[010/052] 162 - 衆 - 予算委員会 - 19号
平成17年03月01日
○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
端的に御答弁を願えればと思います。
今、資料を皆様方にお配りをしておりますけれども、例の懸案になっております橋本元総理の証人喚問でございますけれども、その時系列的な表をつくってみました。この一ページ目、お配りしている資料の一ページ目にございます。
結論を言いますと、この一連の流れというのは、二〇〇二年の四月からかかりつけ歯科医初診料の要件緩和が実施された、これが最後の決着になっていまして、初診料の値上げ分だけで、一年間に二百億円以上全国の歯医者さんが初診料分だけで収入がふえた、こういう結末になったわけでございます。このかかりつけ歯科医初診料要件緩和、か初診と略して言うわけでございますけれども、このか初診の流れでございます。
ちょうど一年前、厚生労働省にお話を聞きますと、二〇〇一年の四月から大体中医協や政治のレベルでもこのか初診の要件緩和が議題に上がってきた。そして、トピックだけ書いてありますけれども、二〇〇一年六月の十二日、下村元社会保険庁長官、中医協委員が臼田さんからわいろをもらった。
ちょうどその翌月の七月二日に、例の橋本元総理に一億円の小切手が臼田会長から渡された。同じ月の二十五日に、下村さんが中医協でか初診の要件緩和の後押しの発言もしている。この議事録もございます。
そして、先ほど原口委員からも話題が出ましたけれども、十一月の十五日に、先ほど中村審議官からも、くしくも古賀勉強会という俗称がお話しになられましたけれども、古賀勉強会の初会合があった。そこに、職務権限もある佐藤政務官も出席をしている。
そして、二〇〇一年十一月の二十六日には、正式に日本歯科医師会がか初診の要望書を厚生労働省に提出しているという資料も七ページにございます。
そして、二〇〇一年の十一月の三十日ごろ、ごろというのは厚生労働省のお話ですけれども、佐藤政務官が医政局、保険局を政務官室に呼び出して、いろいろお話をされた。
二〇〇一年暮れごろ、この暮れごろというのも厚生労働省の言葉をかりた表現ですけれども、古賀勉強会があって、ここに佐藤政務官も同席をして、医政局、保険局が参加をされた。
そして、二〇〇二年の四月に、かかりつけ歯科医の初診料、か初診の要件緩和が実施をされる。そして、二百億円、毎年毎年歯医者さんは初診料が増収になった、こういうことでございます。
先ほど尾辻大臣も言われていましたけれども、これは本当に大きな問題です。日本の医療費は一年間三十兆円です。適正に医療費が決まっているのであれば、まあこれはこれで大きいんですけれども、圧縮議論等々しなきゃいけないんですけれども、これが適正に決まっていないのではないのかという疑念を私も持っておりますし、多くの国民の皆さんもまだその疑念が晴れていない。
事実、医療費の決め方を改革していこう、こういうことで村上規制改革担当大臣を中心に議論が始まっているわけでありまして、これは本当に、ここからは政治の役割だと思います、今までは東京地検特捜部でしたけれども。そういう意味では、ゆがめられたメカニズム、これを解明するということが私は一番重要なことだと思います。
簡単に言いますと、今どういう日本かというと、額に汗して一生懸命働くよりも、裏金とかやみ献金をポイントのところに配った方が収入がぱっと上がる。一年間に二百億円、初診料が値上がりしたとすれば、一生懸命そんなまじめに働くよりも裏金とかやみ献金を賢くいろいろなところに配った方が安易に収入がふえる、まじめに働くのはばからしくなる、こういう機運が生まれないようにしなきゃいけない。
そして、ゆゆしき問題は、ばれてもばれなくても得なんですよ。どういう意味かというと、例えば二百億値上がりしたとすれば、数億の裏金とかやみ献金で、たった数億の金でそれだけ莫大なリターンがある。こういうことだとすると、かつ、今回ばれちゃったわけですね、ばれましたけれども、ところが、結局その初診料の値上げというのは全く見直されない、値上げしたままなんですね。
ということは、ばれてもばれなくても得なんですよ。ばれてもばれなくても得なんです、裏金、やみ献金を払う側としては。そういう国をこのまま放置していたら、まじめに働く人がだれもいなくなっちゃうんじゃないのか、こういう強い危機感をやはり与野党ともに持って、メカニズムを解明しなきゃいけない。この巨額な三十兆円の医療費、三十兆ですからね。たった数億の裏金でいろいろなことができたとしたら、それはみんな裏金を配ってしまいますよ。それをやめさせなきゃいけないという問題意識があるわけでございます。
五ページを見ていただきますと、これは冒頭陳述を入手いたしました。平成十六年十一月二十四日、日歯事件の検察の冒頭陳述です。
星印、下線を引きましたけれども、検察はこういうふうに冒頭陳述で言っております。「平成十三年五月ころ、」この前の「Bは、」というのは臼田さんです、臼田さんは、「平成十三年五月ころ、今後日歯連盟から歯科医療政策の陳情などをするためには、平成研の幹部との関係を修復しておく必要があると考え、」ですから、歯科医療政策の陳情などをするためには修復する必要があると考えてその旨を平成研に伝えたことから、「BらとA、」「Bら」というのは臼田さん、「A」が橋本さん、「平成研事務総長のD及びEとの会食が持たれることになった。」この会食というのが七月二日の一億円の小切手の会食です。
