『日本歯技』2015年1月号
新春特別企画
常務理事座談会
私たちが
目指して
いるもの
常務理事による
新春白熱対談
会員の付託に応える
責任と使命を抱いて
〈西村〉 今執行部では、常務理事の半数以上が新任の方です。女性の常務理事も2名が就任されています。発足してからちょうど半年が経ったこともあり、今回は新春特別企画として、実務の中心にいる担当者の座談会を開催させていただきました。
杉岡会長を中心に、これからの日技について、あるいは現執行部で取り組んでいきたいこと、実現したい夢などについて語り合っていきたいと思います。
それでは会長から一言お願いします。
〈杉岡〉 今、担当の西村常務理事から話があったように、私は、この執行部の船出にあたって、業務執行にあたる常務理事に大胆な人事構成をさせていただきました。それは、会員が、私たちに、これまでの組織概念にとらわれず、新鮮な発想と迅速な行動力を求めていると感じたからです。もっと言えば、会員は、これまでの着実な会務とその成果を評価していますが、そのうえで、多くが感じている閉塞感のようなものを私たちに打破してもらいたいと期待されているように思いました。そこで、この期待に応える具体策として、前執行部から取り組んでいる日技新発展『7』プランの具現化が一つの答えになると考えて、その原動力になる人材として皆さんを抜擢させていただきました。
ですから、歯科技工士のナショナルセンターの常務理事として会員の負託に応える責任と使命を抱いてこれからの会務にあたってもらいたいと思います。
〈西村〉 私は今期から広報企画を担当していますが、広報ではこれから「ブランディング」について具体的に考えていきたいと思っています。
ブランディングについては、中長期総合計画検討委員会の委員として『7』プランの策定に係わっていた時から提案してきたことですが、これは単に日本歯科技工士会という名前を広めればいいというわけではなく、この組織の理念や考え方、方向性などを含め、「日技というのはこういう組織だ」ということが正しく理解されるように発信していく、その方法を考えることです。
外部に対する広報という意味では、日技を知らない人、あるいは歯科技工士を知らない人が主な対象となってきますが、例えばロゴマーク一つをとっても、どのような場所に、どのように配置するのがもっとも効果的か、費用対効果も考慮に入れながら考えていく必要があります。
そして先ほどお話ししたように、ブランディングというのは組織全体に係わることですから、横のつながりが重要です。例えば奥村常務が前任期から推進されている歯科技工所開設届け出等整備推進事業についても、これからの展開によっては広報が係われることがあるのではないかと思います。
『7』プランに掲げられた具体的施策は、各委員会で進めていくものだけではなく、必要に応じて委員会を横断する専門部会を立ち上げて遂行していくものもあると聞いています。広報企画としては、各担当分野とのコラボレーションを更に進めて行ければと思っています。
それぞれの担当分野のお話が中心になるとは思いますが、歯科技工士や日技への思いを含めてお話を進めて頂きたいと思います。
〈杉岡〉 前任期から続く歯科技工所開設届け出等整備推進事業を成し遂げようという奥村常務の信念は、本当に素晴らしいと思っています。
この事業を進める上での困難さは、皆さんもご存じの通りで、これまで理事会でもいろいろな意見が出されました。奥村常務には総合政策審議会にも委員として参加していただいていますが、これからも引き続き変わらぬ信念を持ってこの問題に取り組んで、ぜひ成し遂げていただきたいと思います。
すべての活動に
組織作りの視点が欠かせない
〈奥村〉 私が歯科技工士になって33年が経ちます。自分一人でこの仕事をやっていくには限界があるだろうと考え、会社組織にしてきました。若い頃に経営者として社員を酷使しなかったかと問われれば、猛省する部分もあります。
この間、歯科技工業界ではどのような変化があったかと言うと、歯科技工士免許の発行元が都道府県知事から厚生労働(当時は厚生)大臣に変わりました。歯科技工法が歯科技工士法になりました。このような結果は良いことだと思いますし、「身分を高めたい」という当時の先輩方の強い想いから実現できたことだと思います。
私が担当する歯科技工所届出整備推進事業に関していえば、歯科技工士法に基づいて届け出が行われなければならないとなっています。
