歯科技工管理学研究

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歯科技工士・岩澤 毅

022 回国会参議院社会労働委員会 24 1955/07/11 2 加藤武徳 高田浩運

1955年07月11日 | 国会議事録
○ 加藤武徳君 それでは最後にお伺いいたしまするが、指示書につきましては、例外の措置を設けることなく、いかなる場合にも指示書を出せ、かような建前になっておるようでありますが、同じ病院なりあるいは同じ診療所で特にかたわらに技工士を置いて治療を行なっておりまするような場合に、繁雑な――繁雑というか設計なりあるいは作成方法なり、材料を文書に記載いたしますることは、これは相当に繁雑が予想されるわけでありますが、その場合をも指示書の作成を義務づけることがどうだろうか、むしろ同一病院なり同一診療所内においては、口頭によって伝えることがより一そう正確で迅速だ、かような場合も考え得るのでありますが、この点についての例外の措置を設ける方がいい、かようにお考えであるかどうか、この点について最後にお伺いいたします。

○政府委員(高田浩運君) お話のように、同一の病院なり診療所内における医師と技工士との関係につきましては、外の方に技工を依頼する場合と、便否の問題からすれば、多少違いがあることはお話の通りであります。そういう点も考慮いたしまして、省令で定めます場合におきましては、その辺無用の繁雑にならないように、十分便宜な取扱いができるように省令で規定をいたしたい、かように実は考えておった次第であります。この点は従来の取扱いといたしましても、たとえば処方箋とひっ比べるのは適当ではないかもしれませんけれども、処方箋の場合におきましても、そういう点は相当考慮されておったようであります。その点は省令の規定の場合におきまして、十分考慮したいつもりではございます。

○加藤武徳君 御趣旨はよくわかりましたが、私については若干の意見がございますが、聞き残しましたので、保存義務の点につきましてもう一回。指示書を歯科医師が出しまして、歯科技工に渡し、そして作成いたしましたものとともに歯科医師に返しまして、むしろ保存義務は歯科医師に負わせた方が適当ではないか、かようにも考えられるわけです。というのは、決して歯科技工を疑ったりまた指示書なくして作成するというような場合があるとは考えられないのですが、しかし発行いたしました者に返しまして保存せしめるという措置がよくはないか、かように思うわけでありまするが、あくまで第十九条のように、指示書は技工士なりあるいは技工所に保存せしめる方がいいとお考えになるのですか、最後に一点お伺いいたします。

○政府委員(高田浩運君) この点は、実際上の取締りということを初めから考えるのもいかがかと思いまするけれども、その辺も考え合せて御提案申し上げているように、受けた方に保存義務を負わせる、そういうふうに実はいたしております。

○高野一夫君 私簡単なことで二、三伺いたいのですが、第十四条の受験資格、先ほど加藤さんからの御質問にございました通りに、文部大臣と厚生大臣の指定の学校と養成所がある、これは現在幾つくらいあって、年々双方ともにどのくらいの卒業生が出ることになるのか。同時になぜこの二つに分れておるのか、どっちか一方に統制しようと思えば統制できると思うのですが、その点はどうですか。

○政府委員(高田浩運君) 現在ありますのは、いわゆる事実上の養成機関でございまして、従ってこの養成機関を出ればどういうような特典なり効果があるというふうな、そういう関係が生じておりませんので、従って事実上、いわば養成をしているという機関があるだけでございまして、従ってこれが学校であるとか、あるいは養成所であるとかいうふうにまで、いわば分化してはっきりと分れていないわけであります。現在ありますのは東京医科歯科大学歯学部の付属の歯科技工学校それが一つ、それから日本大学歯学部付属の歯科技工士養成所――これは養成所という名前を使っておりますが――それから在団法人愛歯会技工士養成所――これは療成所になっております。この三つがございます。

○高野一夫君 そうすると全国でわずか三つしかないというわけですか。厚生大臣の指定した養成所というのは財団法人愛歯会だけですか。あと学校になるのは全部文部大臣の指定になるのか。

