日本歯科技工学会第29回学術大会
プログラム 講演抄録
1E-1000
歯科技工管理学概念の検討
A Study of the Concept of Dental Laboratory Technique Management
○岩澤毅
Iwasawa T
秋田県技
Akita D.T.A
《目的》
歯科技工士法制化から半世紀余,歯科技工と歯科技工士を社会科学分野等の視点から分析しかつ広義の歯科技工学の一領域を形成する歯科技工管理学の可能性を検討し,その対象とするもの・ことの可視化を,最近の事例等を素材に試み,歯科技工管理学概念の検討を行なう.
《考察》
日本歯科技工学会第28回学術大会において,健康保険法による社会保険歯科診療における「保険歯科技工士」の不存在と,「通則の5」の健康保険制度内での内在論理の解明を行った.
中央社会保険医療協議会による次回診療報酬改定作業等に向けて,日本歯科技工学会において,「国民に良質な歯科医療の提供を目的とし,歯冠修復及び欠損補綴の製作に関する適正な技術評価を得るため,各歯科補綴装置等の作成等に係わる工程,所要作成時間等について調査し,その結果を製作技工に要する費用の評価基準の参考とすべく」とし,「歯科技工のタイムスタディ調査」が実施それた.
これらを踏まえ,医療保険制度と社会保険診療報酬点数改正の制度考察と関係団体による過去の原価計算,タイムスタディ調査等から,歯科技工経済を解明すべく新たな作業モデルの可能性を,医療経済・政策学の手法を応用し,合わせて歯科技工管理学概念を検討した.
《結論》
歯科技工士が,社会にその存在と主張を表明する場合の基礎となるのは,「輸入入れ歯」問題,あるいは「健康保険制度と歯科技工」等々,法律・行政学分野の課題等でもあり,歯科技工所の管理運営における労務・税制等まで含めた大きな枠では, 既存の用語を援用すれば「歯科技工管理学」とも捉える事が出来る.
過去,産業技術の発展の果実を歯科領域に吸収応用し,歯科医学の成果を歯科技工に反映させるため先人の多大な貢献を踏まえ,更に解明すべき課題である「歯科技工とは」「社会と歯科技工」「歯科技工経済」等々,その研究領域への取り組みが必要である.
その解明すべき研究領域を対象化することにより,諸学の研究手法とその英知を取り込み,評価方法を学び,歯科技工を知る者が得心できる歯科技工管理学を確立することは, 広義の歯科技工学にとり有用である.
社会的共通資本としての歯科医療を歯科技工の側からその一翼を担う責任を有する当事者としての歯科技工士には,歯科技工に係る政策への当事者能力が求められる.この当事者能力は単に個々の歯科技工所運営管理能力のみでは無く,当事者としての政策形成能力が含まれる.
歯科技工管理学研究は歯科技工を担う当事者の政策形成能力を高め,政策形成決定過程に参画する際の基盤となると考える.
プログラム 講演抄録
1E-1000
歯科技工管理学概念の検討
A Study of the Concept of Dental Laboratory Technique Management
○岩澤毅
Iwasawa T
秋田県技
Akita D.T.A
《目的》
歯科技工士法制化から半世紀余,歯科技工と歯科技工士を社会科学分野等の視点から分析しかつ広義の歯科技工学の一領域を形成する歯科技工管理学の可能性を検討し,その対象とするもの・ことの可視化を,最近の事例等を素材に試み,歯科技工管理学概念の検討を行なう.
《考察》
日本歯科技工学会第28回学術大会において,健康保険法による社会保険歯科診療における「保険歯科技工士」の不存在と,「通則の5」の健康保険制度内での内在論理の解明を行った.
中央社会保険医療協議会による次回診療報酬改定作業等に向けて,日本歯科技工学会において,「国民に良質な歯科医療の提供を目的とし,歯冠修復及び欠損補綴の製作に関する適正な技術評価を得るため,各歯科補綴装置等の作成等に係わる工程,所要作成時間等について調査し,その結果を製作技工に要する費用の評価基準の参考とすべく」とし,「歯科技工のタイムスタディ調査」が実施それた.
これらを踏まえ,医療保険制度と社会保険診療報酬点数改正の制度考察と関係団体による過去の原価計算,タイムスタディ調査等から,歯科技工経済を解明すべく新たな作業モデルの可能性を,医療経済・政策学の手法を応用し,合わせて歯科技工管理学概念を検討した.
《結論》
歯科技工士が,社会にその存在と主張を表明する場合の基礎となるのは,「輸入入れ歯」問題,あるいは「健康保険制度と歯科技工」等々,法律・行政学分野の課題等でもあり,歯科技工所の管理運営における労務・税制等まで含めた大きな枠では, 既存の用語を援用すれば「歯科技工管理学」とも捉える事が出来る.
過去,産業技術の発展の果実を歯科領域に吸収応用し,歯科医学の成果を歯科技工に反映させるため先人の多大な貢献を踏まえ,更に解明すべき課題である「歯科技工とは」「社会と歯科技工」「歯科技工経済」等々,その研究領域への取り組みが必要である.
その解明すべき研究領域を対象化することにより,諸学の研究手法とその英知を取り込み,評価方法を学び,歯科技工を知る者が得心できる歯科技工管理学を確立することは, 広義の歯科技工学にとり有用である.
社会的共通資本としての歯科医療を歯科技工の側からその一翼を担う責任を有する当事者としての歯科技工士には,歯科技工に係る政策への当事者能力が求められる.この当事者能力は単に個々の歯科技工所運営管理能力のみでは無く,当事者としての政策形成能力が含まれる.
歯科技工管理学研究は歯科技工を担う当事者の政策形成能力を高め,政策形成決定過程に参画する際の基盤となると考える.