宮台から見た「私の好きな論点の日本」」, 2010/10/14
By 歯職人
宮台が新書を出し、新たな読者層の前に登場した。
本書は宮台真司が、新書ではじめて宮台と出会う読者層を挑発しかつ持論の日本社会分析を述べた一冊との位置付けだろうか。
新たな読者は、「第2章 教育をどうするのか」に記述される以下の文字列に対した時、その感性と耐性を試されるだろう。
「僕は、東大経済学部や東大法学部の首席の人たちを何人か知っています。興味深いのは、そういうレベルの人たちになると、多くがパブリックマインドに溢れていることです。実はこのことは、1987年から91年まで東大助手を務めた後、92年から96年まで東大非常勤講師をしたときに気付きました。/各学部の極端な成績優秀者たちは、授業後も極めて積極的に質問しにやってくるだけでなく、そこで多くが公共的関心を表明するのです。分かりやすく言えば、首席クラスの学生たちには「浅ましい印象」を与える輩が少ないのです。先の早期教育との絡みでも、これは面白いヒントになります。/彼らを見ながら、僕なりに仮説を立てました。どういう仮説かと言いますと、こういうレベルの連中になると、「実際には負けがちな勝ちたがり」とは違って自分がある程度スゴイ奴であることは分かっていますから、その上の「本当にスゴイ奴」になりたがっているのではないか、というものです。」(P.90から)
宮台は「ぬけぬけ」と「軽やかに」そして「悪びれることもなく」一見難解に、宮台節を奏でる。
本書は、宮台が規定する「社会の底が抜けた時代」に、「社会の底の抜け具合」を観察するメジャーを読者に提供する一冊です。宮台に興味を持ち、一度宮台節をお聞きになりたい方にとって敷居の低い入門書です。
偽装フラット社会に当惑し右往左往する貴方にお勧めです。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4344981219/ref=cm_cr_mts_prod_img
ニホンノナンテン ゲントウシャシンショ
幻冬舎新書
日本の難点
宮台 真司【著】
幻冬舎 (2009/04/15 出版)
286p / 18×11cm
ISBN: 9784344981218
NDC分類: 304
価格: ¥840 (税込)
詳細
現代とは「社会の底が抜けた時代」である。
相対主義の時代が終わり、すべての境界線があやふやで恣意的な時代となっている。
そのデタラメさを自覚した上で、なぜ社会と現実へコミットメント(深い関わり)していかなければならないのか。
本書は、最先端の人文知の成果を総動員して、生きていくのに必要な「評価の物差し」を指し示すべく、「現状→背景→処方箋」の3段ステップで完全解説した「宮台版・日本の論点」である。
第1章 人間関係はどうなるのか―コミュニケーション論・メディア論(若者のコミュニケーションはフラット化したか;ケータイ小説的―コンテンツ消費はどのように変わったのか ほか)
第2章 教育をどうするのか―若者論・教育論(「いじめ」は本当に決してなくせないのか;「ネットいじめ」「学校裏サイト」から子どもを守れるか ほか)
第3章 「幸福」とは、どういうことなのか―幸福論(「自分だけ幸せならそれでいい」のか;自己決定論の現在―「宮台真司」の主張は以前と今で矛盾しているか ほか)
第4章 アメリカはどうなっているのか―米国論(オバマ大統領の演説は一体どこがすごいのか;どうして、アメリカは大統領制なのか ほか)
第5章 日本をどうするのか―日本論(後期高齢者医療制度は現代の「うば捨て山」か;裁判員制度―司法の民主化か、新しい動員体制か ほか)
この本だけで、現代を生きていくのに必要不可欠な急所(クリティカルポイント)がわかるように、考えに考え抜きました。これ以上はあり得ないというほど、噛み砕いて書かれています。通読すれば眩暈がするでしょうが、それは圧倒的情報量による眩暈ではなく、<社会>の複雑さによる眩暈でしょう。はじめての新書を「救国の書」として書き下ろしました。─
著者 著者紹介
宮台真司[ミヤダイシンジ]
1959年宮城県生まれ。社会学者、評論家。首都大学東京教授。公共政策プラットフォーム研究評議員。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了(社会学博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