ですから、この七月二日の小切手を渡した会食が持たれた目的というのは、歯科医療政策の陳情などをするための関係修復なんですね。陳情なんです。先ほど一ページ目の年表を見ていただきますと、まさにかかりつけ、か初診の要件緩和が一番最大の眼目だというときなんですね。このときなんです。
尾辻大臣、橋本さんに渡った一億というのは、これはやはりか初診絡みというのも考えられると思われますか。
○尾辻国務大臣 まず、この問題で私が一番わからないと思っておりますことを逆に申し上げるんですけれども、これは先生もう御案内だと思いますけれども、先生が最初にお示しいただきましたこの時系列表の中で出てまいります二〇〇一年の暮れごろ、ここがまさに診療報酬改定をやったときであります。
それで、このときにマイナス二・七%になっているわけでありますから、歯科診療というのはがくっと下がったときなんですね。下がった中でのやりくりを何でこんなかかりつけ歯科医初診料というようなところへ持ってきたのか、これをやると逆にほかがまたうんと下がるはずなのにというのが、実は何でこんなことをしたのかというのがよくわからないんですということを率直に申し上げているところであります。
ですから、そういう中で、よくわからぬ中でこういう動きがあるものですから、一億円の小切手の話にしても、何でこんな小切手を渡さなきゃいけなかったのか、率直に、私にはさっぱりわからない話であります。
○長妻委員 これは、さっぱりわからないから、メカニズムを解明するということなんです。
尾辻大臣、これはお役人に多分そういう説明を受けられたと思うんですが、私も初め尾辻大臣と同じ疑問を持ちました。全体の歯科の診療は下がっていますね。下がっていますが、私もいろいろな方のお話を聞くと、か初診の要件緩和がなければさらに下がったんです。さらに下がったはずなんです。そういう圧力があったんですよ。
だから、だまされちゃだめですよ、官僚の説明に。もっと下がったんです。そこを食いとめるというのが当時歯科医師会の喫緊の課題だったんです。そういう危機意識も背景にあったわけでございます。
厚生労働省に、大臣にもう一回お尋ねしますけれども、そのメカニズムがさっぱりわからないから、だから臼田さん、橋本さんを証人喚問で呼んで、きちっとやはり聞いた方がいいですよ、本当に。どうしてお金を渡したのか、全体の歯科の診療報酬は下がった、何でですか。橋本さんはどうしてもらって、逆に橋本さんは何らかの働きかけをしたのかどうか。私は、した可能性はあると思いますよ。そういうことをきちっと聞かないと、診療報酬の抜本的改革、先ほど出すべきうみは出すと尾辻大臣大見えを切られましたから、これは証人喚問をぜひするべきだと思います。
この一ページ目で厚生労働省が調査した項目というのはどれですか。
○尾辻国務大臣 調査をいたしましたのは、先生がお示しになりました資料によります、この「二〇〇一年七月二十五日 下村氏が、中医協で、かかりつけ歯科医初診料の要件緩和の後押し発言」をしたという、ここのところでございます。
○長妻委員 ちょっと今、答弁、不足していますから、もう一回答弁してください。
○尾辻国務大臣 中間報告で御報告を申し上げたということを先ほど来答弁させていただいておりますけれども、中間報告の中に述べておるのがここの部分だということでございます。
○長妻委員 これは全然審議が、事前に通告しているにもかかわらず、どうなっているんですか、厚生省。社会保険庁もめちゃくちゃだけれども、質問、何だか準備もめちゃくちゃですね。あと二つあるでしょう。
○尾辻国務大臣 ほかに、この配付資料の中の下から三番目と二番目になりますけれども、「二〇〇一年十一月三十日ごろ 佐藤・厚生労働省政務官が、医政局、保険局を呼び出す」というここと、それから「二〇〇一年暮れごろ 古賀誠勉強会 ホテルにて開催 佐藤政務官も同席、医政局、保険局参加」、この件については局長から御答弁で御報告をしているということでございます。
○長妻委員 この表の一番下から三番目と下から二番目、これは事実だということでございますが、これは職務権限がある佐藤政務官が同席しているので非常に重要な会でありますけれども、これは、か初診の要件緩和の話というのは、少しでも出ましたか、出ませんか。
〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
○尾辻国務大臣 出ていないと聞いております。
○長妻委員 そして、先ほど原口委員からも質問がございましたけれども、この二〇〇一年暮れの古賀誠勉強会に出席した三人の厚生労働省の官僚の方がおられる。そのうちのお二人は技官、歯医者さんの官僚の方ですけれども、お二人とももう懲戒処分を受けて役所をやめました。ただ一人やめていないのが中村老健局長でございますが、老健局長は、何回出られましたか。
○中村政府参考人 お尋ねの古賀勉強会と言われるものにつきましては、私、先ほども御答弁申し上げましたように、日時については明確ではありませんが……(長妻委員「何回」と呼ぶ)一回でございます。
○長妻委員 そうしましたら、古賀勉強会以外で、今回、二〇〇二年四月の歯科の診療報酬絡みで政治家の方とお会いしたというようなことはございますか。
○中村政府参考人 ございます。
私は、先ほど申し上げましたように、担当審議官をいたしておりましたので、例えば自民党の、俗称でございますが、歯科小委と言われるようなものが開催されておりますので、そういったことに出たほか、いろいろなところで、歯科に限らず、診療報酬改定も担当しておりましたので、与野党問わず、さまざまな議員の先生から御説明を求められる機会があり、お会いいたしております。
