176 - 衆 - 文部科学委員会 - 2号
平成22年10月27日
○川口(浩)委員 次は、需給問題についてお尋ねをします。
まず、医師数の不足解消のために、現在、医学部の学生数を増員して対応している状況について質問をさせていただきます。
医師不足が叫ばれておりますが、その一方、原因は、医師の地域の偏在、診療科目の偏在が問題であるとの御指摘もあります。また、医学部の新設は、法科大学院、そして、過剰が指摘されております私ども歯科医師と同じ状況を招くという懸念もございます。平成二十年度から医学部の定員増が行われてきており、先日の発表では、来年度も九十名程度の増員が見込まれるということですので、来年度以降も毎年千三百人を超える入学定員増が行われるということになります。これは、学校にしてみれば十校から十三校分になるのではないかと思います。
医師不足対策としての定員増は、研究枠、地域枠そして歯学部からの定員振りかえ枠で対応しつつ様子を見ることとし、むしろ、偏在対策や医師派遣のシステムに力を入れる時期に来ているのではないかと考えます。
このような中、医学部の新設が認められるかのような報道もなされてはおりますが、たしか、過去に二度の閣議決定で医学部、医科大の新設はしない方針が打ち出されているはずでございます。この医学部新設は認めないという方針は現在も変更されていないとの認識で間違いないのでしょうか。
医学部新設に対してどのように考えているのか、文部科学大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○高木国務大臣 歯科医師の立場から、かなり詳しい現場の状況についてもお話がございました。
今お話がありました件については、医学部の新設の件でございます。今の深刻な医師不足に対応するためには、政府の医師確保対策に基づきまして、平成二十年度より医学部の入学定員の増員を図ってきております。来年度につきましても、厚生労働省の必要医師数実態調査の結果や新成長戦略、これは平成二十二年六月十八日閣議決定をされておりますが、これらを踏まえて、今年度と同様の枠組みで増員を図る予定であります。
医学部の新設につきましては、閣議決定、これは昭和五十七年でございますが、抑制方針がございます。これに基づき約三十年前から認められておらずに、医療界、大学関係者にもさまざまな意見があると私は承知をいたしております。
いずれにいたしましても、本件については、今後の医師養成に関する取り組みについて検討する中で、さまざまな御意見を伺って、厚生労働省の調査の分析や、あるいは医療提供体制に係るグランドデザイン、この論議を見据えながら慎重に検討してまいりたいと考えております。
○川口(浩)委員 一方で歯科医師の需給問題がございまして、現在、一律二八%の入学定員の削減を推進されておりますが、国民から信頼される確かな臨床能力を備えた歯科医師を養成するためには、将来的な統廃合も視野に入れつつ、すぐれた入学者確保が困難な大学、国家試験合格率の低い大学などの定員見直しが必要ではないでしょうか。
そこでまずは、すぐにできることとして、一律の削減ではなく、調査結果を国民の皆様方に幅広く公開し、国民目線に立った解決策を早期に打ち出すべきと考えますが、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
○高木国務大臣 歯学部の入学定員につきましては、昭和五十七年の閣議決定を受けまして、ピーク時の昭和六十年度と比較しまして二八%削減を目標に、平成二十二年度までに二二・八%減の七百六十九名の削減を図ってきました。
さらに、確かな臨床能力を備えた歯科医師を養成するためには、今の歯学教育という観点から、平成二十年の七月には、歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議を立ち上げております。平成二十一年一月には、入学定員を充足できない歯学部等については入学定員の見直しを検討することを提言する、第一次の報告を取りまとめられたところでございます。
私どもは、これを受けまして、今後、第一次報告の対応状況に関するフォローアップを行いたいと思います。今年度末を目途に、その結果を、御指摘ありましたように、国民に公表する予定であります。
文部科学省といたしましては、大学間での入学定員の充足率あるいは国家試験の合格率に格差が生じている状況を踏まえ、質の高い歯科医師養成の観点から、個々の大学に応じた入学定員減への対応を促してまいりたいと思っております。
○川口(浩)委員 この問題は、長年言われておりますが、なかなか解決のめどがつきにくい問題でございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。
最後に、ネグレクトの問題について若干お尋ねをさせていただきます。
長年にわたり学校医として歯科健診に携わってきた経験から、児童虐待を早期に発見するのは歯科医師の役割だと常日ごろ思っておりました。私の診療所でも、親の脱いだスリッパを素早く片づける子供とか、全く子供に話をさせない親が訪れた際には、ちょっと注意をして観察をしております。
平成十四年に東京都の児童相談所、乳児院に措置されました虐待児百四十七名について歯科健診を行いましたところ、一般児に比べ、二歳児の平均虫歯数は七倍、十一歳では二・七倍でした。特に治療率が低かったとの報告があります。一方、ある調査では、虐待の疑いがある子供を診た経験を持つ歯科医のうち、通報に至ったのは一割弱との報告もございます。
原因の一つには、児童虐待防止法に歯科医の文言が明記されていないため、通報するべきとの思いに至らず、疑念を抱きつつも通報をしないのではないかと考えます。
