https://mhlw-grants.niph.go.jp/niph/search/NIDD00.do?resrchNum=199800821A
研究報告書(概要版)
研究目的:
将来に亘り質の高い歯科技工士を供給していくことは重要なことであるが、現在すでに歯科技工士は供給過剰状態であるとも言われている。そこで諸要因を調査し、需給予測モデルを構築し、これに基づき良質な歯科技工士を安定供給するための基礎データを得ることを目的に本研究を行った。
研究方法:
歯科技工士需給に関する実態及び意識を明らかにするためにアンケート調査を日本歯科技工士会会員、日本歯科医師会会員から無作為抽出した対象者および各都道府県の歯科医師会会長、歯科技工士会歯会長、全歯科技工士養成所長に対し実施し、その結果を解析した。また、衛生業務報告等の統計資料及び歯科技工士学校養成所3校の卒業生の稼働状況調査等を用いて供給予測モデルを作成するとともに、歯科技工士の需要を決定する要因について、各種統計資料を用いて解析すると共に、今後の環境について文検討による検討を行った。
結果と考察:
1.歯科技工士の就業動向および意識について 従事先別にみると,歯科技工所開設者と歯科医療機関勤務者は20年以上従事している者がそれぞれ39.6%、40.7%をいたのに対し、歯科技工所勤務者は4年以下が59.1%を占めていた。また歯科技工士の65.9%が最近の歯科技工物の受注総量が減少していると答えており、歯科医療機関に勤務する歯科技工士も55.6%が減少していると考ていた。歯科技工士需要については日本歯科歯科技工士会会員の61.5%、都道府県歯科技工士会会長の87.2%が今後,歯科技工士が過剰になると考えていた。
2.歯科医師側から見た歯科技工士の需要について 歯科技工士が従事していない歯科診療所は75%で、前回平成4年実施の調査の66%より増加していた。また、歯科技工物を外注している歯科診療所は95%であり、院内歯科技工士がいる歯科診療所においても89%が外注を行っている。将来、歯科技工士が過剰になると回答した歯科医師は44%、県歯会長は64%で前回平成4年実施の調査より、大幅に増加していた。このことは歯科技工士の回答と合わせて、歯科技工士が過剰であるとの認識が急激に高まっていることを示唆している。
3.歯科技工士学校養成所に対するアンケート調査の結果、卒業生に対する求人倍率は平均3.4倍であったが、卒業時までに就業先が決定していると回答したのは63.9%であった。また、医療従事歯科医師数等の統計調査資料による就業歯科技工士数との関連を分析した結果、医療従事歯科医師数は経年推移でも、都道府県別でも就業歯科技工士数と高い相関を示したが、院内技工から外注技工にシフトしていく中で、医療従事歯科医師数とのバランスが変化していくことも予想され,さらに検討を加える必要がある。
4.歯科技工士の供給予測について 就業歯科技工士数,歯科技工士免許登録者数、を対象に実施した実態調査結果から稼働率(A・Bの2種),新規参入歯科技工士数,年齢構成、男女比等のパラメーターを設定し,基本となる供給予測モデルを作成した.このモデルの現時点での推計では稼働率Aでは平成28年の52,300人まで増加し続け、稼働率Bでは平成38年の60,500人まで増加し続ける結果となった。しかし稼働率の設定については非常に困難で今回は同窓会組織の充実している3校の調査結果から推定したが,卒後年数が経過するに伴い、不詳者が多数をしめるようになり、複数の稼働率の設定という形で予測に幅を持たせざるを得なかった。今後、さらに検討を加える必要がある。
結論:
1)歯科技工技工士と歯科医師の養成数のバランスについて歯科技工士の61.5%、歯科医師の34.1%、都道府県歯科技工士会長の91.5%,都道府県歯科医師会長の61.7%歯科技工士学校養成所長の47.2%が歯科技工士の養成数が多いと回答した。
2)歯科技工士の需給については歯科技工士の61.5%、歯科医師の44.1%、都道府県歯科技工士会長の87.2%、都道府県歯科医師会長の63.8%、歯科技工士学校養成所長の47.2%が将来過剰になると回答した。
3)全歯科技工士の65.9%が歯科技工は減少していると回答した。
4)歯科診療の75%には歯科技工士は従事しておらず,歯科診療所の95%が歯科技工物の外注を行っていた。
5)歯科技工士学校養成所の卒業生に対する求人倍率は3.4倍であり,卒業時までに全員の就業が決定していると回答したのは63%であった。
6)医療従事歯科医師数と就業歯科技工士数は高い相関を示した。
7)作成した供給予測モデルによる現段階での推計では、就業歯科技工士数は平成38年で50,000~60500人になると推計されたが、今後、各種パラメーターの設定等についてさらに検討を加える必要がある。
文献番号
199800821A
報告書区分
総括
研究課題
歯科技工士の需給及び養成に関する研究
課題番号
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺嘉一(日本歯科大学)
研究分担者(所属機関)
兵藤英昭(日本歯科医師会),中西茂昭(日本歯科技工士会),石綿勝(東京医科歯科大学歯学部附属歯科技工士学校)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
開始年度
平成10(1998)年度
終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