○長妻委員 そのときに、佐藤政務官からかつて、か初診の要件緩和に関する話題というのを、中村局長、当時審議官が、言われたことというのはございますか。
○中村政府参考人 政務官でございますから、私の上司に当たるわけでございますが、実は、上司、部下との関係で、勉強会で一度お会いしたことはございますが、そのほかで佐藤政務官とお話ししたことはございません。
〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
○長妻委員 その勉強会でお会いしたとき、佐藤政務官からか初診の要件緩和などの話はありましたか、そのたぐいの話は。
○中村政府参考人 お答えいたします。
申し上げましたとおり、この勉強会におきましては歯科全般についてのフリートーキングがなされましたけれども、省内の調査でも申し上げましたが、いわゆるか初診についてのお話は出なかった、こういうふうに記憶しております。
○長妻委員 尾辻大臣にお伺いしますけれども、この年表で二〇〇一年の十一月三十日ごろの佐藤政務官が医政局、保険局を呼び出したというものと、二〇〇一年暮れごろの古賀勉強会、これは調査をしたということですか。
○尾辻国務大臣 先ほど申し上げましたように、この件につきましては調査をいたしまして、辻前保険局長が国会で答弁をいたしております。これはもう読まなくてもよろしいでしょうか。
○長妻委員 そうすると、一つポイントなのが、なぜかその国会答弁で抜けているんですが、二〇〇一年の十一月十五日の、一番初めの古賀勉強会の初会合、これは確認できなかったということですか。
○尾辻国務大臣 このことについては確認できておりません。
○長妻委員 そうしましたら、調査をしたということでございますから、二〇〇一年十一月三十日ごろ、二〇〇一年暮れごろ、この調査報告書を当予算委員会に提出をいただきたいと思いますが、いかがですか。
○尾辻国務大臣 先ほど申し上げましたように、局長より国会答弁をいたしておるところでございますから、それが報告になっておるのではないかと考えます。
○長妻委員 そんなばかな報告がありますか。これだけ重大な、ゆがめられた可能性がある、ないというときに、厚生労働省が調査をして、ただ国会で言っただけということはあり得ないと思いますので、これはきちっと調査報告書を、二つの会についてお出しをいただきたいということをお願いしますが、いかがですか。
○尾辻国務大臣 報告書にはございませんけれども、国会で答弁いたしておりますから、これをそっくりそのまま御報告をさせていただきます。もしお求めであれば、これを整理して御報告にさせていただきます。
○長妻委員 いや、国会の答弁というのは二、三行じゃないですか。三、四行か、そのぐらいですよ。こういう会があったけれども問題なかったという、それだけの話ですよ。きちっとした調査の報告書を、提出を要求します。
○尾辻国務大臣 今、答弁いたしましたときの議事録がございますが、かなり克明に御報告申し上げておると考えます。
○長妻委員 そうしましたら、では、委員長、理事会で提出を協議いただきたいと思います。
○甘利委員長 理事会協議といたします。
○長妻委員 しかし、尾辻大臣、出すべきうみは出すというふうに言っていながら、これは調査をしたわけですよね。それで、私は議事録を読みましたけれども、五、六行ですよ。辻さんという審議官がこうこうこうで問題なかった、ただそういう答弁をして済ませているわけですよ。紙も何にもない。そんなばかなことで本当にいいんですか、尾辻さん。
それで、もう一つ大きな問題がございますが、この二ページ目を見ていただきますと、このか初診の要件緩和というのは、いろいろこれは言われていますけれども、実態はどういうものなのかということなんです。
この二ページ目が、これは厚生労働省が出した歯科診療報酬の告示とか通知です。その抜粋です。左を見ていただきますと、か初診、これは大体、十割で、か初診がつくと千円収入になりますけれども、「文書により情報提供を行った場合に算定する」と。
この文書というのはどういうものか。三ページ目にございます、三ページ目。このか初診の治療計画説明書というのを患者さんに渡さない限り、かかりつけ歯科医初診料はもらってはいかぬ、こういうことになっているわけです、二〇〇二年の四月から要件緩和で。二百億、初診料だけでふえているわけですが。
これは私が聞きますと、この書類を渡していないでか初診の初診料をもらってしまっているお医者さんが、歯医者さんがおられるわけですよ。それで、一説によると、その方の話によると、その歯医者さんの話によると、いや、厚生労働省は文書を渡さないでも大目に見てくれるんだ、そういうことになっているんです、こういうふうに言っておられる歯医者さんもいるわけですね。これは政治力じゃないですか。
大臣、この三ページ目の紙を患者さんに渡さないでか初診の初診料を取ってしまったら、これは法律違反ですか。
○尾辻国務大臣 今お話しのように、治療計画説明書を患者に対して交付しなかった場合は、算定要件を満たさないことから、かかりつけ歯科医初診料を請求することはできません。請求することができないということをまず申し上げました。
○長妻委員 これはぐるになっている疑いがありますよ、大臣。大臣、知っているか知らないかわかりませんけれども、厚生労働省がお目こぼしをしている可能性が大いにありますよ。何か大きい政治の力が働いているのかどうか知りませんけれども、そういう疑惑がありますよ。
大臣、今まで何件ぐらい、これを交付しないでもらって摘発しましたか。