歯科医が、児童虐待、特にネグレクトの早期発見に果たす役割は大きいと感じております。歯科医師会との連携を図り、また、児童虐待防止法等の改正にてその重要性を訴えてまいりたいと思っておりますが、だれもが平等に教育を受ける権利を有する、未来ある子供たちの虐待を未然に防ぐための教育政策について、文部科学大臣のお考えをお聞かせいただきます。
○高木国務大臣 まず、子供たちの虐待を防止するための学校における対応につきましては、まず一番目に、学校の教職員は、職務上児童虐待を発見しやすい立場にあることから、その早期発見、対応に努める必要があります。児童虐待の疑いがある場合には、確証がないときであっても、早期発見の観点から児童相談所等の関係機関へ通告すること、これがまず第一。
二つ目には、児童虐待に係る通告を行った児童生徒について、通告後に、市町村または児童相談所に対して出欠状況等の定期的な情報提供の適切な運用に努めるとともに、新たな虐待の兆候や状況の変化等を把握したときは適宜適切に情報提供または通告をすること、これについては、ことし三月二十四日に文部科学大臣政務官通知を出しておるところでございます。
特に、先生御指摘のように、改めて学校歯科医の役割を認識をしております。健康診断等において口腔の疾病、異常の有無を検査しており、例えば口腔内に不自然な外傷があるかないか、こういったものをチェックをするなど、虐待の早期発見に努めるなどの取り組みを行っておるところでございます。
私どもとしましては、学校及び学校の教職員の果たすべき役割は極めて大だと思っております。これまでも、教職員用の研修教材「児童虐待防止と学校」のCDを作成をいたしまして配付するなど、取り組んでおります。
今後とも、関係機関の連携を強化しつつ、学校における児童虐待防止の取り組みの向上を図ってまいりたいと思います。
○川口(浩)委員 この問題はなかなか根が深い部分がございますので、ひとつよろしく御指導をお願い申し上げます。
最後に、平成二十二年四月三十日に医政局長から都道府県知事あてに出ております「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」という通達の中に、薬剤師、リハビリテーション関係職種、管理栄養士、臨床工学技士、診療放射線技師以外の、「医療スタッフ以外の職種(歯科医師、看護職員、歯科衛生士、臨床検査技士、介護職員等)」と明記されております。
これは、歯科医師、歯科衛生士は医療スタッフではないという誤解を受ける内容であり、各医療機関の連携とともにチーム医療を推進していこうとしている歯科界にとってはちょっと納得できかねる内容でございますので、早急に訂正を御検討いただけるようにお願いをさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
平成22年10月27日
○川口(浩)委員 次は、需給問題についてお尋ねをします。
まず、医師数の不足解消のために、現在、医学部の学生数を増員して対応している状況について質問をさせていただきます。
医師不足が叫ばれておりますが、その一方、原因は、医師の地域の偏在、診療科目の偏在が問題であるとの御指摘もあります。また、医学部の新設は、法科大学院、そして、過剰が指摘されております私ども歯科医師と同じ状況を招くという懸念もございます。平成二十年度から医学部の定員増が行われてきており、先日の発表では、来年度も九十名程度の増員が見込まれるということですので、来年度以降も毎年千三百人を超える入学定員増が行われるということになります。これは、学校にしてみれば十校から十三校分になるのではないかと思います。
医師不足対策としての定員増は、研究枠、地域枠そして歯学部からの定員振りかえ枠で対応しつつ様子を見ることとし、むしろ、偏在対策や医師派遣のシステムに力を入れる時期に来ているのではないかと考えます。
このような中、医学部の新設が認められるかのような報道もなされてはおりますが、たしか、過去に二度の閣議決定で医学部、医科大の新設はしない方針が打ち出されているはずでございます。この医学部新設は認めないという方針は現在も変更されていないとの認識で間違いないのでしょうか。
医学部新設に対してどのように考えているのか、文部科学大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○高木国務大臣 歯科医師の立場から、かなり詳しい現場の状況についてもお話がございました。
今お話がありました件については、医学部の新設の件でございます。今の深刻な医師不足に対応するためには、政府の医師確保対策に基づきまして、平成二十年度より医学部の入学定員の増員を図ってきております。来年度につきましても、厚生労働省の必要医師数実態調査の結果や新成長戦略、これは平成二十二年六月十八日閣議決定をされておりますが、これらを踏まえて、今年度と同様の枠組みで増員を図る予定であります。
医学部の新設につきましては、閣議決定、これは昭和五十七年でございますが、抑制方針がございます。これに基づき約三十年前から認められておらずに、医療界、大学関係者にもさまざまな意見があると私は承知をいたしております。
いずれにいたしましても、本件については、今後の医師養成に関する取り組みについて検討する中で、さまざまな御意見を伺って、厚生労働省の調査の分析や、あるいは医療提供体制に係るグランドデザイン、この論議を見据えながら慎重に検討してまいりたいと考えております。
