ぐすっ!ぐすすっ!
なんじゃ・・!
みんなして、わらわをのけ者にして、
みんなキライじゃっ!!
コン・コン・・
フィアンナ姫、居るかしら?
入るわよ・・
その声はディードか?!
はいれ!はいれ!
パーティから抜け出してきちゃった・・
フフ・・
パーンもいるわよ
おお!パーン!
俺たちはああいった硬苦しいパーティは
どうも苦手でね、ずっとという訳にはいかないけど
ここに居ていいかな?
モチロンじゃ〜!
パーン大好き!
邪魔するぞ!
・・いいのですか?王女様の部屋を貸し切ってしまって・・
遠慮しなくて良いぞ!
パーンの仲間達なら大歓迎じゃ!
わらわ一人でこんなに広い部屋は、寂しかった所なのじゃ!
ねぇ・・パーン、ファーン王に
“聖騎士への入隊“が認められたんでしょ?
・・ああ
なんで断ったの?
そうですよ・・
しかも入隊した暁にはヴァリスに伝わる伝説の鎧“ロードオブセインツ“(聖なる鎧)までくれるって言ってたのに・・
・・父さん
俺の父さん・・かつてテシウスはここ
ヴァリスの聖騎士だったんだ・・父さんは聖騎士の“掟”を背いて、
いや・・背かずには居られない事情があったために
聖騎士から追放されたんだ・・
テシウスはヴァリスの国境警備に当たっていた・・
ある時、守備をしていた近くにある、小さな村が夜盗の群れに襲われ父さんに助けを求めやって来た
しかし・・国境の守備を放棄して村へ助けに行くことは、聖騎士の“掟“に反する行為・・
聖騎士にとって“掟“は絶対なんだ・・
破ってしまったら、聖騎士では無くなると言うこと
だが、
父さんは迷わずたった一人で
村へ行ってしまった
村はテシウスの活躍で救われたが、
父さんは戦いの中、
帰らぬ人となってしまった・・
悲しい話しよのぉ〜
父上はこの出来事、知っておるのか?
ああ・・
ファーン王は知っていたさ・・
でも
“掟“を捻じ曲げてテシウスを助ける
事は出来ない・・
だから、ファーン王は父さんが死んでからも聖騎士の資格を剥奪しなければならなかったんだ・・
(お前の親父は聖騎士の掟を破って追放された
裏切り者だろうがッ!!)
・・・・
なるほど、それで、いまだにテシウスを“聖騎士の裏切り者“として憎む輩が多いのですね・・
この事は、ファーン王と一部の聖騎士でしか知らない事だからな・・
俺を“聖騎士”として認めてくれるのは嬉しいし
とても栄誉な事さ・・
でも一度、聖騎士となったら、
お前たちともう二度と冒険に出掛けることは出来なくなる・・
なるほどね、いかにもアナタらしいわ・・フフ
ぐぬぬ・・
よし!パーン!
この事、わらわに任せるが良いぞ!
えっ!?
わらわがこの一件を、“聖騎士の伝説“として
ヴァリス国中に語り伝えてやろうではないか!!
えええっ!?
(一同の不安をよそに、
この後、フィアンナが取った行動は、
パーンの父テシウスの“聖騎士の名誉の一つの形“として広く認知され、伝説となった。
裏切り者の汚名は完全に払拭された。
そして、騎士の中にはテシウスの除名を解除し復職を懇願する者すら現れたのだった。
ヴァリスの国王“白き英雄王ファーン“は“勇ましき者“と言う意味を持つ“勇者“の称号をテシウスへ贈った。)