○尾辻国務大臣 厚生労働省と地方社会保険事務局が平成十五年度に共同で指導を行ったもののうち、かかりつけ歯科医初診料について指摘を行ったものは、歯科診療所共同指導実施件数が五十六件でございますけれども、うち初診指摘件数というのが十三件ございます。ただ、治療計画説明書を交付しなかったということで指導したものはございません。
○長妻委員 一件も取り締まっていないんですよ、一件も。私がちょっと聞いただけで事例がいっぱいあるのに、一件も取り締まっていないじゃないですか。これは握っているんじゃないですか、そういうふうに疑われてもしようがないですよ、何か大きな政治の力が働いて。これは地方も含めて二百億の金ですよ。きちっと全部これが交付されているのか、文書が。
患者さんにも抜き打ちで調査してくださいよ。患者さんに、本当にあなたはこれをもらいましたかと。基本的な大規模な調査をするというふうにぜひ約束していただきたいんですが、大臣、調査していただけますか。
○尾辻国務大臣 申し上げておりますように、かかりつけ歯科医初診料の算定に当たりましては、患者に治療計画説明書を交付すべきことについては、保険医療機関に対して集団指導等の機会や個別の指導、監査の機会を通じて指導を行っておるところでございます。
治療計画説明書を患者に渡さずにかかりつけ歯科医初診料を算定しているケースがかなりあるという今のお話でございますけれども、そのような事例があれば、個別の指導、監査の際に、事実関係を確認した上で必要な指導を行ってまいります。
○長妻委員 そうしたら、全国的に、きちっと渡しているかどうか調査していただけますか。ぜひ前向きな御答弁を。
○尾辻国務大臣 当然、今後とも指導、監査の機会を通じて指導を行ってまいります。
○長妻委員 調査をしていただけますか。調査をぜひしてくださいということです。
○尾辻国務大臣 この件に関しましては、歯科医療機関に来院した患者を対象に、今ちょうどアンケート調査を実施しておりまして、本年度中にその結果を取りまとめる予定でございますので、その結果につきましては当然御報告をさせていただきます。
○長妻委員 では、この文書を渡しているか渡していないか、それも含めた調査を本年度中にやる、こういうことでよろしいんですか。
○尾辻国務大臣 ただいまアンケート調査を実施しておると申し上げましたが、今お話し……(長妻委員「これです」と呼ぶ)ええ、その件も含めて調査をいたしております。
○長妻委員 では、速やかに結果が出れば発表していただきたいと思います。
お待たせしました。村上大臣には、この中医協とか診療報酬の改革に取り組まれているということでございます。
この六ページ目を見ていただきますと、これは厚生労働省が中医協の汚職事件に関して公表をした報告書でございますが、この中で注目すべき記述というのがこの下線を引いた部分で、「今回の贈収賄容疑となった不適切な働きかけによって影響を受けた可能性を完全に払拭することはできない」と。ですから、診療報酬がゆがめられていないとは言えないということを書いてあるわけですね。
このメカニズムをきちっとやはり解明しないと、中医協というのは表の、ある意味では、表舞台で診療報酬を議論する。本当の診療報酬が決まるのは裏の政治の世界だ、これはもう常識ですよ。そういうことじゃいけないわけで、それを変えようという村上大臣ですけれども、これはぜひメカニズムを解明する、中医協改革に今回のいろいろな問題のメカニズムの解明というのがどれだけ重要なのか、どういうふうに認識されておられますか。
○尾辻国務大臣 今の記述のところでございますけれども、影響を受けた可能性は完全に払拭できないと言っておりますけれども、これは私どもに捜査権がないことなど、行政としての検証には一定の制約がある旨を記述したものでございますので、そのことだけを申し添えさせていただきます。
○村上国務大臣 長妻委員の御質問にお答えします。
我々は今回、この問題について、レポートは、可能性を完全に払拭することはできないと。これについては私の担当でないのでコメントは差し控えますが、私どもが問題にしておりますのは、年間三十兆円を超える国民医療費の配分を左右する中医協、御承知のように中央社会保険医療協議会については、高度な公正性、中立性、透明性を確保して、真に国民から信頼される組織に生まれ変わることが重要だと考えています。
そのために、我々は、大きく三つのポイントを考えています。一つ目は、中医協が診療報酬の点数の決定のみならず、診療報酬改定の企画立案をも行うことが果たして適切かどうか。それについてやはりまず吟味をしたい。二番目には、特定の利害関係者の意見が支配力を持つことのないような委員構成を実現すること。そして三番目のポイントは、また、こうした中医協の見直しは、中医協自身ではなく、公正中立な立場の者より審議されることが重要だと考えています。
それを基本に考えながら、昨年、私どもと尾辻大臣との閣僚折衝を行って、中医協の見直しの検討の枠組みについて合意を見ました。その合意のポイントは大きく二つありまして、一つ目は、社会保障の在り方に関する懇談会、これは官房長官のもとですが、その審議を踏まえつつ、利害関係者以外の者で構成する有識者会議の場で検討し、ことしの夏から秋までに結論を得ることになっております。
そして、今御説明しました有識者会議における検討事項として、一番目、診療報酬改定に関する企画立案のあり方との関係を含めた中医協の機能、役割のあり方。それから二番目は、公益機能の強化。そして三番目は、病院等多様な医療関係者の意見を反映できる委員構成のあり方。そして四番目は、委員の任期のあり方。そういうことを明示しております。
そういうことを通じて、去る二月二十二日に第一回が開かれたんですが、今後とも、中医協のあり方については重要だと考えていますので、注視していきたい、そのように考えています。
