126 - 参 - 厚生委員会 - 11号
平成05年06月03日
○木暮山人君
○政府委員(岡光序治君)
○政府委員(古川貞二郎君)
○木暮山人君 引き続きまして、自民党の木暮が質問させていただきます。
先般、平成五年三月二日の厚生委員会で質疑をいたしまして、政府委員の岡光局長の御返答の中で、「残留モノマーの実態を的確に把握することは必要でございますので、厚生科学研究によりましてその面につきましての研究を現在進めているところでございます。」という御答弁をちょうだいしたのでありますが、ひとつ後ほどこれの中間の報告等もございましたらちょうだいしたいということで、次に進ませていただきたいと思います。
まず第一には、歯科の入れ歯の話でございますが、入れ歯というものは、使用するしないにかかわらず壊れることもなければ変化することもないのでありますが、それを使っている人間の方は、それによっていろいろ変化を来しております。特に、口腔内に装着してかむ圧力がかかりますと、あごの骨がそれによって刺激されまして萎縮して変化する。また、粘膜の弾性も加齢に伴って劣化するのはごく当たり前のことであります。入れ歯を入れた人たちは余りこんなことに気を使ってはおりませんが、少なくとも学問的に考えますと、二年に一回は入れ歯を新しく製作するのがよいと言われておるのです。
入れ歯が経済的に不採算という理由から、歯科医の協力を得られないのではないかと思われる節があります。そのためかどうか、最近入れ歯の安定剤なるものが市販されております。口腔内に傷をつけるような為害作用は起こっていないようですが、先ほどの話のように、適合の悪くなった入れ歯にこの安定剤を使うというわけですが、少しでも残しておきたいあごの骨の吸収に大きな影響を与えるのではないかと思われるのです。
学会等の反応はどうか、また歯科医師の指導のもとに使用するのが適当と思われるが、どうか。許認可に当たっての判断基準がどんなものであったか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) まず、歯科材料の残留モノマーの実態の研究でございますが、今お話がありましたように厚生科学研究によりまして検討を進めております検討結果が得られましたら、御報告をさせていただきたいと存じております。
それから、義歯安定剤の問題でございますが、まず承認審査の点について申し上げます。これは安全性の確保という観点から、特にモノマーの溶出があるというふうにも言われておりますので、個々の品目ごとにチェックをしております。それから、新規の成分を含む安定剤のケースにつきましては、毒性試験、臨床試験を要求するというふうなことをやっておりまして、安全性の確保には特に念を入れているつもりでございます。
それから、使用者に対しましての指導についてのことでございますが、安定剤は歯茎と入れ歯の微妙なずれを一時的に補いまして入れ歯を安定させる材料でございますので、やはり一時的なものだということを認識してもらう必要があるというふうに考えております。不適合な入れ歯を安定剤で安定させるのは一時的な場合というふうに考えていただいて、早目に歯科医に相談をして入れ歯の調整を行うことが本来のことであるということと、それから長期にわたってこれを使用する場合は歯茎やかみ合わせに悪い影響が出てまいります、こういうふうなことを添付文書を通じまして使用者に情報を提供しているわけでございます。そういう趣旨でこの安定剤は使っていただきたいということで、私ども、安全確保とあわせましてその使用者に対する情報提供をしているというところでございます。
○木暮山人君 次に、高齢化が進み、入れ歯を必要とする人たちは年々増加するのが当然でありますが、厚生省の社会医療診察行為別調査によりますると、一診療所における一カ月の義歯の数は、昭和六十一年に十八・六個であったものが、次第に減少の傾向にあって、平成三年には十七・四個になっており、確かに診療所が増加していることも一つの原因がと思われます。同じ資料にある義歯の製作数、いわゆるレセプト百万円当たりに見た場合、昭和六十一年には八・三個であったものが平成三年には七・八個と明らかに減少しているのは事実でございます。入れ歯が長年にわたって不採算であり、そのために床の改良やら、また修理によって一時的に回避が行われているのではないかと懸念されております。道義的に見れば大変ゆゆしい問題であります。そのような事情に遣い込む経済的背景に問題があるように思われます。
保険診療において良質な義歯が製作できるよう診療報酬上の適切な評価に努めてきたし、今後とも中医協の議論を踏まえながら適切に処理してまいりたいと厚生省は言い続けられておるようですが、極端な言い方をすれば、先ほどの話が事実であるとするならば、これは高齢者冷遇の差別であり社会的問題であると思われます。また、今基本的な姿勢についてお尋ねしましたが、入れ歯の不採算制は今日的なことではなく、恐らく入れ歯が保険でできるようになったときから続いている問題でもあります。入れ歯の評価が歯科の診療所の経営安定に寄与することが必要であります。また、この入れ歯を製作している歯科技工士の生活基盤に大きく関与していることも重要な問題であります。この人工臓器を必要としている製作する人、装着する人、それぞれ日の当たる場所にいてほし
いと思うものであります。
この入れ歯の問題について、衆参の厚生委員会でも多くの質問が寄せられておりますが、実際、今の保険点数評価でどのように不採算なのか、実態はどうなのか、調査研究を独自の立場でなされたと思いますが、厚生省のおっしゃっておられる、中医協の議を踏まえ適切な評価が行われているとの結論に至っている現況の説明と御意見をひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 繰り返してお答えを申し上げているわけでございますけれども、この歯科診療報酬につきましては、技術料重視の考え方から、改定の都度義歯などの補綴に関連する点数を含めましてその引き上げを図っているというような状況でございまして、私どもとしても、大変国民にとって大事な歯科の医療につきまして、保険医療におきまして良質な義歯等が製作できるようにということで努力をしている状況でございまして、今後とも中医協の御議論を踏まえて対処していきたい、こう思っているわけでございます。