○政府委員(高田浩運君) これは現在まだ指定をいたしたわけのものでもございません。指定以前の現実の姿がかようになっておるということでございますので、これを指定するということになりますというと、このおのおのが、自分は学校になろう、自分は養成所になろうというふうに、それ相当の設備なりあるいは人員をそろえて、いずれかに振り分けて、あるいは現在御提案申し上げておる法律によりますと、学校であれば文部大臣の方に、養成所であれば厚生大臣の方に来るわけでございます。しかして学校ということになりますと、いわゆる学校教育法という法律上のいろいろの諸条件を満足しなければなりませんので、それ以外のものは養成所ということになるわけでございます。

○高野一夫君 しからば十四条の「文部大軍の指定した」あるいは「厚生大臣の指定した」というのは、今後のことですか。

○政府委員(高田浩運君) そうです。

○高野一夫君 今後こうしたいというわけですか。

○政府委員(高田浩運君) はあ。

○高野一夫君 そこで引き続いて伺いますが、しからば文部大臣の指定した学校の方をふやそうということになるのか、厚生大臣の指定した養成所がふえることを希望するわけですか。今後試験も受けなければならぬわけでしょうが、今後の方針としてはどういうふうにやるべき問題と考えられますか。

○政府委員(高田浩運君) これは学校ということになりますと、学校教育法によって規定をいたしております学校としてのいろいろの必須要件を満足させなければなりませんし、養成所であれば、そういったことにはある程度こだわりなく、つまり養成の実効を上げる、厚生大臣の要求する条件を満足すれば、それでよろしいということになるわけでございます。その意味からすれば、学校になる方がよけい条件が重くなるというふうにお考えいただいてけっこうだと思いますが、その辺をどちらが妥当であるかということにつきましては、これは別に現在考えておりません。

○高野一夫君 しからば第三章の試験に戻りますが、試験のやり方、内容は厚生大臣が省令できめるということになっていたと思うのでありますが、政令で定める。そうすると養成所を出てもこの試験が受けられる、学校を出ても試験が受けられるということになるのです。そうすると程度は、学校より養成所の設備は簡単で済むし、そうすると勉強することも簡単で済むわけだが、その養成所でたくさんである、その程度の試験、そういうふうにお考えになりますか。

○政府委員(高田浩運君) これはこの法律だけでなく、たとえば看護婦にいたしましても、あるいは保健婦にいたしましても、その他もろもろの医療関係の補助者等について、これと大体において同じ形になっておるのでございますが、学校の関係であれば文部大臣、養成所の関係であればこれは厚生大臣、その辺学校にしても養成所にしても目的は一つであるから、同じように取り扱ったらいいのじゃないかというような御議論もごもっともと思いますけれども、政府としては学校教育の関係は、一応文部大臣の所管ということになっております関係上、法律上の取扱いとしても、今申し上げたようなことになっておるわけでございます。ただいずれにいたしましても、学校にいたしましても、それから養成所にいたしましても、これこれの基準を備えなければならないというふうな、いわゆる指定規則は、もちろんこれはこさえるわけでございますし、これはほかの看護婦等も同じでございますが、その条件によって統制をとって参りますので、その間学校だから上、この方面の技術について上、養成所だから下というふうにはならないわけで、その間の統制は十分それによってとれては参るわけでございます。ただ先ほど来お話があっておりますように、これがどんどん数がふえるということになりますと、その辺に一つの問題が起る可能性もなきにしもあらずということは一応考えられますが、今までのところは、いわゆる養成所の指定規則ということで統制をとって、両者緊密にやっておる次第でございます。

