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歯科技工士・岩澤 毅

横山泰行 (著)  「のび太」という生きかた―頑張らない。無理しない。

2011年02月24日 | amazon.co.jp・リストマニア
我々の中にある「のび太」と、「のび太」に成れない我々, 2011/2/24

By 歯職人

 膨大なマンガ「ドラえもん」から人生を「学んでしまった」学者による、「のび太」に対する著者の横山泰行氏のいわば膨大な恋文の束と言った趣の一冊です。
 本書により、「「のび太」という生きかた」を追体験することで、自身の「失われた時間」と「汚れちまった悲しみ」とまでは行かないが、見落としていた藤子・F・不二雄氏の「ドラえもん」に込めたメッセージを味わう事が出来る。
 私は、ある中学生の本書の感想文に導かれて本書を購入したが、是非その中学生の感想文を探し出して、御読みいただければと思う。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4776202026/ref=cm_cr_mts_prod_img

「のび太」という生きかた ― 頑張らない。無理しない。

横山泰行
アスコム (2004/12 出版)

177p / 19cm / B6判
ISBN: 9784776202028
NDC分類: 726.1
価格: ¥1,260 (税込)

書籍名:「のび太」という生きかた
出版社:アスコム
ISBN: 978-4-7762-0202-6
仕様等:四六判・178P
定価:1260円(税込)

「ドラえもん学」の研究者が発見!
がんばらない。無理しない。しがみつかない…
でも、夢が叶う「のび太メソッド」とは?

ダメダメなのび太が
“あんな夢、こんな夢”を叶えたワケ
ドラえもんの短編25巻の『のび太の結婚前夜』で、
のび太との結婚に不安になったしずかちゃんに対し、
彼女のパパはドラえもんマンガ史上もっとも心に響く
アドバイスをします。

「のび太くんを選んだきみの判断は正しかったと思うよ。
あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人だ。
それがいちばん人間にとってだいじなことなんだからね」

この話しを聞いて、しずかちゃんは
のび太との幸せな結婚生活を確信し、結婚式に臨みました。

のび太は勉強はクラスの最下位。
野球の打率は0.01でスポーツも苦手のまったく冴えない男の子。
ジャイアンやスネ夫はもちろん、地域の子たちからいじめられることもしばしば。
ママや担任の先生からもしょっちゅう叱られています。

そんなのび太がゆくゆくはクラスのマドンナ・しずかちゃんと結婚し、
映画では、大活躍してヒーローになります。
困ったことがあると、誰かが助けてくれる。

どうしてのび太は、努力もせず、人生の「勝ち組」になれたのでしょうか?
ダメな奴の代名詞だったのび太が、
将来、次々に夢を叶えることができたのはなぜでしょうか?

そんなのび太のように、
頑張らない、しがみつかない、ゆるく生きる、
でも人生を楽しみながら夢を叶えるコツを
本書『のび太という生きかた』では解き明かしていきます。

著者の横山泰行先生は、富山大学教育学部の名誉教授。
「ドラえもん学」を研究しています。
6年間にわたり、年平均2000時間継続して「ドラえもん」を調べていく中で
全作品を50回以上読み、「吹き出し」「ひみつ道具」「登場人物」「事項索引」といった
データベースを作成。それらにもとづいて、のび太の言動を詳細に分析してきました。

横山先生は言います。

「私は“ドラえもん学”を研究していく中で
のび太という男の子は、
じつは想像以上に人生を上手に歩んでいるのではないか、と思ったんです。
そしてその生き方は、現代人のそれに大変参考になるのではないかと」

一見、何もかもうまくいっていない子という印象ののび太ですが、
後半で発表された大長編の冒険では、彼は友達に信頼され、
ときにはドラえもんに代わって集団の中心人物として
リーダーシップを発揮することもしばしばです。

勉強や運動はたしかに苦手ですが、
どんなにドジでノロマであると言われても、
集団のかけがえのない一員として認められています。
あのジャイアンやスネ夫も、のび太を大切な仲間として、
遊ぶときには必ず声をかけています。
のび太のママはもちろん、先生も彼をいつも叱っていますが
見離したことは一度もありません。

横山先生は言います。

「みなさんも、いつもぐうたら三昧の「ダメのび太」を、
腹立たしく思ったことはほとんどないでしょう。
のび太に限りない親近感を抱いて、
応援したりすることもあるのではないでしょうか」

では、のび太はどうやって明るい未来を手にいれたのか?
そして、その生き方から私たちは何を学べるのか?