現状でちょっと申し上げますと、新しくつくる義歯については減少しているというような状況でございますが、この修理とかリベースは増加傾向にある、こういったこともそういった背景にあるのかと思うわけでございます。いずれにしましても、いろいろただいまのようなお話も含めまして、今後そういった良質な義歯の製作ということについて中医協の御議論を踏まえながら対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○木暮山人君 この問題につきまして、厚生省としてその実態というものは調査なさったことがございますでしょうか。
○木暮山人君 その不採算性ということがうたわれておりますけれども、その問題につきまして何かもう少し的確なデータがあって、いやそれは不採算じゃないよ、いやしかしこれは不採算だよということがございましたらひとつ御返答をください。
○政府委員(古川貞二郎君) ただいま申し上げましたように、歯科診療につきましても医療経済実態調査で把握をいたしておるわけでございますが、いろいろな機会に歯科の関係の方々からお話を聞く等いたしていきたいとは思っております。
○木暮山人君 それは大体その程度にしておきまして、次に、保険でよい入れ歯をという請願が地方自治体から政府に寄せられていると聞いております。今まで申し上げたとおり、入れ歯のための財源確保がぜひとも必要なのでありますが、財源調達の三つの手段、すなわち保険料、患者負担、租税のうちどれを選択しようと考えておられるのですか。今後のあり方について、今後できる審議会等の答申も予測してそれに対する御意見等をちょうだいできたらと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 医療保険をめぐる状況ということを踏まえまして、現在医療保険審議会、これは昨年の九月に、医療保険審議会を新たに設置いたしまして公的医療保険の役割とかあるいは保険給付の範囲、内容などにつきまして幅広い観点から御審議をいただいているところでございまして、ただいま御指摘の医療費につきましては、今後高齢化の進展とかあるいは医療技術の高度化等によりましてこれが増大するということは避けられないというふうに考えておるわけでございますが、この医療費に関する財源あるいは負担のあり方については非常に重要な項目として医療保険審議会における審議状況を踏まえながら今後適切に対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、現在医療保険審議会の検討項目の一つとなっているところでございます。
○木暮山人君 それは、また医療保険審議会の答申が出た際に質問したいと思います。
確かに、国民所得に対する国民負担率を二十一世紀初頭の時点に、四〇%台半ばを目途に上昇を抑制すべきと臨時行政改革推進審議会で提言されておるということは承知しております。そのためにはある程度の医療費抑制も理解できますが、一般的に言って、医療機関の構造不況の要因の一つに医療機関数の増大や病床数の増加があります。最近では、賃金コストの上昇もあってさらに深刻さを増しているように思います。
そこで、医師、歯科医師の養成数は果たしてこのままでよいものかどうか、医療資源の有効活用の立場から養成数の削減は望ましい方向と思われますが、ただ単に厚生省の問題のみでなく関係各省間の相互の意見調整が先決と思われますが、これについていかがなものでしょうか。御意見等がございましたら拝聴したいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 今の先生御指摘の件でございますけれども、歯科医師の養成につきましては、昭和六十一年七月に公表されました「将来の歯科医師需給に関する検討委員会最終意見」ということで、その中で、平成七年を目途に歯科医師の新規参入を最低限二〇%程度削減する必要があると提言をされております。そして、今までの実績からいきますとほぼそれに達します。ちょっと二〇%を切っておるところでございますけれども、あと二年ばかりございますので、その実現方につきまして私ども御協力をいただくようにお願いいたしておるところでございます。
この歯科医師の数につきましては、いろいろ御意見がございますが、私どもは現在のところ、先進諸国とその人口十万単位の数字で比べてみますと、ほぼ同じ程度の歯科医師を持っておるというような状況でございます。
先ほど、その提言を受けまして厚生省がどういうふうにしてきたかと申しますと、先生御指摘のように、関係省庁、特に文部省とも十分お話をし御協力いただくようにお願いをいたしまして、その結果、先ほど言ったような状況でございますが、実は最近またいろいろと歯科医師会の地方のいろんな会合なんかに私ども出席してみますと、歯科医師の数につきましては非常に真剣に内部でもお話し合いなさっておるようでございます。今後、その歯科医師の需給につきましてはどうあるべきかということで、私ども今度の平成五年度予算の中でその辺の検討をするべく予算を確保いたしておりますので、また御相談をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○木暮山人君 戦後、医師、歯科医師が非常に不足した時代、そしてまた今充足してオーバーぎみの時代、こんな時代になりますとそこら辺のコントロールが必要になってくるのではないか。医師、歯科医師の養成数が減るのは望ましい方向であるし、質のよい医師、歯科医師を国民は望んでいるわけでありますから、少数精鋭的に教育が行える点でも歓迎すべきことと思います。
