抄録 歯科技工管理学の提唱
2004年日本歯科技工学会第26回学術大会(新潟市)における、東京都技所属の加藤雅司・中込敏男両氏の発表「歯科技工経済を根本改善へと導く原因解明と具体策」は、歯科技工士の新潮流の胎動を日本歯科技工学会史に確実に印した。
ややもすると歯科技工学と歯科技工士の思考を、歯科技工技術の研鑚と腕の「上手下手」の狭く閉じられた世界に封印しようとする潮流とそれを良しとする潮流が存在する中、両氏の講演は、患者・歯科技工士・歯科医師三者の見えざる関係に、経済学の知見を応用し、原理的に存在する利害の交錯と緊張関係の構造の解明を試み、展望をも提示した。
過去、産業技術の発展の果実を歯科領域に吸収応用し、歯科医学の成果を歯科技工に反映させるため先人の多大な貢献を多としながらも、それと共に解明すべき課題である「歯科技工とは」「社会と歯科技工」「歯科技工経済」等々、既存の用語を用いれば「歯科技工管理学」とも表記すべき研究分野への取り組みが一部に過ぎず、個々の孤立した研究となり組織的取り組みとならず、厚みを持ち得なかった。
その解明すべき研究分野を「歯科技工管理学」と命名し対象化することにより、諸学の研究手法と諸学の研究者の英知を取り込み、評価方法を学び、歯科技工を知る者が得心できる「歯科技工管理学」を確立しなければならないと考える。
前記学会において、日本の歯科技工士の英語表記が、Registered Dental Technologist (RDT)に正式決定した。これもまた、新潮流の胎動の一環を予感させる。
私たちが現在、必要としている歯科技工学の全体像は、単なる「補綴学の中では,重要でありながらも深く細かくは踏み込めていない歯科技工」あるいは「工程管理」に留まるとは思えない。顎顔面補綴にかかわる技工を、歯科補綴学の中に閉じ込めることは出来ないであろうし、矯正歯科技工学が、歯科補綴学の中に位置付けられるとも思えない。
我々歯科技工士が、社会にその存在を主張する場合の基礎となるのは、昨今話題の「海外輸入入れ歯」問題、あるいは古くて新しい「健康保険制度と歯科技工」等々、医事法・歯科医事法分野の課題であり、歯科技工所の管理運営における労務・税制等まで含めた大きな枠では、「歯科技工管理学」とも捉える事が出来る。
「そして、あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネによる福音書 第8章32節)
2004年日本歯科技工学会第26回学術大会(新潟市)における、東京都技所属の加藤雅司・中込敏男両氏の発表「歯科技工経済を根本改善へと導く原因解明と具体策」は、歯科技工士の新潮流の胎動を日本歯科技工学会史に確実に印した。
ややもすると歯科技工学と歯科技工士の思考を、歯科技工技術の研鑚と腕の「上手下手」の狭く閉じられた世界に封印しようとする潮流とそれを良しとする潮流が存在する中、両氏の講演は、患者・歯科技工士・歯科医師三者の見えざる関係に、経済学の知見を応用し、原理的に存在する利害の交錯と緊張関係の構造の解明を試み、展望をも提示した。
過去、産業技術の発展の果実を歯科領域に吸収応用し、歯科医学の成果を歯科技工に反映させるため先人の多大な貢献を多としながらも、それと共に解明すべき課題である「歯科技工とは」「社会と歯科技工」「歯科技工経済」等々、既存の用語を用いれば「歯科技工管理学」とも表記すべき研究分野への取り組みが一部に過ぎず、個々の孤立した研究となり組織的取り組みとならず、厚みを持ち得なかった。
その解明すべき研究分野を「歯科技工管理学」と命名し対象化することにより、諸学の研究手法と諸学の研究者の英知を取り込み、評価方法を学び、歯科技工を知る者が得心できる「歯科技工管理学」を確立しなければならないと考える。
前記学会において、日本の歯科技工士の英語表記が、Registered Dental Technologist (RDT)に正式決定した。これもまた、新潮流の胎動の一環を予感させる。
私たちが現在、必要としている歯科技工学の全体像は、単なる「補綴学の中では,重要でありながらも深く細かくは踏み込めていない歯科技工」あるいは「工程管理」に留まるとは思えない。顎顔面補綴にかかわる技工を、歯科補綴学の中に閉じ込めることは出来ないであろうし、矯正歯科技工学が、歯科補綴学の中に位置付けられるとも思えない。
我々歯科技工士が、社会にその存在を主張する場合の基礎となるのは、昨今話題の「海外輸入入れ歯」問題、あるいは古くて新しい「健康保険制度と歯科技工」等々、医事法・歯科医事法分野の課題であり、歯科技工所の管理運営における労務・税制等まで含めた大きな枠では、「歯科技工管理学」とも捉える事が出来る。
「そして、あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネによる福音書 第8章32節)