医学は科学ではない (新書) 米山 公啓 (著)

医学は科学ではない (新書)
米山 公啓 (著)
新書: 203ページ
出版社: 筑摩書房 (2005/12)
ASIN: 4480062785

医学は科学を目指したい、しかし科学との信仰はいらない, 2007/1/6

レビュアー： 歯職人

　著者の立脚点が若干痛々しい。
　著者は、科学に対し過大な評価と期待、もっと言えば信仰に近い絶対性を意味づけている。それに対する比較で医学への評価を下そうとしている。
　医学に経験則に基づいた、経験科学としての医療、試行錯誤法による医療があることが我慢ならないのだろうか?
患者からの期待・プレッシャーからか、大学医学部の医局・講座の教授を身近に見てしまった何かか?
　その上で、本書の価値は、著者の真摯な姿勢にある。
　医療を取り巻く状況は、社会の空気と時代の空気と密接する。そこには、根拠の希薄な諸々に左右されの患者が、一方にはいる。そしてその患者に不確かなサービスを提供する医療・業者の側も。
　現状の医療を把握するために、医療が必要になるその時のために、本書は読んでおく価値がある。

目次

第1章 統計学が医学なのか
第2章 医学は芸術であった
第3章 医者は科学的根拠で治療しているか
第4章 人間的だからこそ科学ではない
第5章 医学を科学と誤解する人たち
第6章 患者は医療に何を求めるのか
第7章 健康食品と代替医療
第8章 医学をどう考えるべきか