先ずは基本に立ち返り、開設届けや就業者届けは必ず出す、そして歯科技工士に関する統計数字が誰からどこから見ても、正確なものとの信頼を得て行かなければならないと思います。
その上に立って、国民に安心で安全な歯科医療を供給するために、歯科技工士会、歯科医師会、歯科衛生士会、歯科関連団体が協調し、新たな法整備および制度の周知徹底と可視化による検証の仕組みをつくらなければならないと思います。
また、届け出制度、生涯研修、管理者等講習会、構造設備基準、歯科技工指示書、歯科技工録等、有意な材料があるにもかかわらず、それぞれがばらばらで明確な関連付けができていないという実態があります。この関連付けが重要な課題だと認識しています。
歯科技工所届出整備推進事業は非常に難しい手間のかかる作業ではありますが、全国の組織の皆様のご尽力のお蔭で作業は確実にステップアップしています。
〈杉岡〉 この問題が整備された暁に、奥村常務としてこんなことを実現したいという夢はありますか。
〈奥村〉 日技は学術団体という側面もあります。勉強して技術を身につけた者が成功者となっていくというのは、歯科技工士に限らず技術者の大きな目標であり、成功事例は有効に活用できる情報だと思います。ですから、「歯科技工士の資格を取ってこんなに成功した」という話を、国民に向けてもっと発信するべきだと思います。
それは歯科技工士として成功したというだけではなく、歯科技工士という資格や経験を活用して成功した人というのは、いろいろな方面にいます。例えばメーカーで成功した人もいますよね。そうした人たちをもっと紹介していくことによって、歯科技工士というのはいろいろな可能性を秘めた資格なのだということを広めていき、この資格が国民の耳にもっと届くようになればと思っています。
〈森野〉 確かに学術団体という見方は強いと思います。だからこそ生涯研修は絶対に続けていかなければいけない事業なわけですが、始まった頃と今とでは状況が変わっていますから、やはり時代に即したものに変えていく必要があります。
例えば顎関節について学ぶ顎口腔機能学という学問は、現在38歳ぐらいの人から国家試験に入ったのですが、それより前に試験を受けた人は歯牙解剖学を習っただけですので、顎口腔機能学という学問自体を知りません。しかし現在の歯科技工業界の年齢構成を考えると、これを知らない人のほうが多いわけです。
しかも現在はメーカー主催の講習会などもたくさんあり、受講料さえ払えばどんな講習も受けられる時代です。そのような状況の中、今までと同じようなことだけをやっていたのでは、受講者も減っていくことが危惧されますので、これから委員会で具体的に検討していきたいと思っています。
特に卒後研修という部分で、日技が果たす役割は大きくなるのではないかと考えています。歯科技工士は歯科医師のパートナーだと言われますが、パートナーということは知識や技能についても対等でなければなりません。つまり、少なくとも歯科技工に関してはそのスペシャリストとして歯科医師を超えるぐらいの力量や知識を持っていなければ、パートナーとは言えないのではないでしょうか。
そのようにきちんと対等に自分の持ち場の意見が言えるだけの力量を持った歯科技工士がどんどん育ってきてほしいですが、四年制大学ができたとはいえ、片や6年の大学教育
を受けてくるわけです。その差を少しでも埋めるという意味でも、卒後研修の充実は必要だと考えています。
それから生涯研修の運営について、手書きで受付をしている地域組織もあるようですので、会員カードを早急に導入することで、生涯研修の受付や受講状況の管理をデータで行えるようなシステムを構築していきたいです。これは自分の任期中に実現したい直近の目標です。
〈岩澤〉 この会員カードは、地域組織と日技本会の事務合理化という「便利さ」はもちろん、先ほどのブランディングという意味を込めた「象徴」の一つに育てていければ、なおさら良いものになると思います。ここにいる各担当者が、それぞれの分野と横の分野の連携をいかに図っていくかで、成果を何倍にもしていくのではと思います。言わば付加価値の創造が、各担当者に求められていくと思います。
会員カードを日技本会と地域組織の事務局職員の仕事の合理化につなげ、そこから生まれる時間を利用し、より発展的な事業展開を図っていくという視点も大切と思います。この発展的な事業展開が、次につながる、次につなげなければいけないと、役員と職員が意識していかなければと思います。
