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歯科技工士・岩澤 毅

「法令遵守」が日本を滅ぼす (新書) 郷原 信郎 (著)

2007年09月02日 | amazon.co.jp・リストマニア
著者は「日本は法治国家か」と問う, 2007/9/2

By 歯職人

 輸入された文化としての法律という衣と、現実の中で形成される社会の在り様の乖離のをまざまざと提示し、時代の変わり目を記す一冊です。
 著者は、東京地検特捜部、長崎地検次席検事等を経て、桐蔭横浜大学法科大学院教授。
 本書は、特に戦後のGHQ占領下に制定された独占禁止法や経済関係法の諸制度が、その初期には社会との適合性を持ちながらも経済構造の変化と共に機能不全に陥った姿が描かれている。
 そして最近流行の「法令遵守」との単語が、社会にとって調和も発展性ももたらさない現状を解明する。(単に否定しているのではなく、真の活用法を本書後半で説いているのであるが。)
 本書冒頭で、著者は「日本は法治国家か」と問う。そして、法治国家と別の戦後高度成長期の官僚を中心とした時代の法律に求められた時代を描写する。 
 本書が取り上げる具体的な最近のライブドア事件、村上ファンド事件、耐震データ偽造事件、マスコミが描き出した姿と実際の法廷で裁かれる姿・その後日談の落差は、知らなければならないだろう。
 「終章 眼を持つ組織になる」が、著者の真骨頂となっている。
 メディアリテラシーとの側面からも、一読に値する一冊である。
 本書との併読に、青木人志 (著) 「大岡裁き」の法意識 西洋法と日本人 (光文社新書) を推したい。

新潮新書

「法令遵守」が日本を滅ぼす
ISBN:9784106101977 (4106101971)
190p 18cm
新潮社 (2007-01-20出版)

・郷原 信郎【著】
[新書 判] NDC分類:335.15 販売価:714(税込) (本体価:680)

「申し訳ございません。
違法行為を二度と起こさないよう、コンプライアンスを徹底いたします」とは、不祥事を起こした際の謝罪会見での常套句。
だが、こうした「コンプライアンスとは単に法を守ること」と考える法令遵守原理主義そのものが、会社はおろか、この国の根幹をも深く着実に蝕んでいるのだ。
世の中に蔓延する「コンプライアンス病」の弊害を取り上げ、法治国家とは名ばかりの日本の実情を明らかにする。

第1章 日本は法治国家か
第2章 「法令遵守」が企業をダメにする
第3章 官とマスコミが弊害を助長する
第4章 日本の法律は象徴に過ぎない
第5章 「フルセット・コンプライアンス」という考え方
終章 眼を持つ組織になる
閉塞感、事なかれ主義、蔓延する弊害の数々……。あなたの会社もコンプライアンス病?

郷原信郎[ゴウハラノブオ]
1955(昭和30)年島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事などを経て、2005年から桐蔭横浜大学法科大学院教授、同大学コンプライアンス研究センター長。警察大学校専門講師、防衛施設庁や国土交通省の公正入札調査会議委員なども務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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