歯科技工管理学研究

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歯科技工士・岩澤 毅

022 回国会参議院社会労働委員会 24 1955/07/11 1 加藤武徳 曾田長宗

1955年07月11日 | 国会議事録
022 回国会参議院社会労働委員会 24 1955/07/11

○委員長(小林英三君) 次に、歯科技工法案を議題といたしまして、御質疑を願います。

○加藤武徳君 前回の委員会で歯科技工法案についての提案理由の説明を伺ったのでありまするが、私はこの法案について数点の質疑を行いたいと、かように思います。

 まず第一点は、いわゆる歯科技工については、法案の第二条に明記しておられるようでありまするが、まず、この歯科技工について、法案の案文に書いてあることのみならず、さらに若干詳細な御説明をお願いをしたいと、かように思います。

○政府委員(曾田長宗君) 本案の趣旨は一通り提案説明で申し上げたわけでございますが、この一番ねらいといたしますところは、歯科の診療の中に含まれておりまする特に技工の問題というものが、仕事といたしましても、近時ますますふえて参っております。歯科医師の実際に行なっておりまする診療の中でも、時間的に見ても、また経費の上から見ましても、相当大きな部分を占めるようになってきておるわけであります。そうして、この歯科の技工と申しますものは、もちろん歯科医師が責任を持ってやっておるのでありますが、その一部分は、歯科医師が他の技術者の補助を得て行うというような状況が、徐々と申しますか、だんだんに発展して参っておるわけであります。そうして一部からは、必ずしも歯科医師が直接に指示監督をいたさずとも、非常に熟練した者、また素養のある者であるならば、一定の命令指示をいたしました後、自分が責任を持ってこれを行うこともできるという性質のものであるというふうに考えられて参っておるのであります。それに対しまして他面においては、さように熟練いたした者にはある程度まかせられるけれども、さればといって、これを無制限にというようなことになりますと、いろいろ例をあげますならば、たとえば義歯というようなものについて用いますいろいろの材質というものについて、でき上ってしまうと、これを十分にその良否を検査するというようなことが絶対に不可能とは言えないまでも、きわめて困難になるというような事情がありますために、よほど基礎的な技能を修得したものでなければ、まかし切るというわけにもいきかねるというような事情が出て参りまして、他面歯科診療に対する需要が非常にふえて参っておりまして、歯科医師もきわめてわずかには増加して参っておるのでありますけれども、人口の増加、あるいは今日の歯科診療に対する国民の要望と申しますか、これの向上というものにこたえることが、今日においてはいささか不満足な状態にあるというようなところから、歯科医師が今日やっております仕事のうちでも、この介補者にまかし得るというような仕事がありますならば、その歯科診療の介補者にその仕事の責任を持ってもらう。他面におきまして、その責任を負い得るだけの教育をし、その資格をはっきりいたさなければならぬということが、この法案を提出いたしました一つの背景になっておるわけでございまして、いろいろそれに応じてこまかい規定をいたしたような次第であります。

○加藤武徳君 ところで、いわゆる歯科技工は、歯科医師のやりまする歯科診療の一部を分担せしめるという考え方であるか、従って歯科診療のワク内における一部分担の考え方か、あるいは歯科技工士を作り、さらに行く行くの問題としては、歯科技工を診療の一部から切り離した考え方に発展させようという基本的な態度であるか、その点についての御答弁をいただきたい。

○政府委員(曾田長宗君) 結論を先に申し上げますれば、私どもといたしましては、歯科技工は歯科診療の一部である、歯科診療のうちに含めらるべきものであるという考え方をいたしておるわけであります。多少付言して申しますならば、今日の歯科教育、歯科医の教育というものにおきましては、その内容に、大きい意味で技工に属する仕事、科目というものに非常に多くの時間を費されておるというような状況からも、これは歯科医の教育のうちに含まれておるものというふうに考えております。