○川口(浩)委員 一方で歯科医師の需給問題がございまして、現在、一律二八%の入学定員の削減を推進されておりますが、国民から信頼される確かな臨床能力を備えた歯科医師を養成するためには、将来的な統廃合も視野に入れつつ、すぐれた入学者確保が困難な大学、国家試験合格率の低い大学などの定員見直しが必要ではないでしょうか。
そこでまずは、すぐにできることとして、一律の削減ではなく、調査結果を国民の皆様方に幅広く公開し、国民目線に立った解決策を早期に打ち出すべきと考えますが、大臣のお考えをお聞かせいただけますか。
○高木国務大臣 歯学部の入学定員につきましては、昭和五十七年の閣議決定を受けまして、ピーク時の昭和六十年度と比較しまして二八%削減を目標に、平成二十二年度までに二二・八%減の七百六十九名の削減を図ってきました。
さらに、確かな臨床能力を備えた歯科医師を養成するためには、今の歯学教育という観点から、平成二十年の七月には、歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議を立ち上げております。平成二十一年一月には、入学定員を充足できない歯学部等については入学定員の見直しを検討することを提言する、第一次の報告を取りまとめられたところでございます。
私どもは、これを受けまして、今後、第一次報告の対応状況に関するフォローアップを行いたいと思います。今年度末を目途に、その結果を、御指摘ありましたように、国民に公表する予定であります。
文部科学省といたしましては、大学間での入学定員の充足率あるいは国家試験の合格率に格差が生じている状況を踏まえ、質の高い歯科医師養成の観点から、個々の大学に応じた入学定員減への対応を促してまいりたいと思っております。
○川口(浩)委員 この問題は、長年言われておりますが、なかなか解決のめどがつきにくい問題でございますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。
最後に、ネグレクトの問題について若干お尋ねをさせていただきます。
長年にわたり学校医として歯科健診に携わってきた経験から、児童虐待を早期に発見するのは歯科医師の役割だと常日ごろ思っておりました。私の診療所でも、親の脱いだスリッパを素早く片づける子供とか、全く子供に話をさせない親が訪れた際には、ちょっと注意をして観察をしております。
平成十四年に東京都の児童相談所、乳児院に措置されました虐待児百四十七名について歯科健診を行いましたところ、一般児に比べ、二歳児の平均虫歯数は七倍、十一歳では二・七倍でした。特に治療率が低かったとの報告があります。一方、ある調査では、虐待の疑いがある子供を診た経験を持つ歯科医のうち、通報に至ったのは一割弱との報告もございます。
原因の一つには、児童虐待防止法に歯科医の文言が明記されていないため、通報するべきとの思いに至らず、疑念を抱きつつも通報をしないのではないかと考えます。
歯科医が、児童虐待、特にネグレクトの早期発見に果たす役割は大きいと感じております。歯科医師会との連携を図り、また、児童虐待防止法等の改正にてその重要性を訴えてまいりたいと思っておりますが、だれもが平等に教育を受ける権利を有する、未来ある子供たちの虐待を未然に防ぐための教育政策について、文部科学大臣のお考えをお聞かせいただきます。
○高木国務大臣 まず、子供たちの虐待を防止するための学校における対応につきましては、まず一番目に、学校の教職員は、職務上児童虐待を発見しやすい立場にあることから、その早期発見、対応に努める必要があります。児童虐待の疑いがある場合には、確証がないときであっても、早期発見の観点から児童相談所等の関係機関へ通告すること、これがまず第一。
二つ目には、児童虐待に係る通告を行った児童生徒について、通告後に、市町村または児童相談所に対して出欠状況等の定期的な情報提供の適切な運用に努めるとともに、新たな虐待の兆候や状況の変化等を把握したときは適宜適切に情報提供または通告をすること、これについては、ことし三月二十四日に文部科学大臣政務官通知を出しておるところでございます。
特に、先生御指摘のように、改めて学校歯科医の役割を認識をしております。健康診断等において口腔の疾病、異常の有無を検査しており、例えば口腔内に不自然な外傷があるかないか、こういったものをチェックをするなど、虐待の早期発見に努めるなどの取り組みを行っておるところでございます。
私どもとしましては、学校及び学校の教職員の果たすべき役割は極めて大だと思っております。これまでも、教職員用の研修教材「児童虐待防止と学校」のCDを作成をいたしまして配付するなど、取り組んでおります。
今後とも、関係機関の連携を強化しつつ、学校における児童虐待防止の取り組みの向上を図ってまいりたいと思います。
○川口(浩)委員 この問題はなかなか根が深い部分がございますので、ひとつよろしく御指導をお願い申し上げます。
最後に、平成二十二年四月三十日に医政局長から都道府県知事あてに出ております「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」という通達の中に、薬剤師、リハビリテーション関係職種、管理栄養士、臨床工学技士、診療放射線技師以外の、「医療スタッフ以外の職種(歯科医師、看護職員、歯科衛生士、臨床検査技士、介護職員等)」と明記されております。
これは、歯科医師、歯科衛生士は医療スタッフではないという誤解を受ける内容であり、各医療機関の連携とともにチーム医療を推進していこうとしている歯科界にとってはちょっと納得できかねる内容でございますので、早急に訂正を御検討いただけるようにお願いをさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。