そこで、国家試験合格者を対象に、一般歯科医養成研修が国の予算で実施されていますが、実質一年の研修では臨床講義あるいは患者に触れる前段の臨床研修で終始してしまう傾向があります。当初の目的であった患者に触れる臨床までに至らないまま終了しているのが実情ではないかと思います。やはり二年間の研修を義務づけることが望ましいと思います。この研修制度があくまでも臨床経験に富んだ歯科医を社会に送り出すことを目的としているならば、早急に改善すべきではないかと思いますが、御意見はいかがなものでございましょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生がおっしゃいますように、歯科医師の質の向上、特に臨床につきまして力をつけるということは非常に大事である、しかも量的な問題よりも質の方が大事だという御指摘がございました。私どもも、その線に沿いまして卒業直後の歯科医師に対します臨床研修というものを昭和六十二年からやっておりまして、厚生省と文部省と分担をいたしてやっておるわけでございますが、厚生省につきましては年々ほぼ増員を図ってまいりまして、平成五年度では九百人の方々に臨床研修を一年間やっていただくという
ふうな予算を確保いたしておるわけでございます。それから、また文部省におかれましては、三百十名の研修を予定して予算を組んでいただいております。
したがいまして、実際卒業される方々の中からいきますと、四〇%程度の方々が一年間の臨床研修を受けておるというのが実情でございます。私どもも、年々その拡充を図っていきたいと思いますし、実際問題臨床研修の中身も質の高いものにするようにいろいろとお願いをしておるわけでございまして、その成り行きを少し見させていただきたい、こういうことを考えております。
○木暮山人君 ひとつ、できればその問題につきましては一年から二年と、そしてまたもう少し高度なカリキュラムを組んでいただきたい、かように思う次第であります。また、一般歯科医養成研修が十分にその効果を発揮するためには、年前の大学でのカリキュラムの中に基本的なあるいは基礎的な臨床研修が組み込まれていて当然と思われますが、大学によっては全く組み込まれていないといっていいほど省略化されているところがあるように聞いております。卒業間際に入れ歯の歯を並べる実習があるようでは、国家試験に実習を加えると言われても仕方がないところであると思います。
また、卒業直後における今の研修制度、これの受け入れ側の大学病院では各大学によって格差があることは指導員として大変やりにくいという声があります。こんなところをぜひ関連しまして調整なされていただきたいと思いますが、それについてはどんな御意見でございましょうか。
○政府委員(寺松尚君) 歯科大学の在学六年間におきます臨床の実習と申しますか、そういうものでございますので、アンダーグラデュエートのことでございますから文部省の所管ではございますけれども、私ども、よりよき質の高い臨床の歯科医師をお願いしたいという立場でもございますから、やはりその臨床実習につきましては充実を図っていただくように、それが望ましいというふうに考えておるわけでございます。
○木暮山人君 続きまして、高齢化社会を迎え、保健、医療、福祉のあり方については今後とも大いに議論されると思いますが、寝たきりで在宅療養を続けておられる方々、施設等で療養されておられる高齢者や身障者の方々へ口腔保健の重要性が問われてきております。療養の現場に出かけることもこの一般歯科医養成研修事業の目的にかなっていると思いますが、このことを含めまして単に病院内だけでの研修にとどめるべきではないと考えられますが、こんな点ではいかがな御見識をお持ちでございましょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生おっしゃっておりますのは、在宅しております患者さんたちに出かけていっていろいろと保健指導をするというようなことはいかが考えておるかということではないかと存じますが、私ども、これは医師にかかわらず、やはり在宅におります患者さんと申しますか在宅医療の推進ということは、私どものよりよき良質な医療を効率的に提供する一つのシステムというふうなことから考えましても望ましいことだと考えまして推進を図っておるわけでございまして、歯科医療の分野におきましてもあるいは歯科保健医療の分野におきましても同様であろうかと存じます。
実は、これにつきましては今まで幾つかの試みをやっておりまして、在宅の心身障害者の方々あるいは老人の方々、そういうような方々にもモデル事業として今やっておるところでございます。今後もその辺のことにつきましては充実を図ってまいりたい、このように考えております。
○木暮山人君 よろしくお願いします。
老人保健福祉計画が推進されていると思いますが、各市町村はこれにどのように取り組んでいるか。また、口腔保健の果たすべき役割の認識が厚生省に不足していたのかどうかわかりませんが、地方自治体の歯科に対する対応はいまひとつ積極的ではありません。この計画の中に歯科の問題を残して出発すると、途中から参画することになるというといろんな問題が起こりかねないと思います。老人保健法に歯科検診がうたわれていないということだけでこの計画に口腔保健の問題を取り上げないのはいかがかと思いますが、いかがなものでしょうか。
また、この計画の作成状況が取りまとめられた平成五年一月八日現在、九百七十七市町村で既に計画案が作成済みかあるいは計画案が作成中とあります。その中でどのぐらい歯科がかかわっているかお伺いしたいと思います。