○榊原亨君 ただいま加藤委員の御質問に対する御当局のお答えとされまして、歯科技工が歯科診療の一部であるというお答えがあったように承わったのでありますが、そういたしますると、この診療の一部分であるものを歯科技工士におまかせになるというようなことですか。私が了解いたしておりましたのは、さようなことではないと思うのであります。たとえば義歯なら義歯というものを作りますまでは、これは歯科技工でありまして、作りましたその義歯を直接人体に当てはめますところで初めて治療というものができる。その治療をいたします一つの器械器具を作るというのが歯科技工と私は考えておるのでありますが、歯科技工を診療の一部とお考えですか。そういたしますと、これはまた医薬分業と同じ問題が起る。その点ははっきり一つ。

○政府委員(高田浩運君) 法律的な事柄にもわたりますので、便宜私からお答え申上げたいと存じます。歯科技工が広い意味の、つまり通俗的な意味での歯科診療の一部であるというふうに考えられることは当然でございますが、法律的にいういわゆる歯科医療――歯科医師でなければ歯科医療を行なってはならないという意味での歯科医療、この中には含まないと、かように考えておるわけであります。

○榊原亨君 この際はっきりさせておきたいのでありまするが、お出しになりました法律案におけるところの歯科技工と申しますのは、歯科診療を行いますために必要なその器具を作成する技術でありまして、診療そのものではない、できました器具を人体に当てはめますというところにおいて初めて治療ということが行われて参るのであります。従いましてここの法律にいいます歯科技工といいますのは、歯科診療の外にあって、ただし歯科診療に必要なる器具を作るということだと私は思うのでありますが、さようでありますか。

○政府委員(高田浩運君) 法律的にシヴィアに考えればお話の通りでございます。ただ通俗的に考えますというと、技工という部門は、歯科診療ないし歯科診療のうちでは相当重要な部分を占めていることは、これは十分御承知の通りでございまして、その意味において、世間的にいわゆる通俗的に考えれば、これは歯科診療のうちの重要な一部分を担当するものであるというふうには言われると思いますけれども、厳密ないわゆる法律的な観念として考えれば、歯科医療あるいはこれに即応する言葉で表わされるところのものとしては含まれない、さように御了承いただきたいと思います。

○加藤武徳君 私が危惧をいたしておりました点を榊原委員から御指摘になられましたので、この点での質疑はあらためてしたくはないと、かように思うのでありますが、御承知の世上医薬分業の問題がずいぶんと論議をされております。そのやさきの法案でありますだけに、直接間接に関係を持ちまするものは、果して歯科技工がどのような重さを持つかにずいぶんと関心を持っておると、この点だけを私はつけ加えておきます。

 次に、資料によりますると、ただいま歯科医師は約二万数千名、かように承わっておりまするが、歯科技工のいわゆる技工士あるいは技工所、これは歯科治療の進展の度合いに随伴いたしまして、その数等も逐次変ってゆく、かように了解をいたすものでありまするが、資料によりますると、ただいまの歯科技工士は大体六千名、かように相なっておるようでありまするが、この通りでございますか。

○政府委員(高田浩運君) お話の通りでございます。

○ 加藤武徳君 ところで、歯科医師が二万八千名で、技工士が六千名、かような数字でございますると、歯科医師四人ないし五人に対しまして一人、かような割合の歯科技工士の数でございますが、今後の歯科治療上、この程度の均衡でよろしい、かような考え方か、あるいはこの法律を制定いたしまするこれを契機といたしまして、さらに飛躍的な数の増加等をはかろうとなさっておられるか、この点についての御答弁を願いたい。

○政府委員(高田浩運君) お話の通りに歯科医師と、それから歯科技工士との業務上の関連というのは、非常に重要な問題でございます。これに関連をして、結局両者の数のバランスをどうとっていくかということが、実際上の問題としては今後非常に重要な問題になってくると思います。先ほどお話のありましたように、診療に従事しておりまする歯科医師約二万八千、それから技工士、技工に携っておる者が約六千ということでございますが、私どもの見方では、今日の六千という数字はやはりまだ少きに失する、それで現在の状態におきますと、大体年々五十名ずつの新しい技工士が、卒業をして試験を受ける、そういうふうな数字になっておりますけれども、これではなおまだ少いと考えられますので、この辺の増加ということも今後考えていかなくちゃならぬと思います。ただしかし先ほど申し上げましたように、数のバランスの問題は非常に重要な問題でございますので、これを野放図に広げるということは、これは避けなければならない問題でございます。さように考えております。