平成17年03月01日
○長妻委員 民主党の長妻昭でございます。
端的に御答弁を願えればと思います。
今、資料を皆様方にお配りをしておりますけれども、例の懸案になっております橋本元総理の証人喚問でございますけれども、その時系列的な表をつくってみました。この一ページ目、お配りしている資料の一ページ目にございます。
結論を言いますと、この一連の流れというのは、二〇〇二年の四月からかかりつけ歯科医初診料の要件緩和が実施された、これが最後の決着になっていまして、初診料の値上げ分だけで、一年間に二百億円以上全国の歯医者さんが初診料分だけで収入がふえた、こういう結末になったわけでございます。このかかりつけ歯科医初診料要件緩和、か初診と略して言うわけでございますけれども、このか初診の流れでございます。
ちょうど一年前、厚生労働省にお話を聞きますと、二〇〇一年の四月から大体中医協や政治のレベルでもこのか初診の要件緩和が議題に上がってきた。そして、トピックだけ書いてありますけれども、二〇〇一年六月の十二日、下村元社会保険庁長官、中医協委員が臼田さんからわいろをもらった。
ちょうどその翌月の七月二日に、例の橋本元総理に一億円の小切手が臼田会長から渡された。同じ月の二十五日に、下村さんが中医協でか初診の要件緩和の後押しの発言もしている。この議事録もございます。
そして、先ほど原口委員からも話題が出ましたけれども、十一月の十五日に、先ほど中村審議官からも、くしくも古賀勉強会という俗称がお話しになられましたけれども、古賀勉強会の初会合があった。そこに、職務権限もある佐藤政務官も出席をしている。
そして、二〇〇一年十一月の二十六日には、正式に日本歯科医師会がか初診の要望書を厚生労働省に提出しているという資料も七ページにございます。
そして、二〇〇一年の十一月の三十日ごろ、ごろというのは厚生労働省のお話ですけれども、佐藤政務官が医政局、保険局を政務官室に呼び出して、いろいろお話をされた。
二〇〇一年暮れごろ、この暮れごろというのも厚生労働省の言葉をかりた表現ですけれども、古賀勉強会があって、ここに佐藤政務官も同席をして、医政局、保険局が参加をされた。
そして、二〇〇二年の四月に、かかりつけ歯科医の初診料、か初診の要件緩和が実施をされる。そして、二百億円、毎年毎年歯医者さんは初診料が増収になった、こういうことでございます。
先ほど尾辻大臣も言われていましたけれども、これは本当に大きな問題です。日本の医療費は一年間三十兆円です。適正に医療費が決まっているのであれば、まあこれはこれで大きいんですけれども、圧縮議論等々しなきゃいけないんですけれども、これが適正に決まっていないのではないのかという疑念を私も持っておりますし、多くの国民の皆さんもまだその疑念が晴れていない。
事実、医療費の決め方を改革していこう、こういうことで村上規制改革担当大臣を中心に議論が始まっているわけでありまして、これは本当に、ここからは政治の役割だと思います、今までは東京地検特捜部でしたけれども。そういう意味では、ゆがめられたメカニズム、これを解明するということが私は一番重要なことだと思います。
簡単に言いますと、今どういう日本かというと、額に汗して一生懸命働くよりも、裏金とかやみ献金をポイントのところに配った方が収入がぱっと上がる。一年間に二百億円、初診料が値上がりしたとすれば、一生懸命そんなまじめに働くよりも裏金とかやみ献金を賢くいろいろなところに配った方が安易に収入がふえる、まじめに働くのはばからしくなる、こういう機運が生まれないようにしなきゃいけない。
そして、ゆゆしき問題は、ばれてもばれなくても得なんですよ。どういう意味かというと、例えば二百億値上がりしたとすれば、数億の裏金とかやみ献金で、たった数億の金でそれだけ莫大なリターンがある。こういうことだとすると、かつ、今回ばれちゃったわけですね、ばれましたけれども、ところが、結局その初診料の値上げというのは全く見直されない、値上げしたままなんですね。
ということは、ばれてもばれなくても得なんですよ。ばれてもばれなくても得なんです、裏金、やみ献金を払う側としては。そういう国をこのまま放置していたら、まじめに働く人がだれもいなくなっちゃうんじゃないのか、こういう強い危機感をやはり与野党ともに持って、メカニズムを解明しなきゃいけない。この巨額な三十兆円の医療費、三十兆ですからね。たった数億の裏金でいろいろなことができたとしたら、それはみんな裏金を配ってしまいますよ。それをやめさせなきゃいけないという問題意識があるわけでございます。
五ページを見ていただきますと、これは冒頭陳述を入手いたしました。平成十六年十一月二十四日、日歯事件の検察の冒頭陳述です。
星印、下線を引きましたけれども、検察はこういうふうに冒頭陳述で言っております。「平成十三年五月ころ、」この前の「Bは、」というのは臼田さんです、臼田さんは、「平成十三年五月ころ、今後日歯連盟から歯科医療政策の陳情などをするためには、平成研の幹部との関係を修復しておく必要があると考え、」ですから、歯科医療政策の陳情などをするためには修復する必要があると考えてその旨を平成研に伝えたことから、「BらとA、」「Bら」というのは臼田さん、「A」が橋本さん、「平成研事務総長のD及びEとの会食が持たれることになった。」この会食というのが七月二日の一億円の小切手の会食です。
ですから、この七月二日の小切手を渡した会食が持たれた目的というのは、歯科医療政策の陳情などをするための関係修復なんですね。陳情なんです。先ほど一ページ目の年表を見ていただきますと、まさにかかりつけ、か初診の要件緩和が一番最大の眼目だというときなんですね。このときなんです。