また、作成中のところ、これからのところに積極的に地元歯科医師会に参画するよう声をかけていただくことが大変重要なことでありますので、厚生省がこのような指導を積極的に進めていただくようひとつ要望いたしたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 老人保健福祉計画における口腔衛生についての取り組みでございますが、現在作成中の自治体の計画の中での歯科保健についての取り組み状況については、またそれぞれの計画が私どもの手元まで届いていないものが多数ございますので、詳細については今のところ把握をしておりません。しかしながら、各自治体がこの計画を策定するに当たりましては、この歯科保健の問題についてもサービスの目標を定めて織り込むようにという指示をしているところでございますので、それぞれしかるべく取り組んでいるものと考えております。
また、もう一つのお尋ねの、老人保健の中で口腔衛生の問題について取り組みが弱いんではないかというような御意見があったかと存じますが、私どもは、この問題は高齢者の健康の上からも大変重要な問題と考えておりますし、また同時に、齲蝕であれ歯周疾患であれ予防が可能な疾患であるという観点から、特に歯科の健康教育あるいは健康相談については、重点健康教育として取り上げております八項目、例えば肺がんや乳がんの予防健康教育でありますとか、糖尿病の予防教育、寝たきり予防等の、特に取り上げました八項目の中の一つとして力を入れて取り組んでいるところであります。
○木暮山人君 ひとつよろしくお願いします。
また、平成元年十二月から八〇二〇運動を厚生省を中心に推進しておられ、平成五年度には六千九百余万の予算が計上され、その成果が期待されるところであり、国民挙げて、八十歳で二十本の歯を残そうと、歯の健康状態の改善に努めているのが現状と思われます。
そのためには、生涯を通じ一貫した歯科検診が行われることが必要かと思われます。妊産婦の教育に始まり、高齢者に至るまでの各年代別に歯の健康管理がどのような制度でなされているかお尋ねしたいと思います。現状をひとつ御答弁願います。
○政府委員(寺松尚君) 八〇二〇運動の推進を図ることによりまして、生涯を通じました歯科保健対策の充実強化ということを行っておるわけでございますが、非常に大変重要な問題だと考えております。
現在の具体的なお話をいたしますと、歯科保健サービスは、学校保健法あるいは労働安全衛生法、母子保健法あるいは老人保健法等の関連法令の規定に基づきまして、ライフサイクルの各段階のニーズに応じまして行われておると承知いたしておるわけであります。
この本運動を円滑に推進するためには、もちろん関係省庁との一層の連携を図らなければならぬとこのように考えておりまして、本年度から私どもの歯科衛生課におきまして歯科保健医療調整官というものを配置いたしまして、関係省庁、各都道府県等との歯科保健に関します連絡調整あるいは連携を図っていきたい、このように考えております。
○木暮山人君 次に、今御答弁ちょうだいいたしましたことを質問しようと思っておったのでありますが、要は妊産婦から就学時までは厚生省、修学時が文部省、就業時に労働省、高齢者が厚生省になると思います。このような健康管理に各省がそれぞれ主導権を分割していては、八〇二〇運動
実施に支障があると思われます。これら関係各省が連携を密にとり、一貫した施策をとるべきであり、人間の一部の臓器である歯の健康管理ならば当然厚生省が主管の任に当たってしかるべきかと思います。今御答弁の歯科衛生課が今から大活躍されることでございますから、これについての御答弁はちょうだいいただかなくても結構であります。どうもありがとうございました。
次に、産業歯科医としての資格認定がございます。実際にはその活動範囲は広くないのが現状であります。その大きな理由は、企業が行う健康診査の中に歯科検診の位置づけがなされてないため、企業によっては歯科検診に消極的なところがあります。このようなことでは、八〇二〇運動の推進に大きな支障を来すことは必至であります。企業健診の勧告に労働省も理解を示さなければならないと思いますが、厚生省のお立場よりいかにすべきか、御意見等がございましたらお伺いしたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 今先生おっしゃいますように、生涯を通じても一貫して行う必要がございますし、その横断面をいろいろ考えましても、関係各省庁それぞれ所管事項については責任を持つということはもちろんでございますけれども、やはりそれら全体を調整していかなければならない。特に産業衛生と申しますか職域の問題につきましても、その期間はかなり長いわけでございまして、やはりそこら辺も十分歯科の問題につきましては関心を持ちまた充実していただきたい、このように私ども考えております。
○木暮山人君 加えまして老人保健法の中の歯の検診の位置づけがないために、さきの老人保健福祉計画に歯科の問題が乗りおくれる、また支払基金を通じて行われている特別保健福祉事業にも、大変有意義な事業であると思われますが、これにも各健康保険組合や共済組合等は歯科検診には消極的な姿しか示しておりません。単に老健法の中に位置づけがないからという、ただそれだけで次に重要な事業展開に支障を来しているので、老健法の見直しが行われる平成七年にはまだ間がありますが、この間このような問題解決に努力する姿勢があるかどうか、御意見等をお伺いしたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 老健法に基づきます検診については、これまでも関係の審議会、研究会等におきまして、検診になじむかどうか、あるいはそのことが所期の目的を達成するのにふさわしい項目であるかということを一つ一つチェックしながら取り込んできた経過がございます。
御指摘の歯科検診については、これまで幾つかの御議論がありましたが、即座に取り上げるというところまで議論が煮詰まっておりませんので、当面モデル事業を実施してそのあり方等を検討するというスタンスでおりまして、それのモデル事業を平成四年度から始めておりますので、その成果を見ながら必要な検討を加えていきたいと考えております。