○ 高野一夫君 今の問題は、私はまだ伺いたいのでありますが、ちょっと私自身先を急ぐことがございますので、次にもう一点だけ伺っておきたいと思います。第二十一条の歯科技工所の開設ですね、これは別に管理者が定めるわけでありますから、当然何人といえどもこれを開設することができる、こういう意味に解してよろしゅうございますか。それが一点と、それから第二条の第三項の歯科技工所の開設でありますが、病院又は診療所内において歯科技工所を開設するというような場合はどうなるのか。ここに何か変な文句が書いてあるのでありますが、診療所が、歯科医師を開業している者が、自分のところに来た歯科の患者に対して、歯科技工を自分のところでやるということと、同時に別な診療所あるいは病院に行って指示書をもらった患者が、そこの病院、診療所から指示書を受けて、その診療所の歯科医師が技工がうまいからといってそれを受ける、こういうこともできるわけですが、その二つの場合はどういうふうになりますか。

○政府委員(高田浩運君) 第一点につきましては、お話の通りにだれでも届け出得る。それでこれは管理者を置かなくちゃなりませんから、けっこうである、そういうことになっております。

 それから第二点につきましては、歯科医師が自分のところの患者に関連をして技工をやらせるというのであるならば、これは技工所にはならない、従って二十一条の届出は不必要である。ただまあほかの方の技工をそこで盛んに請負ってこさえるということになりますというと、二十一条による技工所としてあわせて届けなければならない、そういうことになります。

○榊原亨君 この法律の二条にございます「歯科技工」というのは、ここにある通りでございましょうが、結局金属を溶かしたり、いろいろそういうことをすることでございますですか、お尋ねしたい。

○政府委員(高田浩運君) 金属を溶かしますこともその中の一つでございますが、終局としてここに書いてありますように、補てつ物、充てん物又は矯正装置を作成、修理、加工するということでございます。

○榊原亨君 そういたしますると、第四条のめくらの人にほこれはできない。ところがおしだとかつんぼとか色盲とか――先の問題にあるのでありますが、おしとかつんぼの人が、これが身ぶり手ぶりで合うとか合わぬとか歯科医師と話をする、こういうことはやはりはなはだむずかしいことではないかと思いますが、めくらの人以外の人であれば、色盲でもおしでもつんぼでもできるのでありますか、その点を承わりたいと思います。

○政府委員(高田浩運君) これは、医師、歯科医師のように、直接患者に接触をいたしましてやるものと違いまして、いわばその補助的な業務をやるわけでございますので、資格の制限等については、最大限度いわゆる寛大にすることがこれは望ましいと思いますが、そういう意味におきまして、まあ今お話のような身体上欠陥のある方でも、意思の疎通方法というものはこれはあるわけでございますから、それらの人はよろしいとして、ただ目の見えない方だけは何としてもこれはむずかしいのじゃないかということで、これだけを欠格要件として規定したわけでございます。

○榊原亨君 そういたしますると、金属を溶かすということ、るつぼの中において溶かすということにいたしましても、どの点まで溶けたかということは、やはりその金属の溶けた色を見なければわからぬわけですが、色盲でもそれができるのでございましょうか。私はそれはよくわかりませんが、また歯科医師の指示書と申しましても、その指示書については、いろいろこまかい点を注意して、こういうものを作ってくれという指示がされると思うのでありますが、そのときつんぼでございますれば、なかなかこれはむずかしいと思うのでありますが、おしとかつんぼとか色盲とかいうものがありましても、それができるということにつきましては、私多大の疑問を持っておるのでありますが、もう一度念のために、それで毛よろしいというお考えでございますか、当局の御意見を承わっておきたいと思います。

○政府委員(高田浩運君) お話のように、言語あるいは聴覚等に欠陥のある人たちは、それらの欠陥のない人と比べて仕事を行なっていきます上において、相当不便なりあるいはハンディキャップがあることは、これはまぬがれないことだと思います。ただ、それらをもって絶対的にいわゆる締め出すというふうに考えるほどのことはないじゃないか、かような考え方のもとに、まあ絶対的に欠格者と考えられますのは、ごくしぼって考えて規定した次第でございます。