○加藤武徳君 ところで、今後年々五十名、かように言われたのでありまするが、法案の第十四条に受験資格につきましての規定を設けまして、第一号、第二号、第三号、第四号、かように四項目列挙しておられるようでありまするが、第三号、第四号はさして私は問題はない、かように考えまするが、第一号の「文部大臣の指定した歯科技工士学校を卒業した者」、第二の「厚生大臣の指定した歯科技工士養成所を卒業した者」、このいわゆる両建で教習を経ました者を厚生省としては、いかような措置によって歯科医師の数と均衡を保とうとなさっておられるか、この点について。

○政府委員(高田浩運君) 学校及び養成所の指定が二本に分れておりますので、従いましてこれを適当な数に調整をするにつきましては、両省十分連絡を緊密にしてやっていかなければならないことは申すまでもございません。その点は理屈から申し上げれば、一本よりも二本の方が統制がとりにくいという点はこれはあろうかと思いますけれども、しかし医師にしましても、あるいは歯科医師にしましても、その他医療関係者の教育につきましては、文部省と厚生省とは緊密な連絡をとってやっておりますので、この点につきましても十分連絡を密にして参りたいと考えております。

○加藤武徳君 歯科医師については、国家試験の方法によって厚生省が一本に数をかちっと握る、ところが技工士についてはそうでない形をとりますると、なるほど、理論的には今高田次長の言われたように、厚生、文部両省で話し合いをしつつ統制はできるとは言いながら、実際問題としては二元化することは好ましくないのじゃないか、かように思っておるわけでございまするが、それはむしろ私は文部省当局にただしたい、かように思ったのでありまするが、厚生省として、二元化の今の法案の姿がよろしいか、あるいはでき得べくんば一元化して厚生省の所管下に置きたい、この方が好ましいか、その点はどうですか。

○政府委員(高田浩運君) 大へん私の方としてはお答えしにくい御質問でございますが、御承知のように教育の関係は、学校教育の関係は、これは文部省が管理をするというのが、つまり両省の分担でございますし、医師、歯科医師その他すべてと申しますか、ほとんど全部のそういった医療関係者及びこれの補助者というものが文部大臣の指定した学校、厚生大臣の指定した養成所で、そして厚生大臣なりあるいは知事の試験を受けてその身分を獲得するというしかけになっております。試験と申しましても、これは定員を――たとえば入学試験のごとく定員をきめての試験ではございませんで、ある程度のそれ相当の知識、経験を有しているかどうかということについてのいわゆるテストでございますので、従って試験によってその増減をかげんするということは、従来も考えておりませんし、今後も考うべきではないと思います。その意味において、増減の根本的な要因となるものは、どうしてもいわゆる養成所なり学校なりの卒業生を何名にするかということに一にかかっているといって差しつかえないと思います。その点、たとえば医師なり歯科医師の数については、これはほとんどと申しますか、全部文部大臣の管理をしておる大学を出た者がこれにはまってくるわけでございます。その意味からすれば隔靴掻痒の感があることは、これは申すまでもないことだと思います。今まではたとえば看護婦にしましても、助産婦にしましても、あるいは保健婦にしましても、いわゆるふやすこと一方の政策をとればいい、そういう関係でございましたので、文部、厚生の間に意見の拝格を来たしておることは一つもなかったわけでございます。そういうような事情であるということを御了承いただきたいと思います。

○加藤武徳君 わかりました。また、ちょっと話が元へ戻りますが、先ほど榊原委員に対しまする曾田局長なり高田次長の答弁ではっきりいたしますように、歯科技工は、いわゆる歯科診療のなるほど一部ではあるが、必ずしも割り切った形ではないわけなんで、従って歯科技工は、いわゆる対外的な患者に直接接触する面ではない、どういう表現がいいか、一般国民の、あるいは患者の直接対象となるような立場ではない、かように了解するわけでありますが、ところで、にもかかわらず、今日まで歯科技工士がいわゆる歯科治療に類似いたしました行為を行いましたために法にかかる、歯科医師法違反として問われる、かような例が間々あったように私は聞いておるのでありまするが、この点についての厚生省にもし資料があればお示し願いたい。