尾辻大臣、橋本さんに渡った一億というのは、これはやはりか初診絡みというのも考えられると思われますか。
○尾辻国務大臣 まず、この問題で私が一番わからないと思っておりますことを逆に申し上げるんですけれども、これは先生もう御案内だと思いますけれども、先生が最初にお示しいただきましたこの時系列表の中で出てまいります二〇〇一年の暮れごろ、ここがまさに診療報酬改定をやったときであります。
それで、このときにマイナス二・七%になっているわけでありますから、歯科診療というのはがくっと下がったときなんですね。下がった中でのやりくりを何でこんなかかりつけ歯科医初診料というようなところへ持ってきたのか、これをやると逆にほかがまたうんと下がるはずなのにというのが、実は何でこんなことをしたのかというのがよくわからないんですということを率直に申し上げているところであります。
ですから、そういう中で、よくわからぬ中でこういう動きがあるものですから、一億円の小切手の話にしても、何でこんな小切手を渡さなきゃいけなかったのか、率直に、私にはさっぱりわからない話であります。
○長妻委員 これは、さっぱりわからないから、メカニズムを解明するということなんです。
尾辻大臣、これはお役人に多分そういう説明を受けられたと思うんですが、私も初め尾辻大臣と同じ疑問を持ちました。全体の歯科の診療は下がっていますね。下がっていますが、私もいろいろな方のお話を聞くと、か初診の要件緩和がなければさらに下がったんです。さらに下がったはずなんです。そういう圧力があったんですよ。
だから、だまされちゃだめですよ、官僚の説明に。もっと下がったんです。そこを食いとめるというのが当時歯科医師会の喫緊の課題だったんです。そういう危機意識も背景にあったわけでございます。
厚生労働省に、大臣にもう一回お尋ねしますけれども、そのメカニズムがさっぱりわからないから、だから臼田さん、橋本さんを証人喚問で呼んで、きちっとやはり聞いた方がいいですよ、本当に。どうしてお金を渡したのか、全体の歯科の診療報酬は下がった、何でですか。橋本さんはどうしてもらって、逆に橋本さんは何らかの働きかけをしたのかどうか。私は、した可能性はあると思いますよ。そういうことをきちっと聞かないと、診療報酬の抜本的改革、先ほど出すべきうみは出すと尾辻大臣大見えを切られましたから、これは証人喚問をぜひするべきだと思います。
この一ページ目で厚生労働省が調査した項目というのはどれですか。
○尾辻国務大臣 調査をいたしましたのは、先生がお示しになりました資料によります、この「二〇〇一年七月二十五日 下村氏が、中医協で、かかりつけ歯科医初診料の要件緩和の後押し発言」をしたという、ここのところでございます。
○長妻委員 ちょっと今、答弁、不足していますから、もう一回答弁してください。
○尾辻国務大臣 中間報告で御報告を申し上げたということを先ほど来答弁させていただいておりますけれども、中間報告の中に述べておるのがここの部分だということでございます。
○長妻委員 これは全然審議が、事前に通告しているにもかかわらず、どうなっているんですか、厚生省。社会保険庁もめちゃくちゃだけれども、質問、何だか準備もめちゃくちゃですね。あと二つあるでしょう。
○尾辻国務大臣 ほかに、この配付資料の中の下から三番目と二番目になりますけれども、「二〇〇一年十一月三十日ごろ 佐藤・厚生労働省政務官が、医政局、保険局を呼び出す」というここと、それから「二〇〇一年暮れごろ 古賀誠勉強会 ホテルにて開催 佐藤政務官も同席、医政局、保険局参加」、この件については局長から御答弁で御報告をしているということでございます。
○長妻委員 この表の一番下から三番目と下から二番目、これは事実だということでございますが、これは職務権限がある佐藤政務官が同席しているので非常に重要な会でありますけれども、これは、か初診の要件緩和の話というのは、少しでも出ましたか、出ませんか。
〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
○尾辻国務大臣 出ていないと聞いております。
○長妻委員 そして、先ほど原口委員からも質問がございましたけれども、この二〇〇一年暮れの古賀誠勉強会に出席した三人の厚生労働省の官僚の方がおられる。そのうちのお二人は技官、歯医者さんの官僚の方ですけれども、お二人とももう懲戒処分を受けて役所をやめました。ただ一人やめていないのが中村老健局長でございますが、老健局長は、何回出られましたか。
○中村政府参考人 お尋ねの古賀勉強会と言われるものにつきましては、私、先ほども御答弁申し上げましたように、日時については明確ではありませんが……(長妻委員「何回」と呼ぶ)一回でございます。
○長妻委員 そうしましたら、古賀勉強会以外で、今回、二〇〇二年四月の歯科の診療報酬絡みで政治家の方とお会いしたというようなことはございますか。
○中村政府参考人 ございます。
私は、先ほど申し上げましたように、担当審議官をいたしておりましたので、例えば自民党の、俗称でございますが、歯科小委と言われるようなものが開催されておりますので、そういったことに出たほか、いろいろなところで、歯科に限らず、診療報酬改定も担当しておりましたので、与野党問わず、さまざまな議員の先生から御説明を求められる機会があり、お会いいたしております。
○長妻委員 そのときに、佐藤政務官からかつて、か初診の要件緩和に関する話題というのを、中村局長、当時審議官が、言われたことというのはございますか。
