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歯科技工士・岩澤 毅

裁判員のための刑事法入門 (単行本) 前田 雅英 (著)

2009年06月05日 | amazon.co.jp・リストマニア
東京大学出版会が贈る一般向け裁判員制度・「日本の刑事法」解説本, 2009/6/5

By 歯職人

 平成21年、裁判員との名で、国民が直接裁判・判決に関わり制度が始動された。
 本書は、この裁判員に知っておいて貰いたい「刑事法」の解説書であり、裁判員制度の解説書といった体裁である。
 著者の前田雅英氏は、「裁判員制度は、近代日本の刑事司法制度における最も大きな制度改革」であり「第二次世界大戦というような国の土台が大きく変わる時期ではなく、「平時」に生じた」ことの意義を強調する。そして、「裁判員制度は」「刑事裁判の内容を国民の意識に近づけるための、非常に大きな武器」との立場をとる。
 前田氏は本書によって、国民に「罪と罰の考え方」の現在の在り様とこれからの行方を掘り下げることを期待している。
 既に裁判員候補者としてリストアップされた人々がいるわけで、その人々にとっては、実際に裁判員として選任される以前に本書を手にし「刑事法」の概要を知り、心の準備をすることは重要と思われる。
 また、それ以外の人々にとっても可能性としての裁判員選任に備えるために本書は活用可能と思われる。
 特に「第8章 犯罪の成否は、具体的にどうやって判断するのですか」は、「証明」「証拠能力」「挙証責任」等、これらの用語・概念を用いていなくても、我々が判断を繰り返すし、物事を考え社会生活をおくる上で、理詰めで考える習慣を獲得する一助になるものと思われる。
 国民が裁判員として、政治に対する投票等の権利行使と同様に、司法に直接関わる回路が始動した今、向かい合うべき一冊と言えるだろう。

サイバンインノタメノケイジホウニュウモン
裁判員のための刑事法入門

前田 雅英【著】
東京大学出版会 (2009/05/15 出版)

157p / 21cm / A5判
ISBN: 9784130332040
NDC分類: 326

価格: ¥2,310 (税込)

詳細
第1章 罪と罰の考え方はどう変わる?
第2章 刑罰制度は何のためにあるのですか
第3章 犯罪とはどのようなものですか
第4章 被告人の認識はどう影響しますか
第5章 裁判員が扱う犯罪の種類
第6章 犯罪にあてはまっても許される場合
第7章 一緒に犯罪に加わった者はどうしますか
第8章 犯罪の成否は、具体的にどうやって判断するのですか
第9章 刑の重さはどのように決定するのですか

著者紹介
前田雅英[マエダマサヒデ]
1949年東京生まれ。1972年東京大学法学部卒業。現在、首都大学東京法科大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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