○政府委員(高田浩運君) お話のように、歯科技工の職分というものは、患者に直接いたしまして印象採得であるとか試適であるとか、そういった行為を行なってはならないことは当然のことでございまして、しかしお話のようにまま間違いを起す者もなきにしもあらず、また将来もそういうことも杞憂に終るかもしれませんが、考えられないこともありませんので、念のための規定といたしまして、この法律の二十条に、そういったことをやってはいけないという意味の規定を置いた次第でございます。お話のように、過去において残念ながら、歯科技工に携わっておる人たちが歯科医療に携わり、すなわち歯科医師法違反をやって問題になった例がありますが、これは別に資料として御提出さしていただきたいと思います。

○ 加藤武徳君 歯科技工の業務上の注意事項については、今言われたように、第二十条に記載してはございまするが、ところで、対外的な関係はない、かようには言いながら、実際問題としては、やがて資料をいただけばはっきりいたすように、歯科医師法違反で問われたような例が間々ある、多々ある、かように考えるのでありますが、ところで、かようなおそれがあれば、歯科技工が対外的に自己の業務を知らしめる際の制約というか、この点についての条章が見当らぬ、かように見るわけであります。ところで、医師につきましても、歯科医師につきましても、医療法等におきまして制約を設けておるわけでありまするが、私は医療法の第六十九条をただいま抜粋してここに持っておりまするが、この規定と同様な規定をこの法案に盛り込む必要がありはせんだろうか、かように考えておるわけでありまするが、この点についての厚生省の御意見を承わりたい。

○政府委員(高田浩運君) ただいまお話がございましたように、本来歯科技工に携わる人たちは歯科医師との関係を生ずるわけです。一般大衆、いわゆる患者との関係は生じないわけでございますから、理屈から申し上げましても、その広告するところも歯科医師を対象とした広告でとどまるべきだし、それでまた十二分であるというふうに常識的に考えられますけれども、過去における実情等から判断をいたしまして、まま間違った広告等がなされるということになりますと、これは歯科医療の方に及ぼす弊害がきわめて大なるものがあると考えられるのでございます。一応、現在はそういうような不心得な方はおられないとは思いますけれども、実はその点も十分心配をいたしましたのでございますけれども、その広告上の制限も、何らかの規定を置きたいということも考えてみたのでございますけれども、現段階においてこの種の職務を行う――先ほど来申し上げましたようなこの種の職務を取り扱う者に、そこまで立ち入って法律上の制限を加えることは法制上いかがであろうかというような疑義もありましたので、一応ここには載せないで御提案申し上げたような次第でございます。

○加藤武徳君 次に、私は指示書のことにつきまして若干お伺いいたしたい。法案の第十八条には「歯科医師又は歯科技工士は、厚生省令で定める事項を記載した歯科医師の指示書によらなければ、業として歯科技工を行ってはならない。」、かようになっておりまするが、私はちょうだいいたしました資料で、厚生省令で定めるいわゆる記載事項、この点につきましてのあれを繰ってみたのでありますが、見当らないようでありますが、いわゆる指示書はいかようなことを記載せしめようという腹案でありまするか、この点をお示し願いたい。

○政府委員(高田浩運君) 省令で記載をいたしたいと考えておりますことは、内容的な部分といたしましては、設計、作成方法、それから使用材料、どういう材料を使うかというようなことを内容的に考えております。そのほか、もちろん歯科医師の名称でありますとか、あるいは年月日であるとか、そういったことは当然書かせるつもりであります。

○加藤武徳君 第十八条についてはわかりましたが、第十九条につきまして、指示書の保存年限は二ヵ年、かように定めてあるようでありまするが、保存の義務者はだれなんですか。「病院、診療所又は技工所の管理者は、」云々ということで、これは指示書を出しました病院なり診療所あるいは歯科医師、これが保存の義務者でありますか。あるいは歯科技工士あるいは歯科技工所、これが保存の義務者でございますか。