平成05年06月03日
○木暮山人君
○政府委員(岡光序治君)
○政府委員(古川貞二郎君)
○木暮山人君 引き続きまして、自民党の木暮が質問させていただきます。
先般、平成五年三月二日の厚生委員会で質疑をいたしまして、政府委員の岡光局長の御返答の中で、「残留モノマーの実態を的確に把握することは必要でございますので、厚生科学研究によりましてその面につきましての研究を現在進めているところでございます。」という御答弁をちょうだいしたのでありますが、ひとつ後ほどこれの中間の報告等もございましたらちょうだいしたいということで、次に進ませていただきたいと思います。
まず第一には、歯科の入れ歯の話でございますが、入れ歯というものは、使用するしないにかかわらず壊れることもなければ変化することもないのでありますが、それを使っている人間の方は、それによっていろいろ変化を来しております。特に、口腔内に装着してかむ圧力がかかりますと、あごの骨がそれによって刺激されまして萎縮して変化する。また、粘膜の弾性も加齢に伴って劣化するのはごく当たり前のことであります。入れ歯を入れた人たちは余りこんなことに気を使ってはおりませんが、少なくとも学問的に考えますと、二年に一回は入れ歯を新しく製作するのがよいと言われておるのです。
入れ歯が経済的に不採算という理由から、歯科医の協力を得られないのではないかと思われる節があります。そのためかどうか、最近入れ歯の安定剤なるものが市販されております。口腔内に傷をつけるような為害作用は起こっていないようですが、先ほどの話のように、適合の悪くなった入れ歯にこの安定剤を使うというわけですが、少しでも残しておきたいあごの骨の吸収に大きな影響を与えるのではないかと思われるのです。
学会等の反応はどうか、また歯科医師の指導のもとに使用するのが適当と思われるが、どうか。許認可に当たっての判断基準がどんなものであったか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(岡光序治君) まず、歯科材料の残留モノマーの実態の研究でございますが、今お話がありましたように厚生科学研究によりまして検討を進めております検討結果が得られましたら、御報告をさせていただきたいと存じております。
それから、義歯安定剤の問題でございますが、まず承認審査の点について申し上げます。これは安全性の確保という観点から、特にモノマーの溶出があるというふうにも言われておりますので、個々の品目ごとにチェックをしております。それから、新規の成分を含む安定剤のケースにつきましては、毒性試験、臨床試験を要求するというふうなことをやっておりまして、安全性の確保には特に念を入れているつもりでございます。
それから、使用者に対しましての指導についてのことでございますが、安定剤は歯茎と入れ歯の微妙なずれを一時的に補いまして入れ歯を安定させる材料でございますので、やはり一時的なものだということを認識してもらう必要があるというふうに考えております。不適合な入れ歯を安定剤で安定させるのは一時的な場合というふうに考えていただいて、早目に歯科医に相談をして入れ歯の調整を行うことが本来のことであるということと、それから長期にわたってこれを使用する場合は歯茎やかみ合わせに悪い影響が出てまいります、こういうふうなことを添付文書を通じまして使用者に情報を提供しているわけでございます。そういう趣旨でこの安定剤は使っていただきたいということで、私ども、安全確保とあわせましてその使用者に対する情報提供をしているというところでございます。
○木暮山人君 次に、高齢化が進み、入れ歯を必要とする人たちは年々増加するのが当然でありますが、厚生省の社会医療診察行為別調査によりますると、一診療所における一カ月の義歯の数は、昭和六十一年に十八・六個であったものが、次第に減少の傾向にあって、平成三年には十七・四個になっており、確かに診療所が増加していることも一つの原因がと思われます。同じ資料にある義歯の製作数、いわゆるレセプト百万円当たりに見た場合、昭和六十一年には八・三個であったものが平成三年には七・八個と明らかに減少しているのは事実でございます。入れ歯が長年にわたって不採算であり、そのために床の改良やら、また修理によって一時的に回避が行われているのではないかと懸念されております。道義的に見れば大変ゆゆしい問題であります。そのような事情に遣い込む経済的背景に問題があるように思われます。
保険診療において良質な義歯が製作できるよう診療報酬上の適切な評価に努めてきたし、今後とも中医協の議論を踏まえながら適切に処理してまいりたいと厚生省は言い続けられておるようですが、極端な言い方をすれば、先ほどの話が事実であるとするならば、これは高齢者冷遇の差別であり社会的問題であると思われます。また、今基本的な姿勢についてお尋ねしましたが、入れ歯の不採算制は今日的なことではなく、恐らく入れ歯が保険でできるようになったときから続いている問題でもあります。入れ歯の評価が歯科の診療所の経営安定に寄与することが必要であります。また、この入れ歯を製作している歯科技工士の生活基盤に大きく関与していることも重要な問題であります。この人工臓器を必要としている製作する人、装着する人、それぞれ日の当たる場所にいてほし
いと思うものであります。