By 歯職人
宮台が新書を出し、新たな読者層の前に登場した。
本書は宮台真司が、新書ではじめて宮台と出会う読者層を挑発しかつ持論の日本社会分析を述べた一冊との位置付けだろうか。
新たな読者は、「第2章 教育をどうするのか」に記述される以下の文字列に対した時、その感性と耐性を試されるだろう。
「僕は、東大経済学部や東大法学部の首席の人たちを何人か知っています。興味深いのは、そういうレベルの人たちになると、多くがパブリックマインドに溢れていることです。実はこのことは、1987年から91年まで東大助手を務めた後、92年から96年まで東大非常勤講師をしたときに気付きました。/各学部の極端な成績優秀者たちは、授業後も極めて積極的に質問しにやってくるだけでなく、そこで多くが公共的関心を表明するのです。分かりやすく言えば、首席クラスの学生たちには「浅ましい印象」を与える輩が少ないのです。先の早期教育との絡みでも、これは面白いヒントになります。/彼らを見ながら、僕なりに仮説を立てました。どういう仮説かと言いますと、こういうレベルの連中になると、「実際には負けがちな勝ちたがり」とは違って自分がある程度スゴイ奴であることは分かっていますから、その上の「本当にスゴイ奴」になりたがっているのではないか、というものです。」(P.90から)
宮台は「ぬけぬけ」と「軽やかに」そして「悪びれることもなく」一見難解に、宮台節を奏でる。
本書は、宮台が規定する「社会の底が抜けた時代」に、「社会の底の抜け具合」を観察するメジャーを読者に提供する一冊です。宮台に興味を持ち、一度宮台節をお聞きになりたい方にとって敷居の低い入門書です。
偽装フラット社会に当惑し右往左往する貴方にお勧めです。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4344981219/ref=cm_cr_mts_prod_img
ニホンノナンテン ゲントウシャシンショ
幻冬舎新書
日本の難点
宮台 真司【著】
幻冬舎 (2009/04/15 出版)
286p / 18×11cm
ISBN: 9784344981218
NDC分類: 304
価格: ¥840 (税込)
詳細
現代とは「社会の底が抜けた時代」である。
相対主義の時代が終わり、すべての境界線があやふやで恣意的な時代となっている。
そのデタラメさを自覚した上で、なぜ社会と現実へコミットメント(深い関わり)していかなければならないのか。
本書は、最先端の人文知の成果を総動員して、生きていくのに必要な「評価の物差し」を指し示すべく、「現状→背景→処方箋」の3段ステップで完全解説した「宮台版・日本の論点」である。
第1章 人間関係はどうなるのか―コミュニケーション論・メディア論(若者のコミュニケーションはフラット化したか;ケータイ小説的―コンテンツ消費はどのように変わったのか ほか)
第2章 教育をどうするのか―若者論・教育論(「いじめ」は本当に決してなくせないのか;「ネットいじめ」「学校裏サイト」から子どもを守れるか ほか)
第3章 「幸福」とは、どういうことなのか―幸福論(「自分だけ幸せならそれでいい」のか;自己決定論の現在―「宮台真司」の主張は以前と今で矛盾しているか ほか)
第4章 アメリカはどうなっているのか―米国論(オバマ大統領の演説は一体どこがすごいのか;どうして、アメリカは大統領制なのか ほか)
第5章 日本をどうするのか―日本論(後期高齢者医療制度は現代の「うば捨て山」か;裁判員制度―司法の民主化か、新しい動員体制か ほか)
この本だけで、現代を生きていくのに必要不可欠な急所(クリティカルポイント)がわかるように、考えに考え抜きました。これ以上はあり得ないというほど、噛み砕いて書かれています。通読すれば眩暈がするでしょうが、それは圧倒的情報量による眩暈ではなく、<社会>の複雑さによる眩暈でしょう。はじめての新書を「救国の書」として書き下ろしました。─
著者 著者紹介
宮台真司[ミヤダイシンジ]
1959年宮城県生まれ。社会学者、評論家。首都大学東京教授。公共政策プラットフォーム研究評議員。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了(社会学博士)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)