さらに言えば、首都直下地震等が一定の確率で想定されるわけで、危機管理という観点からは、歯科技工士組織が持つ様々な事務機能・データ等の機能維持・バックアップをどのように構築していくかという課題に向き合う上で、カード事業は大切な契機になるものです。
組織対策を考えていく上で、組織が会員に対し安心を提供できるかと言うことが、どこの組織でも一つのカギになると思います。ここで考えていただきたいことは、「安心を提供できる組織」は、それだけで求心力を持つということです。そして、目指すべき組織は、「資格者が、安心を作り上げる結集軸としての組織」なのだと思います。そして、『7』プランにある「国民から信頼され尊敬される組織」とは、一つの面では社会に安心を提供できる組織なのだと思います。こんな組織を役員のみならず、会員の皆さんと作っていくことが、歯科技工士の資格者組織の進むべき道なのだと思います。したがって全ての活動に、やはり組織作りの視点は欠かせません。
話がだんだん大げさになりましたが、こんなことも意識しながら、会務に取り組まなければと思っています。
女性・若年層歯科技工士の
支援体制の確立
〈杉岡〉 組織対策の常務理事には、今期から下江常務に就任していただきましたが、今後どのようなことを実現していきたいと考えていますか。
〈下江〉 当面取り組んでいかなければいけない課題として、新卒者を初め若い方、それから女性の入会率がとても低いことが挙げられます。やはり若者や女性が組織の中に入ってこなければ組織自体が活性化していきません。
こうした方々はほとんどが勤務者ですので、言い換えれば、勤務者の入会をいかに増やすかを考えることが重要だと思いますが、会費総額の負担が大きく入りたくても入れないという声をよく聞きます。日技では今後、『7』プランを具体的に推進することによって“入りたくなる組織”を目指していくわけですが、それと同時に、歯科技工士の免許を持っている全ての人が“入りやすい組織”というのも目指していかなければならないと思います。
これは何も勤務者のことだけを考えている訳ではありません。結果的に会員が増えて組織が強くなれば、対外的にも発言力・影響力も増すことになります。そしてその成果は必ず先に経営者の方に来ると思うのです。
一方で、これまですでに様々な組織対策が行われてきました。さらに何かを変えるということになれば、現在の会員の方には都合のよくないことも必要になるかもしれません。ですが、歯科技工業界や会員の方、そして今から入ってくる若者の未来を考え、大きな視点に立って日技と地域組織が危機感を共有して一体となって取り組むことができれば、何とかこの状況を打開できるのではないかと考えています。
〈上野〉 私が所属している長野県技では十数年前に女性部会が発足しましたが、主に活動してくださっているのは、子育てをしながら働いているママさん会員です。
その中に、以前歯科医院に勤務していて、出産を機に一度退職し、その後、また元の歯科医院に就職した方がいますが、産休をとって休むか、母体が順調であればぎりぎりまで働くか、いろいろ考えたそうです。おそらく雇用する側としても、無理をされて何かあったら困るから、早めに産休に入ったほうがいいのではないかと考える人もいると思います。
そのような場合に、最近はマタニティハラスメントが問題になっていますが、「不当に除外された」などと思われないようなフォローが職場の中では必要でしょうし、復帰するにあたっては、歯科技工業界ではこれからデジタル化がさらに進んでくるでしょうから、会社によるフォローだけではなく、歯科技工士会としてサポート体制を構築していく必要があると思います。
サポート体制としては、復職支援セミナーを開催するのはもちろん、多様な働き方を支援するという意味では、例えば、各地の歯科関係職種の無料職業紹介事業と連携し、働く人の視点から、その認知度と利便性の向上を図り、歯科技工士発信でより使いやすいネットワークを構築するというのもいいのではないかと思います。
都合の良い時間だけパートとして働くというのは、大きなラボではできると思いますが、小さいラボでは難しいと思います。どうしても長い時間働いてほしいと思うでしょうから。そのあたりの雇う側の意識を少し変えていただく必要はありますが、ちょっと人手が足りない時に手伝ってもらえるのは便利だと思いますし、子育て中の女性歯科技工士の方にとっても有益ではないかと思います。働く側と雇う側のマッチングに、もう一工夫、仕組みが必要と思います。