この入れ歯の問題について、衆参の厚生委員会でも多くの質問が寄せられておりますが、実際、今の保険点数評価でどのように不採算なのか、実態はどうなのか、調査研究を独自の立場でなされたと思いますが、厚生省のおっしゃっておられる、中医協の議を踏まえ適切な評価が行われているとの結論に至っている現況の説明と御意見をひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 繰り返してお答えを申し上げているわけでございますけれども、この歯科診療報酬につきましては、技術料重視の考え方から、改定の都度義歯などの補綴に関連する点数を含めましてその引き上げを図っているというような状況でございまして、私どもとしても、大変国民にとって大事な歯科の医療につきまして、保険医療におきまして良質な義歯等が製作できるようにということで努力をしている状況でございまして、今後とも中医協の御議論を踏まえて対処していきたい、こう思っているわけでございます。
現状でちょっと申し上げますと、新しくつくる義歯については減少しているというような状況でございますが、この修理とかリベースは増加傾向にある、こういったこともそういった背景にあるのかと思うわけでございます。いずれにしましても、いろいろただいまのようなお話も含めまして、今後そういった良質な義歯の製作ということについて中医協の御議論を踏まえながら対応してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○木暮山人君 この問題につきまして、厚生省としてその実態というものは調査なさったことがございますでしょうか。
○木暮山人君 その不採算性ということがうたわれておりますけれども、その問題につきまして何かもう少し的確なデータがあって、いやそれは不採算じゃないよ、いやしかしこれは不採算だよということがございましたらひとつ御返答をください。
○政府委員(古川貞二郎君) ただいま申し上げましたように、歯科診療につきましても医療経済実態調査で把握をいたしておるわけでございますが、いろいろな機会に歯科の関係の方々からお話を聞く等いたしていきたいとは思っております。
○木暮山人君 それは大体その程度にしておきまして、次に、保険でよい入れ歯をという請願が地方自治体から政府に寄せられていると聞いております。今まで申し上げたとおり、入れ歯のための財源確保がぜひとも必要なのでありますが、財源調達の三つの手段、すなわち保険料、患者負担、租税のうちどれを選択しようと考えておられるのですか。今後のあり方について、今後できる審議会等の答申も予測してそれに対する御意見等をちょうだいできたらと思います。
○政府委員(古川貞二郎君) 医療保険をめぐる状況ということを踏まえまして、現在医療保険審議会、これは昨年の九月に、医療保険審議会を新たに設置いたしまして公的医療保険の役割とかあるいは保険給付の範囲、内容などにつきまして幅広い観点から御審議をいただいているところでございまして、ただいま御指摘の医療費につきましては、今後高齢化の進展とかあるいは医療技術の高度化等によりましてこれが増大するということは避けられないというふうに考えておるわけでございますが、この医療費に関する財源あるいは負担のあり方については非常に重要な項目として医療保険審議会における審議状況を踏まえながら今後適切に対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、現在医療保険審議会の検討項目の一つとなっているところでございます。
○木暮山人君 それは、また医療保険審議会の答申が出た際に質問したいと思います。
確かに、国民所得に対する国民負担率を二十一世紀初頭の時点に、四〇%台半ばを目途に上昇を抑制すべきと臨時行政改革推進審議会で提言されておるということは承知しております。そのためにはある程度の医療費抑制も理解できますが、一般的に言って、医療機関の構造不況の要因の一つに医療機関数の増大や病床数の増加があります。最近では、賃金コストの上昇もあってさらに深刻さを増しているように思います。
そこで、医師、歯科医師の養成数は果たしてこのままでよいものかどうか、医療資源の有効活用の立場から養成数の削減は望ましい方向と思われますが、ただ単に厚生省の問題のみでなく関係各省間の相互の意見調整が先決と思われますが、これについていかがなものでしょうか。御意見等がございましたら拝聴したいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 今の先生御指摘の件でございますけれども、歯科医師の養成につきましては、昭和六十一年七月に公表されました「将来の歯科医師需給に関する検討委員会最終意見」ということで、その中で、平成七年を目途に歯科医師の新規参入を最低限二〇%程度削減する必要があると提言をされております。そして、今までの実績からいきますとほぼそれに達します。ちょっと二〇%を切っておるところでございますけれども、あと二年ばかりございますので、その実現方につきまして私ども御協力をいただくようにお願いいたしておるところでございます。
この歯科医師の数につきましては、いろいろ御意見がございますが、私どもは現在のところ、先進諸国とその人口十万単位の数字で比べてみますと、ほぼ同じ程度の歯科医師を持っておるというような状況でございます。
先ほど、その提言を受けまして厚生省がどういうふうにしてきたかと申しますと、先生御指摘のように、関係省庁、特に文部省とも十分お話をし御協力いただくようにお願いをいたしまして、その結果、先ほど言ったような状況でございますが、実は最近またいろいろと歯科医師会の地方のいろんな会合なんかに私ども出席してみますと、歯科医師の数につきましては非常に真剣に内部でもお話し合いなさっておるようでございます。今後、その歯科医師の需給につきましてはどうあるべきかということで、私ども今度の平成五年度予算の中でその辺の検討をするべく予算を確保いたしておりますので、また御相談をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○木暮山人君 戦後、医師、歯科医師が非常に不足した時代、そしてまた今充足してオーバーぎみの時代、こんな時代になりますとそこら辺のコントロールが必要になってくるのではないか。医師、歯科医師の養成数が減るのは望ましい方向であるし、質のよい医師、歯科医師を国民は望んでいるわけでありますから、少数精鋭的に教育が行える点でも歓迎すべきことと思います。
