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歯科技工士・岩澤 毅

岩澤毅 地方議会による「国外作成歯科補てつ物」意見書の比較検討(第3版)

2008年10月10日 | ごまめ・Dental Today
地方議会による「国外作成歯科補てつ物」意見書の比較検討(第3版)
2008/10/05(第1版)
2008/10/06(第2版)
2008/10/10(第3版)
岩澤 毅(秋田市)

「国外で作成された歯科補てつ物」に関し複数の地方議会により、国会並びに関係大臣に対して意見書が提出されている。これらの意見書の比較検討を行い、成案を検討する。
 以下の意見書は、地方議会公式HPより確認できた意見書である。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
札幌市議会公式HP
http://www.city.sapporo.jp/gikai/
意見書
http://www.city.sapporo.jp/gikai/vol_ik/20_2t/20_2t_2.pdf

意見書案第2号

国外で作成された歯科補てつ物等の取り扱いに関する意見書

 歯科医療の用に供する補てつ物等については、通常、歯科医師または歯科技工士が作成しているが、最近は日本国内でも、国外で作成された歯科補てつ物等を輸入し、患者に供する事例が散見されている。
 これらの歯科補てつ物等は、使用されている歯科材料の性状等が必ずしも明確ではないことから、厚生労働省では2005年9月、各都道府県衛生主管部(局)長あての通知により、歯科医師に対し、国外で作成された補てつ物等を患者に供する場合は十分な情報提供を行うよう指示している。
 しかしながら、今後、こうした国外で作成された歯科補てつ物等の使用が増加することになれば、良質かつ適切な歯科医療を提供することは困難になり、国内で歯科技工士としてまじめに働いている人たちの生活が圧迫されることも懸念される。
 よって、国会及び政府においては、国民の健康を守り、患者の安全確保のため、歯科補てつ物等の輸入取り扱いに関する法整備などを進めるよう強く要望する。

 以上地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成20年(2008年)6月11日

札幌市議会

(提出先)衆議院議長、参議院議長、総務大臣、法務大臣、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣

(提出者)全議員
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名古屋市議会公式HP
http://www.city.nagoya.jp/shikai/
意見書
http://www.city.nagoya.jp/_res/usr/28909/28shikahotetsubutsu.pdf

国外で作成された歯科補てつ物等に関する意見書

 歯科医療用の補てつ物等について、近年、国外で作成されたものが出回るようになり、その品質安全性に対する懸念が生じている。
 こうした国外での作成された歯科補てつ物等が出回る背景には、国内で作成するより大幅に安く済むといったコスト的な面に加え、歯科補てつ物等が雑貨扱いで税関を通過できるといったことがある。
 このような中、国においては、平成17年9月に歯科医師に対し、国外で作成された歯科補てつ物等を患者に供する場合は十分な情報提供を行うよう指示しているが、国民が安心して歯科医療を受けることができるように、歯科補てつ物等の品質や安全性確保に向けて一層踏み込んだ対策が求められている。
 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、歯科補てつ物等の輸入取り扱いに関する法整備を行うなど、歯科補てつ物等の品質や安全の確保により積極的に取り組むよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成20年10月1日
 
名古屋市会

議院議長
参議院議長
内閣総理大臣  宛(各1通提出)
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣

――――――――――――――――――――――――――――――――
○上の意見書の諸点に対する岩澤見解

引用「歯科補てつ物等の輸入取り扱いに関する法整備行う」
→秩序ある義歯輸入を要求しているかのごとき印象を与え、誤解を招く恐れがある。
→結果として、「義歯輸入の制度化」の導入路として利用される可能性がある。
引用「雑貨扱いで税関を通過できる」
→確認されていない。
引用「まじめに働いている人たちの生活が圧迫されることも懸念」
→意見書の表現としては、馴染まないのではないか。
引用「国外で作成された歯科補てつ物等に関する意見書」
→歯科補てつ物等全般に対する、安心・安全の担保を求める包括的な意見書とするべきではないか。
→結論部分において、その論旨と要求は、「入れ歯鎖国論」と「入れ歯輸入手続き整備論」の二者に収斂される。主を地方議会意見書(提出者全議員)とした仮託のもとでは「入れ歯鎖国論」は、不能である。第三の道は、主語の転換である。全般的・包括的な意見書として実質を担保すべきである。

以上を踏まえてゴジラ氏原案岩澤手加02版は以下である。

歯科補てつ物等の作成等の業務の委託に関する意見書
(ゴジラ氏原案岩澤手加02版)

 歯科医療の用に供する歯科補てつ物(入れ歯、差し歯等)等については、通常、歯科医師または歯科技工士が作成しているが、国外で作成された歯科補てつ物等を輸入し、患者に供する事例が散見されている。
 これらの輸入歯科補てつ物等は、使用されている歯科材料の性状等が必ずしも明確ではないことから、厚生労働省は平成17年(2005年)9月、各都道府県衛生主管部(局)長あての通知により、歯科医師に対し、国外で作成された補てつ物等を患者に供する場合は十分な情報提供を行うよう指示している。
 国内においては、材料をはじめ作成過程等において薬事法・歯科技工士法等により規制が設けられている。しかし、国外作成の歯科補てつ物の場合はその材料等に法律の適用がなく、また委託した歯科医師にもその内容物を分析する手段が無い。そのため入れ歯等を患者に装着後、想定外の金属や化合物、化学物質などの影響により、過敏症等の健康被害を与える可能性が懸念される。事実、米国では鉛の含有された輸入セラミック冠が報告され、米国FDAは迅速に輸入停止などの措置を取っている。
 近年、薬品・玩具・食糧・食品等々、想定されなかった国民の安心・安全を脅かす問題が立て続けに起こっていることは記憶に新しい。歯科補てつ物等は口腔内で毎日半永久的に使用される人工臓器である。それにも関わらず、国外で作成された歯科補てつ物については、多くの懸念が現場のいち歯科医師の責任に帰されている。国外作成歯科補てつ物については、国の安全管理体制に空白が生じている。このことにより、市(区・町・村)民・県(都・道・府)民の健康被害に繋がることが懸念さる。
 また、こうした国外で作成された歯科補てつ物等の使用が増加することになれば、国民に良質かつ適切な歯科医療を提供し安心・安全な歯科補てつ物等を安定的に供給する体制の維持が困難になることが懸念される。
 よって、国会及び政府においては、国民の健康を守り、患者の安全確保のため、歯科補てつ物等の品質の確保をはかり、かつ歯科医療機関からの歯科補てつ物等の作成等の業務の委託を規律する法令整備を進めるよう強く要望する。

 以上地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

平成2○年(200○年)○○月○○日

○○市(都・道・府・県・区・町・村)議会

(提出先)衆議院議長、参議院議長、総務大臣、法務大臣、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣、厚生労働大臣

(提出者)全議員

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