○政府委員(高田浩運君) 発行者ではございませんで、実際に製作をする所の管理者、従って受け取った者と申しますか、技工所の管理者ということです。

○加藤武徳君 そうですと、第十九条は「病院、診療所」この文字は不必要なので、歯科技工所の管理者あるいは歯科技工士、かように表現することによって足りるのじゃないですか。この表現ですと、病院なりあるいは診療所の管理者が、ということに受け取れるわけでありますが、病院に勤務しておる歯科医師が指示書を同じ病院内の歯科技工士あるいは歯科技工所に渡して作らせました場合に、その指示書の管理者は、なるほど病院内ではあるが、病院とは異なる歯科技工士あるいは歯科技工所、これが保存の義務者になるのじゃないですか。

○政府委員(高田浩運君) 例をあげて申し上げたいと思いますが、歯科医師を歯科技工所の管理者に対して指示書を発行いたしまして、そしてそこの技工所で作って納める場合には、歯科技工所の管理者が保存の義務がある。それから病院なり診療所なりにおきまして歯科医師が患者を見まして、指示書を製作をして、そこに働いておりまする技工士に作らせる場合におきましては、そこの病院なり診療所なりの管理者が保存の責任者になる、と申しますのは、結局文書その他につきましては、これは病院、診療所におきましては、すべて管理者に最後の責任を負わせている、そういう医療関係の法律上の建前にいたしましておりますので、個人に持たせないで管理者に責任を持たせる、そういう仕組みにいたしたわけであります。

○加藤武徳君 ところで今までは指示書を作成せずに義歯等を作らせておったのに、今度のこの法律で新たに指示書を作らしめるといたしますならば、これが医療費に響いてくるかどうかという問題、これは医薬分業の問題で処方箋について議論があると同じような議論が起きやせんだろうか、かように考えるわけでありますが、指示書の作成費等について、何がしかを考えておられるかどうか、この点はいかがですか。

○政府委員(高田浩運君) この指示書をば、結局歯科医師があるいは自分でやる、あるいは仕事の一部を人に頼んでやるわけでありまして、いわゆる両者の関係に存する文書でございますし、それからいわゆる処方箋というのは、これはそこに第三者が介入するわけでございますが、その点が処方箋の場合と違うと思いますし、もともと正確に技工を行いますにつきましては、その間の関係を正確にし、間違いがないようにするためには、当然こういったことは歯科医師等としてはやるべきことでございますので、このために歯科医療に必要な医療費が高くなるということは、これは考えておりません。

○加藤武徳君 その点なんですが、処方箋についても同じ議論があるわけです。今までだって診察しているじゃないか、その診察の結果を紙に書くだけなんだから、これは処方箋料を別個に取らなくていいじゃないかという議論と、やはりこれを取らなければいけないのだ、こういう議論があると同じように、今日までは指示書を必要としなかったわけですね。ところがこの法律によって新しく歯科医師が今おっしゃったような、材料はこれを使え、型ほこうなんだ、またこういう方法でやれということを詳細に文書にしたためるといたしますならば、歯科医師は当然文書を作成いたしまするそのエネルギー等に対して代償を考えるということはあり得るわけなんであって、今日まで作らなくてよかった指示書を作るということによって医療費が高くなりやせんだろうか、かりにその指示書の代金としては要求しなくても、治療代にこれが含まれることによって、患者は今まで以上にプラス・アルファの代金を払わなければならぬ場合が起きやせんだろうか、その点をお尋ねしておるのです。

○政府委員(高田浩運君) 一応御心配の点はごもっともだと思いますが、こういうふうにお考えいただいたらいいかと思いますが、たとえば医師にしましても、歯科医師にしましても、患者を見た場合、カルテを書かなければならない、これは法律上の規定になっているわけでございます。このカルテにつきましては、結局患者との関係は何らの直接関係は生じない、業務上の必要に基いて作ることを法律上義務づけているわけでありますけれども、これについて、いわゆる医療報酬上のカルテの製作ということについての医療報酬上の考慮はまあ払われていないわけであります。ただ診療の内容に伴っての医療費というものが考慮に払われている、この指示書についても同じようなふうに考えておる次第であります。

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