『日本歯技』2014年3月号 巻頭言
部分最適の総和が、必ずしも全体最適になるとは限らない
コンピュータ・ソフトや一定規模以上の企業運営等の世界では、「部分最適の総和が、必ずしも全体最適になるとは限らない」との、いわば現代の格言とも言うべきものがある。ややもすれば、現場ではより身近な現実の対応に追われ、改善と改良により「部分最適」の実現に勤しみながらも、その「総和」が「全体最適」にならず、場合によっては新たなボトルネックを作り出すという経験から教訓を引き出し、現代の格言となったものと思われる。
歯科技工士組織の構成は、公益社団法人日本歯科技工士会とその地域組織、公益認定法に言う「他の同一団体」とその地域組織、会員の相互扶助組織、歯科技工士組織に便益を供するための営利法人等であり、それぞれ(が)統一した目的と意思の一致を、財政と手続きの峻別を担保に、オール歯科技工士組織として目的達成のために機能している。
昨年7月、公益認定等委員会は、全日本柔道連盟の一連の不祥事を受け、声明※を発表した。その概要は、公益法人は社会的な存在であり、国民の信頼なくして成り立たず。法人運営を適正に行うことは、公益法人制度に対する信頼性確保のためにも大変重要であること。その上で、同委員会が法に基づく措置を講ずる前に、各法人の主体的な自己規律の確保が重要であり、その意味で、統括団体・全国団体が傘下の法人の自覚を促す役割は大きいとして、従来の各団体の独立性を強調する色合いからの大きな変化を示した。
この4月1日、少なくない地域組織が、新公益法人制度改革の区切りに対応し、公益社団法人として、また一般社団法人として生まれ変わる。過去、オール歯科技工士組織が、本会を公益社団法人とするため組織機構改革を断行し、各組織の役割を整理した。その理念と志を継ぎ、ネットワークの無駄を整理し、本会が公益認定等委員会の言う「統括団体・全国団体」としての新たな役割も果たし、会費を原資として活動する組織として、従来にも増して費用対効果の観点からも「全体最適」の上での「総和」の向上に務めなければならない。
※参照:平成25年7月23日 公益認定等委員会「公益法人の自己規律について」