。
少子・高齢化で膨らむ医療費を抑制しようと制度改革を繰り出す政府、薄利多売の過重労働から病院を逃げ出す医師たち、必要な医療が受けられず難民化する患者、払えなくなった保険料を放棄する国民。
日本の医療システムを救う道はあるのだろうか。
本書では、現実と乖離してしまったシステムの問題点を整理、もっと効率よく質の高い医療を実現するにはどうしたらいいのか、主に「医療費」の側面から提言する。

第1部 誰も幸せにならない医療システム(医師不足のからくり;努力する者が報われない日本の診療報酬;国は一体何をしているのか;医療格差の現状と課題;患者が日本の病院を見捨てる日)

第2部 健全な医療財政のための提言(公的医療保険でどこまで面倒を見るのか;後期高齢者医療制度に必要な三つのヒント;まだまだ医療費は削減できる!?;医療の「見える化」をめざして)


川渕孝一[カワブチコウイチ]
1959年富山県生まれ。一橋大学商学部卒業。シカゴ大学経営大学院修士課程修了(MBA)。民間病院・企業勤務の後、旧厚生省国立医療・病院管理研究所(現・国立保健医療科学院)勤務、日本福祉大学経済学部教授、日医総研主席研究員、経済産業研究所ファカルティフェローなどを経て、東京医科歯科大学大学院教授。スタンフォード大学客員研究員兼務。専門は、医療経済学、医療政策、医業経営(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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