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歯科技工士・岩澤 毅

実務派トップが課題解決に着手/公益社団法人 日本歯科技工士会 杉岡範明会長に聞く

2014年08月10日 | 森元主税


『月刊歯科医療経済』8月号 

Top Interview

実務派トップが課題解決に着手

公益社団法人 日本歯科技工士会 杉岡 範明会長に聞く


 本年6月21日、日本歯科技工士会(以下、「日技」)杉岡範明新会長が誕生した。杉岡氏は日技が2012年以降取り組んできた中長期総合計画〝日技新発展『7』プラン〟構築を推進し、歯科技工界における長年の懸案を具体的な政策の中に位置づけた実務派リーダーである。その杉岡氏に今後の活動方針と達成目標、歯科技工の将来展望を伺った。

杉岡 範明/すぎおか のりあき

1955年生まれ
1978年 岩手医科大学歯科技工専門学校 卒業
1989年 北海道デンタル・システム開業
2007年 公益社団法人北海道歯科技工士会 会長
2014年 公益社団法人日本歯科技工士会 会長
    



新執行部の活動方針

 良好な歯科技工経済を会員が求めていることは間違いありません。具体的には製作技工相当分の費用が製作担当者の手に届くことが重要であり、その実現に取り組むのが日技の役割ということになります。

 そのために行政に働きかけ、必要に応じて日技連盟が政治マターで活動して目的の達成を目指すわけですが、十分とは言えない組織力や財源を補うものが日技の社会的な存在意義であると考えています。中長期総合計画〝日技新発展『7』プラン〟は、日技の存在意義を高めるためのものと考えていただければ良いでしょう。活動の目標は「国民に信頼され尊敬される組織の実現」ということになります。

 この計画は7つの基本戦略と38の具体的施策で構成されています。重点項目は、会員から要望の高い生涯研修の充実、組織拡充対策における女性歯科技工士および新卒者への働きかけ、制度上の課題への取組みなどです。特に近年、女性が半数近くを占める養成校が珍しくないにも関わらず、本会の女性会員は約6%となっています。対策として女性歯科技工士対策委員会を立ち上げ、検討を進めているところです。

 制度においては、まずハード面で歯科技工所の構造設備基準の徹底と新たな評価基準の構築、次にソフト面では日技生涯研修の受講を担保とする「歯科技工所管理者資格制度」を設け、ラボを適正に運用するために必要な資質を示したいと考えています。

 38の施策はすべて現在の業務に落とし込む形で具体化することとしました(表1)。一方、対外的な最大の課題は歯科技工士の修業年限の延長です。このほか、社会的地位の向上、教育の高度化、環境整備等に関わる提言を行う「総合政策審議会」を設置し、歯科大学の教育関係者の招聘も予定しています。

 その他、県技の事務代行やペーパーレス化など、細かい内容についても実務レベルで具体的に改善を進めます。

目標設定

 『7』プランは6年間をかけて実行し、2020年を目標に新しい組織の価値を見出したいと考えています。優先順位については表1に示す通り、すでに複数項目に着手していますが、年内にはすべての項目の工程表を示す予定です。また、組織拡充対策では常に入会のメリットが問われますが、活動を充実して新たな価値を創設し、〝自ら加わりたくなる組織〟を目指したいと思います。

 具体的な組織拡充目標は、女性会員の入会率(6・3%)を2倍に、新卒者の入会者数を今年の2倍にしたいと考えています。今春、大阪府技に89名の新卒者が入会し、全国では115名が新会員になりました。大阪府技における養成校との密接な連携や東京都技の無料登録制度等を参考に、積極的に進めていきたいと思います。

将来展望

 現在注目しているのは、新たに保険収載されたCAD/CAM冠の動向で、今後の歯科技工のあり方に大きく関わるものと考えています。ただし、歯科技工士がコンピュータのオペレーターになるというわけではありません。教育の充実によって資質の向上を図り、時代の変化に対応できる歯科技工士を多く養成していくことが進むべき方向と考えています。日技組織が専門職としての地位を維持・向上させていくことが必要となるでしょう。そのためには歯科技工資格者の就業実態や歯科技工所の運営状況などを正確に把握することが、行政と折衝していく上では重要な課題となります。こうした問題を改善していくことも日技の大きな存在意義であることを、広く認識していただければと思います。


http://www.shien.co.jp/act/d.do?id=13344

月刊 『歯科医療経済』 2014年8月号発刊

◆ 特集/歯科医師需給問題を考える(後)
  歯科の勤務医が求められる職場と業務
◇ 本当に日本の歯科医師は過剰なのか?
  世界の歯科医師の需給状況
  ―――東京医科歯科大学教授・川渕 孝一
◇ 求人・求職市場の最新動向
  増加する非常勤・訪問診療業務希望者
  求められる長期の雇用づくり
  ―――(株)リアル・木下 和彦
◇ 高齢社会で高まる需要、病院歯科で働くということ
  ―――大矩 素紀
◇ 歯科医師過剰は本当か? 歯科医師が果たすべき新たな役割
  ―――松本歯科大学教授 ・ 田口 明

◆ インタビュー
実務派トップが課題解決に着手
―――公益社団法人)日本歯科技工士会・杉岡 範明 会長


◆ Monthly Topics
◇ 会員数数年ぶりに65000名超える/日本歯科医師会
◇ スポーツサイエンスセンター長として室伏広治氏を教授に招へい/東京医科歯科大学
◇ 公認スポーツデンティスト養成講習会が始まる/日本体育協会・日本歯科医師会
◇ 「白い恋人」の石屋製菓(株)の石水創代社長が講演/日本歯科医療管理学会
◇ 明海大学とジェフユナイテッド(株)が連携協力に関する協定を締結
◇ 日本歯科心身医学会、厚生労働省 ほか

◆ 巻末カラー
◇ 現役歯科美女図鑑/石原 祥世さん、中村 久美子さん、冨田 佳代子さん
◇ アラデン Culture Club/「ピアノ」 冨山 雅史 氏
◇ 他業界の展示会/GIFEX WORLD 2014 ヘルス&ビューティグッズ展
◇ ようじ先生の復興日記/及川 陽次

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