そこで、国家試験合格者を対象に、一般歯科医養成研修が国の予算で実施されていますが、実質一年の研修では臨床講義あるいは患者に触れる前段の臨床研修で終始してしまう傾向があります。当初の目的であった患者に触れる臨床までに至らないまま終了しているのが実情ではないかと思います。やはり二年間の研修を義務づけることが望ましいと思います。この研修制度があくまでも臨床経験に富んだ歯科医を社会に送り出すことを目的としているならば、早急に改善すべきではないかと思いますが、御意見はいかがなものでございましょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生がおっしゃいますように、歯科医師の質の向上、特に臨床につきまして力をつけるということは非常に大事である、しかも量的な問題よりも質の方が大事だという御指摘がございました。私どもも、その線に沿いまして卒業直後の歯科医師に対します臨床研修というものを昭和六十二年からやっておりまして、厚生省と文部省と分担をいたしてやっておるわけでございますが、厚生省につきましては年々ほぼ増員を図ってまいりまして、平成五年度では九百人の方々に臨床研修を一年間やっていただくという
ふうな予算を確保いたしておるわけでございます。それから、また文部省におかれましては、三百十名の研修を予定して予算を組んでいただいております。
したがいまして、実際卒業される方々の中からいきますと、四〇%程度の方々が一年間の臨床研修を受けておるというのが実情でございます。私どもも、年々その拡充を図っていきたいと思いますし、実際問題臨床研修の中身も質の高いものにするようにいろいろとお願いをしておるわけでございまして、その成り行きを少し見させていただきたい、こういうことを考えております。
○木暮山人君 ひとつ、できればその問題につきましては一年から二年と、そしてまたもう少し高度なカリキュラムを組んでいただきたい、かように思う次第であります。また、一般歯科医養成研修が十分にその効果を発揮するためには、年前の大学でのカリキュラムの中に基本的なあるいは基礎的な臨床研修が組み込まれていて当然と思われますが、大学によっては全く組み込まれていないといっていいほど省略化されているところがあるように聞いております。卒業間際に入れ歯の歯を並べる実習があるようでは、国家試験に実習を加えると言われても仕方がないところであると思います。
また、卒業直後における今の研修制度、これの受け入れ側の大学病院では各大学によって格差があることは指導員として大変やりにくいという声があります。こんなところをぜひ関連しまして調整なされていただきたいと思いますが、それについてはどんな御意見でございましょうか。
○政府委員(寺松尚君) 歯科大学の在学六年間におきます臨床の実習と申しますか、そういうものでございますので、アンダーグラデュエートのことでございますから文部省の所管ではございますけれども、私ども、よりよき質の高い臨床の歯科医師をお願いしたいという立場でもございますから、やはりその臨床実習につきましては充実を図っていただくように、それが望ましいというふうに考えておるわけでございます。
○木暮山人君 続きまして、高齢化社会を迎え、保健、医療、福祉のあり方については今後とも大いに議論されると思いますが、寝たきりで在宅療養を続けておられる方々、施設等で療養されておられる高齢者や身障者の方々へ口腔保健の重要性が問われてきております。療養の現場に出かけることもこの一般歯科医養成研修事業の目的にかなっていると思いますが、このことを含めまして単に病院内だけでの研修にとどめるべきではないと考えられますが、こんな点ではいかがな御見識をお持ちでございましょうか。
○政府委員(寺松尚君) 今先生おっしゃっておりますのは、在宅しております患者さんたちに出かけていっていろいろと保健指導をするというようなことはいかが考えておるかということではないかと存じますが、私ども、これは医師にかかわらず、やはり在宅におります患者さんと申しますか在宅医療の推進ということは、私どものよりよき良質な医療を効率的に提供する一つのシステムというふうなことから考えましても望ましいことだと考えまして推進を図っておるわけでございまして、歯科医療の分野におきましてもあるいは歯科保健医療の分野におきましても同様であろうかと存じます。
実は、これにつきましては今まで幾つかの試みをやっておりまして、在宅の心身障害者の方々あるいは老人の方々、そういうような方々にもモデル事業として今やっておるところでございます。今後もその辺のことにつきましては充実を図ってまいりたい、このように考えております。
○木暮山人君 よろしくお願いします。
老人保健福祉計画が推進されていると思いますが、各市町村はこれにどのように取り組んでいるか。また、口腔保健の果たすべき役割の認識が厚生省に不足していたのかどうかわかりませんが、地方自治体の歯科に対する対応はいまひとつ積極的ではありません。この計画の中に歯科の問題を残して出発すると、途中から参画することになるというといろんな問題が起こりかねないと思います。老人保健法に歯科検診がうたわれていないということだけでこの計画に口腔保健の問題を取り上げないのはいかがかと思いますが、いかがなものでしょうか。
また、この計画の作成状況が取りまとめられた平成五年一月八日現在、九百七十七市町村で既に計画案が作成済みかあるいは計画案が作成中とあります。その中でどのぐらい歯科がかかわっているかお伺いしたいと思います。