〈奥村〉 自身の会社の話で恐縮なのですが、今年に入って2名のOGの方に復帰していただきました。いずれも以前、結婚を機に辞めた女性ですが、今回歯科用CAD/CAM装置を設備したものですから、そのオペレーターを一日数時間やってもらえないかと依頼したところ、「以前のような仕事はできないけれど、それだったらできます」と復帰してくれて、一人は一日2時間、もう一人は一日3時間、それぞれ週に2~3日来てもらっています。
歯科用CAD/CAM装置を始めとする機器の進歩や環境の変化に伴い、歯科技工士の仕事内容も昔に比べて変わってきています。そうしたことをうまく社会に発信することも、女性が復帰しやすい環境を作るための有効な手段ではないでしょうか。
歯科技工士の資格は、一度取得すれば一生涯使えるものです。結婚して出産して、子育てが一段落した後にパートを始めるにしても、歯科技工士の資格を持っているのであれば、それを活かした仕事ができたほうが収入もいいかもしれません。ですから、本当の意味で一生涯使える資格にするために、この問題は日技としてしっかり取り組んでいかなければいけないと思います。
〈西村〉 一度離職した方の復帰支援については、『7』プランでも具体的施策として掲げられていますから、それを着実に遂行することが求められますね。
〈岩澤〉 日本の女性の年齢別の就業率を表すグラフにM字カーブという特徴があります。出産・育児期に下がって、その後にまた戻るという状況を表しているものですが、やはり歯科技工業界においても、社会的なこのM字傾向を踏まえた上で、今日本全体の少子化・人口減少の中で、社会全体が目指すこのM字傾向の是正を歯科技工業界で進め、女性歯科技工士が力を発揮できるような環境整備を進めていく必要があると思います。
今、上野常務と奥村常務から現場からの発言がありましたが、一度この仕事と離れた人たちとのつながりを、同級生や地域組織が細くても良いので何らかの形で保ち、地域組織の情報を提供し事業につなげていく。情報提供と言っても、HPでもLineでも何でもいいのですが、ご自分が持つ歯科技工士という資格を意識し続けていただくことが重要と思います。そこに日技組織が支援プログラムを提供し活動に援助をしていく。そのような好循環がぜひ必要ですね。現場を知っているのは前線で、「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!」なわけですから。
〈柴田〉 そうですね。歯科技工士は男女関係のない職業だと思いますが、女性に関しては出産・育児等のハンディーキャップは高いものです。再就職に関しても希望通りにはいかない時もあります。私が担当する委員会である政策推進B(歯科技工士労務対策)は女性歯科技工士や若年層歯科技工士の支援体制の整備等について考えていきたいと思っています。
また、勤務者目線だけを検討するより、政策推進A(歯科技工所運営対策委員会)と一緒に、就業者側の労働環境改善を中心に展開していきたいです。その為には労働関係知識として労働契約書や労働条件通知書、リーフレットの各種資料をさらに充実させたいと考えています。これは、都道府県技で行われる管理者等講習会や実務者会議などの資料として活用していただければさらに良いと思います。
仕事を通していかに人生を
豊かにできるか
〈岩澤〉 先月号の『日本歯技』で紹介させていただいたのですが、『歯科医療のおもしろさ』という本があります。歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士など歯科医療に携わっている28名が、自分が見つけた「歯科医療のおもしろさ」を後輩たちに伝えるという意図の本なのですが、読んでみて非常におもしろかったです。
歯科技工士は4名が執筆されていて、そのうちのお二人が、ここにいらっしゃる杉岡会長と下江常務です。せっかくの機会ですので、これを書くに至った経緯などお話しいただけますか。
〈下江〉 あの本は当時、日本歯科技工学会の理事をされていた松井理事から執筆依頼をいただきました。松井理事はご自身も執筆されています。あの本は、企画当初は歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士それぞれ同じくらいの人数に書いてもらうという企画だったようなのですが、どうも歯科技工士は断った方が多かったようで、私のところまで話が回ってきたわけです。