3,600,000円
研究報告書(概要版)
研究目的:
将来に亘り質の高い歯科技工士を供給していくことは重要なことであるが、現在すでに歯科技工士は供給過剰状態であるとも言われている。そこで諸要因を調査し、需給予測モデルを構築し、これに基づき良質な歯科技工士を安定供給するための基礎データを得ることを目的に本研究を行った。
研究方法:
歯科技工士需給に関する実態及び意識を明らかにするためにアンケート調査を日本歯科技工士会会員、日本歯科医師会会員から無作為抽出した対象者および各都道府県の歯科医師会会長、歯科技工士会歯会長、全歯科技工士養成所長に対し実施し、その結果を解析した。また、衛生業務報告等の統計資料及び歯科技工士学校養成所3校の卒業生の稼働状況調査等を用いて供給予測モデルを作成するとともに、歯科技工士の需要を決定する要因について、各種統計資料を用いて解析すると共に、今後の環境について文検討による検討を行った。
結果と考察:
1.歯科技工士の就業動向および意識について 従事先別にみると,歯科技工所開設者と歯科医療機関勤務者は20年以上従事している者がそれぞれ39.6%、40.7%をいたのに対し、歯科技工所勤務者は4年以下が59.1%を占めていた。また歯科技工士の65.9%が最近の歯科技工物の受注総量が減少していると答えており、歯科医療機関に勤務する歯科技工士も55.6%が減少していると考ていた。歯科技工士需要については日本歯科歯科技工士会会員の61.5%、都道府県歯科技工士会会長の87.2%が今後,歯科技工士が過剰になると考えていた。
2.歯科医師側から見た歯科技工士の需要について 歯科技工士が従事していない歯科診療所は75%で、前回平成4年実施の調査の66%より増加していた。また、歯科技工物を外注している歯科診療所は95%であり、院内歯科技工士がいる歯科診療所においても89%が外注を行っている。将来、歯科技工士が過剰になると回答した歯科医師は44%、県歯会長は64%で前回平成4年実施の調査より、大幅に増加していた。このことは歯科技工士の回答と合わせて、歯科技工士が過剰であるとの認識が急激に高まっていることを示唆している。
3.歯科技工士学校養成所に対するアンケート調査の結果、卒業生に対する求人倍率は平均3.4倍であったが、卒業時までに就業先が決定していると回答したのは63.9%であった。また、医療従事歯科医師数等の統計調査資料による就業歯科技工士数との関連を分析した結果、医療従事歯科医師数は経年推移でも、都道府県別でも就業歯科技工士数と高い相関を示したが、院内技工から外注技工にシフトしていく中で、医療従事歯科医師数とのバランスが変化していくことも予想され,さらに検討を加える必要がある。
4.歯科技工士の供給予測について 就業歯科技工士数,歯科技工士免許登録者数、を対象に実施した実態調査結果から稼働率(A・Bの2種),新規参入歯科技工士数,年齢構成、男女比等のパラメーターを設定し,基本となる供給予測モデルを作成した.このモデルの現時点での推計では稼働率Aでは平成28年の52,300人まで増加し続け、稼働率Bでは平成38年の60,500人まで増加し続ける結果となった。しかし稼働率の設定については非常に困難で今回は同窓会組織の充実している3校の調査結果から推定したが,卒後年数が経過するに伴い、不詳者が多数をしめるようになり、複数の稼働率の設定という形で予測に幅を持たせざるを得なかった。今後、さらに検討を加える必要がある。
結論:
1)歯科技工技工士と歯科医師の養成数のバランスについて歯科技工士の61.5%、歯科医師の34.1%、都道府県歯科技工士会長の91.5%,都道府県歯科医師会長の61.7%歯科技工士学校養成所長の47.2%が歯科技工士の養成数が多いと回答した。
2)歯科技工士の需給については歯科技工士の61.5%、歯科医師の44.1%、都道府県歯科技工士会長の87.2%、都道府県歯科医師会長の63.8%、歯科技工士学校養成所長の47.2%が将来過剰になると回答した。
3)全歯科技工士の65.9%が歯科技工は減少していると回答した。
4)歯科診療の75%には歯科技工士は従事しておらず,歯科診療所の95%が歯科技工物の外注を行っていた。
5)歯科技工士学校養成所の卒業生に対する求人倍率は3.4倍であり,卒業時までに全員の就業が決定していると回答したのは63%であった。
6)医療従事歯科医師数と就業歯科技工士数は高い相関を示した。
7)作成した供給予測モデルによる現段階での推計では、就業歯科技工士数は平成38年で50,000~60500人になると推計されたが、今後、各種パラメーターの設定等についてさらに検討を加える必要がある。
文献番号
199800821A
報告書区分
総括
研究課題
歯科技工士の需給及び養成に関する研究
課題番号
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺嘉一(日本歯科大学)
研究分担者(所属機関)
兵藤英昭(日本歯科医師会),中西茂昭(日本歯科技工士会),石綿勝(東京医科歯科大学歯学部附属歯科技工士学校)
研究区分
厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
開始年度
平成10(1998)年度
終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
3,600,000円