また、作成中のところ、これからのところに積極的に地元歯科医師会に参画するよう声をかけていただくことが大変重要なことでありますので、厚生省がこのような指導を積極的に進めていただくようひとつ要望いたしたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 老人保健福祉計画における口腔衛生についての取り組みでございますが、現在作成中の自治体の計画の中での歯科保健についての取り組み状況については、またそれぞれの計画が私どもの手元まで届いていないものが多数ございますので、詳細については今のところ把握をしておりません。しかしながら、各自治体がこの計画を策定するに当たりましては、この歯科保健の問題についてもサービスの目標を定めて織り込むようにという指示をしているところでございますので、それぞれしかるべく取り組んでいるものと考えております。
また、もう一つのお尋ねの、老人保健の中で口腔衛生の問題について取り組みが弱いんではないかというような御意見があったかと存じますが、私どもは、この問題は高齢者の健康の上からも大変重要な問題と考えておりますし、また同時に、齲蝕であれ歯周疾患であれ予防が可能な疾患であるという観点から、特に歯科の健康教育あるいは健康相談については、重点健康教育として取り上げております八項目、例えば肺がんや乳がんの予防健康教育でありますとか、糖尿病の予防教育、寝たきり予防等の、特に取り上げました八項目の中の一つとして力を入れて取り組んでいるところであります。
○木暮山人君 ひとつよろしくお願いします。
また、平成元年十二月から八〇二〇運動を厚生省を中心に推進しておられ、平成五年度には六千九百余万の予算が計上され、その成果が期待されるところであり、国民挙げて、八十歳で二十本の歯を残そうと、歯の健康状態の改善に努めているのが現状と思われます。
そのためには、生涯を通じ一貫した歯科検診が行われることが必要かと思われます。妊産婦の教育に始まり、高齢者に至るまでの各年代別に歯の健康管理がどのような制度でなされているかお尋ねしたいと思います。現状をひとつ御答弁願います。
○政府委員(寺松尚君) 八〇二〇運動の推進を図ることによりまして、生涯を通じました歯科保健対策の充実強化ということを行っておるわけでございますが、非常に大変重要な問題だと考えております。
現在の具体的なお話をいたしますと、歯科保健サービスは、学校保健法あるいは労働安全衛生法、母子保健法あるいは老人保健法等の関連法令の規定に基づきまして、ライフサイクルの各段階のニーズに応じまして行われておると承知いたしておるわけであります。
この本運動を円滑に推進するためには、もちろん関係省庁との一層の連携を図らなければならぬとこのように考えておりまして、本年度から私どもの歯科衛生課におきまして歯科保健医療調整官というものを配置いたしまして、関係省庁、各都道府県等との歯科保健に関します連絡調整あるいは連携を図っていきたい、このように考えております。
○木暮山人君 次に、今御答弁ちょうだいいたしましたことを質問しようと思っておったのでありますが、要は妊産婦から就学時までは厚生省、修学時が文部省、就業時に労働省、高齢者が厚生省になると思います。このような健康管理に各省がそれぞれ主導権を分割していては、八〇二〇運動
実施に支障があると思われます。これら関係各省が連携を密にとり、一貫した施策をとるべきであり、人間の一部の臓器である歯の健康管理ならば当然厚生省が主管の任に当たってしかるべきかと思います。今御答弁の歯科衛生課が今から大活躍されることでございますから、これについての御答弁はちょうだいいただかなくても結構であります。どうもありがとうございました。
次に、産業歯科医としての資格認定がございます。実際にはその活動範囲は広くないのが現状であります。その大きな理由は、企業が行う健康診査の中に歯科検診の位置づけがなされてないため、企業によっては歯科検診に消極的なところがあります。このようなことでは、八〇二〇運動の推進に大きな支障を来すことは必至であります。企業健診の勧告に労働省も理解を示さなければならないと思いますが、厚生省のお立場よりいかにすべきか、御意見等がございましたらお伺いしたいと思います。
○政府委員(寺松尚君) 今先生おっしゃいますように、生涯を通じても一貫して行う必要がございますし、その横断面をいろいろ考えましても、関係各省庁それぞれ所管事項については責任を持つということはもちろんでございますけれども、やはりそれら全体を調整していかなければならない。特に産業衛生と申しますか職域の問題につきましても、その期間はかなり長いわけでございまして、やはりそこら辺も十分歯科の問題につきましては関心を持ちまた充実していただきたい、このように私ども考えております。
○木暮山人君 加えまして老人保健法の中の歯の検診の位置づけがないために、さきの老人保健福祉計画に歯科の問題が乗りおくれる、また支払基金を通じて行われている特別保健福祉事業にも、大変有意義な事業であると思われますが、これにも各健康保険組合や共済組合等は歯科検診には消極的な姿しか示しておりません。単に老健法の中に位置づけがないからという、ただそれだけで次に重要な事業展開に支障を来しているので、老健法の見直しが行われる平成七年にはまだ間がありますが、この間このような問題解決に努力する姿勢があるかどうか、御意見等をお伺いしたいと思います。
○政府委員(横尾和子君) 老健法に基づきます検診については、これまでも関係の審議会、研究会等におきまして、検診になじむかどうか、あるいはそのことが所期の目的を達成するのにふさわしい項目であるかということを一つ一つチェックしながら取り込んできた経過がございます。
御指摘の歯科検診については、これまで幾つかの御議論がありましたが、即座に取り上げるというところまで議論が煮詰まっておりませんので、当面モデル事業を実施してそのあり方等を検討するというスタンスでおりまして、それのモデル事業を平成四年度から始めておりますので、その成果を見ながら必要な検討を加えていきたいと考えております。