私は教育機関で働いているので、書いていいのかどうか悩んだのですが、少しでも若者の役に立つならと思いお引き受けしました。自分のことを書くのは苦手なのですが、私自身、歯科技工士会や職場の先生などいろんな方々に助けてもらいながら今までやってきたと思っていますので、人との関わりの大切さを若い方にわかってもらえるように書いたつもりです。
〈岩澤〉 下江常務が書かれたお話は、ご自身が会議でもよくおっしゃっているような内容ですよね。教育に携わっている人の立場から、真っ直ぐにその思いを書かれているという印象を受けました。
〈杉岡〉 私は齊木前学会長からの依頼で書かせていただきました。書いた内容としては、私が歯科技工士になって、この人に出会ったからここまで来られたという人が3人いるので、その人たちへのお礼の気持ちも込めて、思い出を書かせていただきました。
この本の趣旨は、歯科医療従事者を目指そうという若者が希望を持てるように、そのおもしろさを伝えたいというものでしたが、先ほど奥村常務が言っていたように成功事例を知ると将来に希望を持てます。その意味でこの本は良い企画だったのではないかと思います。
人生において仕事は目的ではありませんよね。もちろん生活のために仕事をしているわけですが、やはり究極は、仕事を通していろいろな人と出会い、社会に貢献し、自分の人生観を高められるか、自分の人生を豊かにできるかということだと思います。歯科技工士も現状を憂いてばかりでは暗くなるだけですから、この仕事を通していかに人生が豊かになるかというところにも、もっと目を向けてもらいたいですね。
〈森野〉 日本の歯科技工士の技術は絶対に世界一です。それをもっと出していってもいいかもしれませんね。
〈奥村〉 そのとおり、日本の歯科技工士の評価は世界一です。その中で私たち歯科技工士が今の歯科技工士のままでいいのかという思いを抱いています。
病気の主な発生原因はストレスなどの心理的要素であるという考えの下、医科、歯科、耳鼻科、咽喉科、内科、外科などの垣根を超えて、すべての医療人がチームで患者さんに医療を提供する必要があると思います。
例えば乳房エピテーゼというのはどなたでもつくることができる領域ですが、これを歯科技工士がその技術に基づき作れるようにできないだろうかと思います。乳房エピテーゼというのは基本的に形成外科医や整形外科医の指示の下で作るものなので、それを歯科技工士が行うことになれば、もしかするとメディカル技工というような名前で、我々の職域にしっかりと取り込める仕事になるかもしれません。
〈下江〉 実際は今でも、医科大学の中で歯科医師だけではなくて医師と一緒に仕事をされている歯科技工士はいらっしゃいますし、その方々が中心となって運営されている日本口腔顎顔面技工研究会という全国規模の学術団体もあります。
将来的には、歯科技工士法で規定されている「歯科医師の指示のもと」という部分が、「医師または歯科医師の指示のもと」となれば、今後もっと進んでいけるのではないかと思います。
〈岩澤〉 前提条件を変えないといけないわけですね。歯科技工士の資格を取得した上で、実務と研鑽を積み、それなりの裏付けを得た人たちが次に挑戦できる資格として「医科技工士」というようなものがあってもいいかもしれません。
制度上の医科と歯科の壁はありますから、医科の側からその必要性を訴える声を引き出す、歯科の一人相撲にならない形を作っていくことが大切だと思います。
〈杉岡〉 今のお話は、先日の総合政策審議会の中でも「医療関連技工の研究」ということで言及されていましたから、これからぜひ検討していっていただきたいと思います。
本日は皆さんにこれから実現したいことを語っていただきましたが、どれも本当に貴重な意見でした。ありがとうございます。
『7』プランをこれからどのように単年度計画に落とし込んでいくか、『7』プラン推進委員会での協議と並行しながら各部で進めていただくことになりますので、初めのうちは、やりにくかったり、混乱したりすることもあるかもしれません。
しかし、皆さんは各部門の業務執行責任者ですから、会長や副会長に遠慮せず、自信を持って、明るく、積極的に取り組んでいただきたいと思います。期待しています。
〈西村〉 皆さん本日はありがとうございました。