鹿内家の亡霊まで出てきたニッポン放送株騒動

フジテレビとライブドアの主導権争いが泥沼化して、ついに、
かつてフジサンケイグループを支配した鹿内家の名前までが出てきた。

もう経済問題というよりは、芸能ゴシップのような様相だ。
まぁ、そもそも、この騒動の中心人物である堀江氏が
実業家と言うよりもタレントのようだから、
すでにそういうイメージが無きにしも非ずなのだが。

若い人は鹿内と聞いても誰の事だか分からないだろう。
私などは、元NHKアナウンサー頼近キャサリン美津子さんの
玉の輿結婚とその後の予想だにしなかった若後家の悲劇を思い出す。

頼近美津子さんは、女優のような美貌の上に英語が堪能で
当時大変人気のあるアナウンサーだった。
その彼女が、NHKとはライバルである民放局のトップであった鹿内春雄氏と
電撃結婚した時は、誰もが驚き、玉の輿と羨んだものだ。

しかし、なんと春雄氏は急死してしまう。
春雄氏には離婚歴があり、先妻との間に子供もいた。
相続でもめて、頼近さんは子供を連れ田園調布の豪邸を
身一つで出たと伝えられた。
まるでテレビドラマのような展開だ。
その後またテレビの世界に復帰し、今は旧姓に戻って仕事を再開されている。

鹿内春雄という人は、親父から権力委譲されてフジテレビのトップになった人だ。
そして、春雄氏が急死した後は、娘婿が鹿内家の養子になり
権力を継承しようとした。

何だか、西武の堤家やダイエーの中内家と同じような構図だな。
ただ、堤家や中内家の初代は自分の才覚で一から会社を興し財を成したが、
鹿内家の場合は別に放送会社を一から作ったわけではない。
それなのに、子供に代々譲ろうとしたのだから、その分、
もっと性質（たち）が悪いと私は思う。

ところがこの娘婿は社内のクーデターによりあっさりと失脚、
以後、鹿内家はフジサンケイグループの経営からは撤退させられてしまった。
そのクーデターの首謀者が、今回ライブドアと熾烈な争いを繰り広げている
日枝会長だというのだから、歴史というのは皮肉なものだ。

今回フジテレビが必死に買い集めているニッポン放送株の中に、
この追い出された鹿内家の娘婿が証券会社に委託していた株があって、
フジになんか売らないから返せと訴えていると言う。
さぞや恨んでいるんだろうなぁ。

こうなってみると、フジも結構胡散臭い会社だね。
いっそ、ライブドアに買われてすっかり内部を解体され、
また新しいオーナーへと転売された方が、むしろ健全になるのではないか？
なんて嫌味の一つも言いたい気分だ。