○中村政府参考人 政務官でございますから、私の上司に当たるわけでございますが、実は、上司、部下との関係で、勉強会で一度お会いしたことはございますが、そのほかで佐藤政務官とお話ししたことはございません。
〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
○長妻委員 その勉強会でお会いしたとき、佐藤政務官からか初診の要件緩和などの話はありましたか、そのたぐいの話は。
○中村政府参考人 お答えいたします。
申し上げましたとおり、この勉強会におきましては歯科全般についてのフリートーキングがなされましたけれども、省内の調査でも申し上げましたが、いわゆるか初診についてのお話は出なかった、こういうふうに記憶しております。
○長妻委員 尾辻大臣にお伺いしますけれども、この年表で二〇〇一年の十一月三十日ごろの佐藤政務官が医政局、保険局を呼び出したというものと、二〇〇一年暮れごろの古賀勉強会、これは調査をしたということですか。
○尾辻国務大臣 先ほど申し上げましたように、この件につきましては調査をいたしまして、辻前保険局長が国会で答弁をいたしております。これはもう読まなくてもよろしいでしょうか。
○長妻委員 そうすると、一つポイントなのが、なぜかその国会答弁で抜けているんですが、二〇〇一年の十一月十五日の、一番初めの古賀勉強会の初会合、これは確認できなかったということですか。
○尾辻国務大臣 このことについては確認できておりません。
○長妻委員 そうしましたら、調査をしたということでございますから、二〇〇一年十一月三十日ごろ、二〇〇一年暮れごろ、この調査報告書を当予算委員会に提出をいただきたいと思いますが、いかがですか。
○尾辻国務大臣 先ほど申し上げましたように、局長より国会答弁をいたしておるところでございますから、それが報告になっておるのではないかと考えます。
○長妻委員 そんなばかな報告がありますか。これだけ重大な、ゆがめられた可能性がある、ないというときに、厚生労働省が調査をして、ただ国会で言っただけということはあり得ないと思いますので、これはきちっと調査報告書を、二つの会についてお出しをいただきたいということをお願いしますが、いかがですか。
○尾辻国務大臣 報告書にはございませんけれども、国会で答弁いたしておりますから、これをそっくりそのまま御報告をさせていただきます。もしお求めであれば、これを整理して御報告にさせていただきます。
○長妻委員 いや、国会の答弁というのは二、三行じゃないですか。三、四行か、そのぐらいですよ。こういう会があったけれども問題なかったという、それだけの話ですよ。きちっとした調査の報告書を、提出を要求します。
○尾辻国務大臣 今、答弁いたしましたときの議事録がございますが、かなり克明に御報告申し上げておると考えます。
○長妻委員 そうしましたら、では、委員長、理事会で提出を協議いただきたいと思います。
○甘利委員長 理事会協議といたします。
○長妻委員 しかし、尾辻大臣、出すべきうみは出すというふうに言っていながら、これは調査をしたわけですよね。それで、私は議事録を読みましたけれども、五、六行ですよ。辻さんという審議官がこうこうこうで問題なかった、ただそういう答弁をして済ませているわけですよ。紙も何にもない。そんなばかなことで本当にいいんですか、尾辻さん。
それで、もう一つ大きな問題がございますが、この二ページ目を見ていただきますと、このか初診の要件緩和というのは、いろいろこれは言われていますけれども、実態はどういうものなのかということなんです。
この二ページ目が、これは厚生労働省が出した歯科診療報酬の告示とか通知です。その抜粋です。左を見ていただきますと、か初診、これは大体、十割で、か初診がつくと千円収入になりますけれども、「文書により情報提供を行った場合に算定する」と。
この文書というのはどういうものか。三ページ目にございます、三ページ目。このか初診の治療計画説明書というのを患者さんに渡さない限り、かかりつけ歯科医初診料はもらってはいかぬ、こういうことになっているわけです、二〇〇二年の四月から要件緩和で。二百億、初診料だけでふえているわけですが。
これは私が聞きますと、この書類を渡していないでか初診の初診料をもらってしまっているお医者さんが、歯医者さんがおられるわけですよ。それで、一説によると、その方の話によると、その歯医者さんの話によると、いや、厚生労働省は文書を渡さないでも大目に見てくれるんだ、そういうことになっているんです、こういうふうに言っておられる歯医者さんもいるわけですね。これは政治力じゃないですか。
大臣、この三ページ目の紙を患者さんに渡さないでか初診の初診料を取ってしまったら、これは法律違反ですか。
○尾辻国務大臣 今お話しのように、治療計画説明書を患者に対して交付しなかった場合は、算定要件を満たさないことから、かかりつけ歯科医初診料を請求することはできません。請求することができないということをまず申し上げました。
○長妻委員 これはぐるになっている疑いがありますよ、大臣。大臣、知っているか知らないかわかりませんけれども、厚生労働省がお目こぼしをしている可能性が大いにありますよ。何か大きい政治の力が働いているのかどうか知りませんけれども、そういう疑惑がありますよ。
大臣、今まで何件ぐらい、これを交付しないでもらって摘発しましたか。
○尾辻国務大臣 厚生労働省と地方社会保険事務局が平成十五年度に共同で指導を行ったもののうち、かかりつけ歯科医初診料について指摘を行ったものは、歯科診療所共同指導実施件数が五十六件でございますけれども、うち初診指摘件数というのが十三件ございます。ただ、治療計画説明書を交付しなかったということで指導したものはございません。