○榊原亨君 そういたしますると、そういうめくらさんでなければできるというような程度の業務と当局はお考えになっておると思うのでありますが、それにもかかわらず、二十四条におきましては、歯科技工所の構造設備について、強い制限がつけられておるのであります。これが先ほどのめくらでなければ、めくらの者はできないという、そのほかの方はおしでもつんぼでもいいというその考えに比べまして、二十四条の歯科技工所の構造設備が不完全であってはいかぬ、あるいは歯科技工所はこういう設備を持たなければならぬというような、いろいろ省令でおきめになると思うのでありますが、これがやはり官僚統制と申しますか、いろいろしなくてもいいことまでもこまごまとそういうことが規定されるというようなことになりますと、今問題になりました四条の御当局のお考えと比べて、これはどういうものでございましょう。この歯科技工所の構造設備というものはどういうものをお考えになっておられるのでありましょうか、その点について承わりたいと思います。

○政府委員(高田浩運君) 二十四条の構造設備に関連をいたしましては、たとえば医療法に書いてありますような式で事こまかに書くということは、これは省令で規定をするということは考えておりませんで、二十四条については、施行の命令はないと考えております。この二十四条の規定を適用いたしまして、衛生上有害なものとなるおそれがあると認めるときは、改善すべきものと都道府県知事が具体的に命ずることができる、その規定が二十四条の規定でございます。

○榊原亨君 省令でおきめにならぬといたしますと、大体その構造が不完全であるというのは、どういうものが不完全であるというお考えでありますか。あるいは衛生上有害になるものが作られるおそれがあるというのは、具体的にどういう場合でありますか。それをどうして、こういうお考えがあるのでしょうか。まあそう大したことはないと思うのですが、そういうことは具体的にどういうことがあるのですか。

○政府委員(高田浩運君) 今お話のように大したことはないというふうにお考えいただいて結論としてはけっこうだと思いますけれども、ここでは不完全であって、これこれで矯正装置が衛生上有害なものとなるおそれがあると認めるときは、これに引っかかってくるわけでございますから、従ってその完全であるか不完全であるかということは、衛生上有害なものとなるおそれがあるかないかということが判断の基準でございますし、その意味できわめて軽いと申しますか、そういうふうに御了承いただいてけっこうだと思います。

○ 加藤武徳君 今のことに関連してですが、どうです。第四条なり第五条の書き方ですね、第二章の免許のところで、第四条では、今榊原委員の御指摘のように、めくらには免許やらないぞ、それから第五条で次の者はやらぬことがあるぞというので、悪いことをした者とそれから精神異常者やあへん中毒者、これもあげておるのですが、むしろ第四条なり第五条のかような規定は、法律に明示をすることなく、試験の制度なんですから、各都道府県の試験を行いまする際に、適当にかようなことを勘案して措置をなさる、かような措置がよろしいのであって、第四条なり第五条にややことさららしい特異な印象を受けるような表現をなさることをお避けになった方がよろしいとはお思いにならぬでしょうか。

○政府委員(高田浩運君) その立場の人たちから見れば、なるほど四条、五条というのは、いわば目ざわりになる規定でございまして、特に四条なんかにつきましては、お気の毒な人たちから見れば、特に目ざわりになる規定だというふうに思います。私どもも今お話のような気持でおりますけれども、ただ法律上の問題として申しますと、試験で法律の根拠をおかないで、この人は不適当だから落すということになりますと、これはやはり行政上の越権措置になりますし、従って四条なり五条というものの根拠規定がありませんというと、いかに目が見えない、あるいは精神病にかかっているということで不適当だと思いましても、試験では、通ればこれを落すだけの理由がないわけでございますから、その辺からどうしてもこの四条、五条のような、目ざわりにはなりますけれども、規定を置かなければなりませんし、それからまた第八条において免許の取り消しの規定がございますが、そういったことも好ましいことではございませんけれども、関連をしてくるわけでございまして、その意味においてやむを得ずこの四条、五条の規定を置かなければならないというふうに考えておりますが、この点はこの法律のみならず、医療関係者の、先ほど来申し上げております医療に関係した人たちの身分に関連をしては、こういった欠格事由あるいは総体的な欠格事由というものを法律に規定いたしまして、官庁の試験における自由裁量の範囲をしぼっておるわけであります。


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