坂口一樹 近年の医療政策の意図せざる結果：医療分野における人材紹介ビジネスの拡大

日医総研 日医総研リサーチエッセイ
No.57
近年の医療政策の意図せざる結果：医療分野における人材紹介ビジネスの拡大
坂口一樹

概要
•世界同時不況以降、全体的には市場の縮小に見舞われている人材紹介ビジネスの中で、最近、医師・看護師等、医療分野の人材を取り扱う紹介ビジネスの市場拡大が注目される。
•これら医療分野の人材紹介ビジネスの隆盛の背景には、新医師臨床研修制度の導入、7対1入院基本料の導入といった医療政策の実施が引き起こした医師不足と看護師不足がある。
•現状、医師・看護師の採用活動では人材紹介ビジネスを使わざるを得ない状況に追い込まれつつあるが、病院経営にとっては負担感がある。
•「新医師臨床研修制度」と「7対1入院基本料の導入」は、医師不足と看護師不足を深刻化させ、医療分野の人材紹介ビジネスの隆盛という「意図せざる結果」を招き、現場の負担となっている。民間の人材紹介会社を責めるつもりはない。彼らは、与えられた競争環境の中で、最適な行動をとっているだけだからだ。問題はその環境を招いた、近年の医療政策にこそある。

http://www.jmari.med.or.jp/research/dl.php?no=477