「私が“ドラえもん学”を研究し、その間に気づいた
のび太が夢を叶えられる理由を“のび太メソッド”と名付けて
本書でお話ししたいと思います。
どんな人でも夢が叶う、魔法の法則です」

あなたの人生に役立つヒントが、
本書にはたくさんつまっています!

『のび太という生きかた』
http://amzn.to/bpF4U5

本書の構成

はじめに

序章 ドラえもんがいなかったら
なぜ、ドラえもんがやってきたのか
ドラえもんのいない、のび太の人生は?
ドラえもんがのび太に教えたこと
どうやってのび太は成長したのか

第1章 ドラえもん社会は現代の縮図
「ドラえもん」に登場するトラブル
人間関係がうまくいかない
意欲がわかない
課題を克服できない
悩みのない人っているの?

第2章 失敗して、夢は叶う
「うっかり忘れ」で失敗してしまう
やることなすこと、裏目に出てしまう
仕事が遅い、キャパシティが狭い
失敗しない人なんて、いない

第3章 夢の叶え方、まずは、心
のび太ですら、めげない
のび太は、悪口を言わない
意外と、のび太に欲はない
誰にでも優しくできる
なんに対しても偏見がない

第4章 夢の叶え方 のび太のメソッド
心配なことは、考えない
「かっこいい自分」を想像する
でも、現実はかっこつけない
やりたいことは、絶対やる
自分の夢で、まわりを感動させる

第5章 夢の叶え方 のび太のメソッド
ドラえもんが、叶えさせない夢
ドラえもんでも、叶えられない夢
具体的に描ける夢は、叶う
「ぼくだって」が夢を生む
「負けん気」が夢を叶える

第6章 「のび太なり」の努力で十分
のび太が泣くと、ドラえもんが手を貸すわけ
気楽に、理想を声に出す
直感で決断。とにかく動きだす
失敗したら、再チャレンジするだけ
夢は叶うと信じきる

第7章 ドラえもんは、あなたにもいる
のび太が不登校やひきこもりにならないわけ
なにをすべきか、わからないときは
立ち直れないほど、落ち込んでしまったときは
過去に励まされたら未来を見る

終章 「ドラえもん」からのメッセージ
単行本未収録作品に見る、人生のヒント

あとがき

http://www.zushi-kaisei.ac.jp/guide/guide.html
逗子開成中学校・高等学校

http://www.zushi-kaisei.ac.jp/activity/study/inconnu2005/inconnu2005.html

 本校では作文指導に力を入れています。その一環として、全学年による「論文・創作・感想文コンクール」が行なわれています。

 毎年夏休みにはいる前に、コンクールの実施要項と各教科の推薦図書をまとめた冊子「好奇心」が配布されます。それに従って生徒たちは夏の課題として作文に取り組み、9月1日に提出します。

 提出された中からいくつか優秀作品が選出され、作品集『inconnu』として編み、公表・顕彰されます。2005年度の掲載作品からいくつか紹介します。

 なお、『inconnu』は「アンコニュ」と発音し、「未知の・未知のもの・かつて経験したことのない」という意味のフランス語です。内なる未知の自己をほりさげ、未だ経験したことのない世界への旅を続けて欲しいと願い、命名されました。