○長妻委員 一件も取り締まっていないんですよ、一件も。私がちょっと聞いただけで事例がいっぱいあるのに、一件も取り締まっていないじゃないですか。これは握っているんじゃないですか、そういうふうに疑われてもしようがないですよ、何か大きな政治の力が働いて。これは地方も含めて二百億の金ですよ。きちっと全部これが交付されているのか、文書が。
患者さんにも抜き打ちで調査してくださいよ。患者さんに、本当にあなたはこれをもらいましたかと。基本的な大規模な調査をするというふうにぜひ約束していただきたいんですが、大臣、調査していただけますか。
○尾辻国務大臣 申し上げておりますように、かかりつけ歯科医初診料の算定に当たりましては、患者に治療計画説明書を交付すべきことについては、保険医療機関に対して集団指導等の機会や個別の指導、監査の機会を通じて指導を行っておるところでございます。
治療計画説明書を患者に渡さずにかかりつけ歯科医初診料を算定しているケースがかなりあるという今のお話でございますけれども、そのような事例があれば、個別の指導、監査の際に、事実関係を確認した上で必要な指導を行ってまいります。
○長妻委員 そうしたら、全国的に、きちっと渡しているかどうか調査していただけますか。ぜひ前向きな御答弁を。
○尾辻国務大臣 当然、今後とも指導、監査の機会を通じて指導を行ってまいります。
○長妻委員 調査をしていただけますか。調査をぜひしてくださいということです。
○尾辻国務大臣 この件に関しましては、歯科医療機関に来院した患者を対象に、今ちょうどアンケート調査を実施しておりまして、本年度中にその結果を取りまとめる予定でございますので、その結果につきましては当然御報告をさせていただきます。
○長妻委員 では、この文書を渡しているか渡していないか、それも含めた調査を本年度中にやる、こういうことでよろしいんですか。
○尾辻国務大臣 ただいまアンケート調査を実施しておると申し上げましたが、今お話し……(長妻委員「これです」と呼ぶ)ええ、その件も含めて調査をいたしております。
○長妻委員 では、速やかに結果が出れば発表していただきたいと思います。
お待たせしました。村上大臣には、この中医協とか診療報酬の改革に取り組まれているということでございます。
この六ページ目を見ていただきますと、これは厚生労働省が中医協の汚職事件に関して公表をした報告書でございますが、この中で注目すべき記述というのがこの下線を引いた部分で、「今回の贈収賄容疑となった不適切な働きかけによって影響を受けた可能性を完全に払拭することはできない」と。ですから、診療報酬がゆがめられていないとは言えないということを書いてあるわけですね。
このメカニズムをきちっとやはり解明しないと、中医協というのは表の、ある意味では、表舞台で診療報酬を議論する。本当の診療報酬が決まるのは裏の政治の世界だ、これはもう常識ですよ。そういうことじゃいけないわけで、それを変えようという村上大臣ですけれども、これはぜひメカニズムを解明する、中医協改革に今回のいろいろな問題のメカニズムの解明というのがどれだけ重要なのか、どういうふうに認識されておられますか。
○尾辻国務大臣 今の記述のところでございますけれども、影響を受けた可能性は完全に払拭できないと言っておりますけれども、これは私どもに捜査権がないことなど、行政としての検証には一定の制約がある旨を記述したものでございますので、そのことだけを申し添えさせていただきます。
○村上国務大臣 長妻委員の御質問にお答えします。
我々は今回、この問題について、レポートは、可能性を完全に払拭することはできないと。これについては私の担当でないのでコメントは差し控えますが、私どもが問題にしておりますのは、年間三十兆円を超える国民医療費の配分を左右する中医協、御承知のように中央社会保険医療協議会については、高度な公正性、中立性、透明性を確保して、真に国民から信頼される組織に生まれ変わることが重要だと考えています。
そのために、我々は、大きく三つのポイントを考えています。一つ目は、中医協が診療報酬の点数の決定のみならず、診療報酬改定の企画立案をも行うことが果たして適切かどうか。それについてやはりまず吟味をしたい。二番目には、特定の利害関係者の意見が支配力を持つことのないような委員構成を実現すること。そして三番目のポイントは、また、こうした中医協の見直しは、中医協自身ではなく、公正中立な立場の者より審議されることが重要だと考えています。
それを基本に考えながら、昨年、私どもと尾辻大臣との閣僚折衝を行って、中医協の見直しの検討の枠組みについて合意を見ました。その合意のポイントは大きく二つありまして、一つ目は、社会保障の在り方に関する懇談会、これは官房長官のもとですが、その審議を踏まえつつ、利害関係者以外の者で構成する有識者会議の場で検討し、ことしの夏から秋までに結論を得ることになっております。
そして、今御説明しました有識者会議における検討事項として、一番目、診療報酬改定に関する企画立案のあり方との関係を含めた中医協の機能、役割のあり方。それから二番目は、公益機能の強化。そして三番目は、病院等多様な医療関係者の意見を反映できる委員構成のあり方。そして四番目は、委員の任期のあり方。そういうことを明示しております。
そういうことを通じて、去る二月二十二日に第一回が開かれたんですが、今後とも、中医協のあり方については重要だと考えていますので、注視していきたい、そのように考えています。