http://www.zushi-kaisei.ac.jp/activity/study/inconnu2005/nobita.html

「のび太」という行き方 中3 糸久拓見

 「ドラえもん」はマンガ世紀の最高傑作と言われ、海外でも人気の高い不朽の名作である。このマンガの主人公でダメなやつの代名詞にもなっているのび太について多くの読者は、成績が悪く、運動もまるで駄目、先生や母親に叱られることは日常茶飯事、友だちからはいじめられてばかり、しかし、ドラえもんのひみつ道具が彼に夢を運んでくる…と思っているかもしれない。だが、「のび太という男の子は、じつは想像以上に人生を上手に歩んでいる」と著者は言っている。僕も本書に出会うまで、「ドラえもん」について、小学生向けのマンガとしか思っていなかったし、無理に回を重ねている感があった。しかし、実は大部分のひみつ道具に、常に何らかのメッセージがあり、それらを総括して言うと、何が起ころうと自らの力で解決することが最も良い対処法であるということだ。本書を読んで作者の子供たちへのメッセージが「ドラえもん」の底流にあることを知り、目から鱗が落ちた。また、「ドラえもん」の内容は多様化しており、いじめや、不登校、自殺志願といった問題から、環境問題など、現代社会が抱えている問題を、その問題に対する価値あるメッセージと共に取り込んでいると著者は分析している。このように考えると、「ドラえもん」は非常に奥が深く、「所詮はマンガ」の一言では片付けられないように思う。のび太はひみつ道具の助けや自らが置かれた境遇により、潜在意識の中で眠っていた、優れた資質が現れた。言いかえれば、のび太の中で眠っていた原石がひみつ道具などにより磨かれていった結果、美しく輝く宝石となったのである。僕の中に眠る原石はまだ、宝石にはなっていないけれども、磨くことができるきっかけを可能なだけ掴みたいと思う。

 僕は心配症でマイナス方向に考えすぎだとよく言われる。これは自分でも感じていることで、例を挙げれば数限りないほどだ。また、自分に対する自信もなく、よく失敗してしまう。よく失敗する点は似ているが、僕とのび太との大きな違いは楽観的か悲観的かという点だと思う。のび太はあまり事態を深刻に受け止めることなく、何事に対しても、失敗を恐れずに比較的さらりと対応する。しかし、僕はと言うと、何事も深刻に受け止めすぎる傾向があり、失敗を恐れてなかなか行動に移ることができない。まず、夢を叶えるために、先の事をあまり深く考えず、今取りくんでいる事に全力を尽くし、失敗してしまったら再度チャレンジすればいいという考えを念頭に置いておきたいと思う。「ほかのものが目に入らないほどの集中力を持って目標に打ち込むことで、『くじけない心』は、さらに強さを増すことができる」と著者は言う。「くじけない心」は僕に決定的に足りないものである。しかし、今の僕には一心不乱になって打ち込むことができるものがないので、まずそれを探さなくてはならない。また、のび太はどんなに痛めつけられても、悪口や妬みよりも、「なにくそ」といった反発力の方ヘエネルギーを昇華させている。このように、悪口を口にせず、行動するためには、他人の素晴らしい面を素直に「いいな」と肯定する姿勢が必要で、そういう姿勢が、自分を成長させられるのである。しかし、「いいな」と肯定することはできても、悪口や妬みにエネルギーを使わないのは難しいと思う。これも心のゆとりが関係しているのだろう。本書を読み進めて、夢を叶えるための法則と今の自分との違いを知り、少々落ち込んでいる中で、ただ一つ一致しているものがあった。それは、「欲があまり無い」という点である。この一致は非常に嬉しく思えた。のび太の長所として代表的なものに、優しく何に対しても分け隔てなく接することができるというものがあり、そのような姿勢が楽しく暮らしながら夢を叶える基礎だと著者は言っている。つまり今も社会に根強く残っている差別や偏見を無くし、相手がどんなものであれ、優しく接しようということだ。これは個人がそれぞれ自覚しなくてはいけないと思う。また、藤子・F・不二雄が「ドラえもん」を描いていた頃よりも、大人も子供も忙しくなっているので、その分、ストレスが溜まりやすいと思う。それは少年犯罪の件数が増えていることからも分かる。日々、メディアを騒がせている少年犯罪の中には、両親や学校の先生に見離されたことが原因となっているように見受けられるものがある。親が子供を叱ることは、実は子供がまだ親に信用されており、見離されてはいないことの証なのだということを改めて感じた。

 ダメなやつの代名詞であるのび太から人生について学んだことは癪ではあるが、僕以外にものび太から色々と学ぶべき人々は沢山いると思う。やがて勝ち組となるであろうのび太の生き方を見ていると、大らかに、前向きに、自分を見失うことなく、淡々と生きていく事が大切だと思うし、親や友だち、ひいては社会に受け入れられているという実感もとても大切なことだと思った。また、のび太が夢を叶えることが出来た根本的な理由はドラえもんと出会ったからである。つまり、ドラえもんはロボットの形をした希望そのものであると言える。僕にロボットの形をしたドラえもんはいないけれども、心の中にドラえもんは存在する。希望を持ち続けることにより、心の輝きを失わずに、豊かな人生を送りたいと思う。


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