コレクター垂涎盤が目白押しのレーベル、REMINGTONに2枚のアルバムを残した、これまた幻の女流ヴァイオリニスト、Helen Airoff。本作ではなんとも品のよいモーツァルトが聴ける。少々細身ではあるが、麗しい音色にうっとりさせられる。もう1枚はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタで、こちらも劣らぬ名演だと思う。ジャケットの美しいイラストは、個人的にはクラシックのBEST3に入れたいほどのお気に入り。色彩感も素晴らしく、壁にかけていつも眺めていたくなる。(なお、このジャケットは最初期盤で、後期のものはまったく違う絵柄。REMINGTONはしばしば途中でデザインを変えるので注意)
幻のトランペッター、デイヴ・バーンズが1962年にリリースした初リーダー・アルバム。オリジナル・ヴァンガード盤は、かなりレア。リー・モーガンあたりに迫る力強いブローが小気味よい。ベテランのケニー・バロン(Piano)等、参加ミュージシャンも充実。ペット・ファンにとっては、隠れた名盤といえるだろう。
ブルー・ノート盤を例に出すまでもなく、ジャズには優れたアーティスト写真を採用したジャケットが多い。本作も光と影を意識した素晴らしいポートレイトとアーティスト名だけのシンプルなレイアウトがジャズ臭漂う!?
Beethoven Symphony No.9 in D Minor,Op.125 "Choral"
いわずと知れたフルトヴェングラー(フルベンなどと、下品に略称してはイケマセン。ごめんなさい…)/バイロイトの名盤中の名盤。というより、ひょっとしたら、クラシックのアルバム人気投票をやったら、これがNo.1に選ばれるのでは? この“第九”は、とにかく神がかり的な演奏だ。聴くたびに感動で冷や汗が出る!? 日本盤の解説にも「彼のあと、彼に及ぶ指揮者が何人も現われていない」「伝説的な偉大さを持っていた」とあるが、同感デス 。毎年、大晦日はこのアルバムを拝聴しながら年を越す。これ、当然の儀式。
さて、東芝EMIから発売された紙ジャケCDがそうであるように、初出時代のオリジナル・ジャケットは、アメリカ・エンジェル盤のデザインに合わせたものであった。このユニークなレタリング文字中心のデザインも悪くないが、やはり英国オリジナル盤の黄色地にWilliam Blakeの「 Ancient of Days(1794) 」が配されたジャケットの方が、第九の格調高さにはふさわしい気がする。名盤でありながら、意外に目にする機会の少ないオリジナル・ジャケット、ごゆるりとご鑑賞のほどを。
Joni James は、1950年代の典型的な清純派アイドル。そのクリアーなヴォイスに魅せられてしまうと、すべてのアルバムをコレクションしたくなってしまう。スタンダード・ナンバーをストレートに歌うのが特長か。これぞ古き良き時代のアメリカン・ポップスと叫んでおきたい! ジャケットは、初期のものほど素敵だ。おいおい紹介していきたいが、今回のEPサイズ・ダブル・ジャケットという変型盤は超レア。
1951年のカーネギーホール・ライヴ盤が有名だが、こちらは1947年スタジオ録音の「展覧会の絵」(ムソルグスキー)オリジナル盤。豪快かつ完璧なテクニック。呆れるほど凄い演奏だ。この心に響く圧倒的なピアニズムは、ホロヴィッツが単なるヴィルトゥオーソだけの人でないことの証。ELPでしか聴いたことのない若い方も、是非一度聴いておこう! パステルな色使いと、品のよいイラストとの組み合わせがハイ・センスな一枚。
“神様”テイタム参加の珍しいワンホーン・カルテット唯一のアルバム。もちろん神様の驚異的なピアノ・テクニックを拝聴するのもいいが、ここではエルドリッジの参加もあり、よりリラックスした演奏を楽しめる。テイタム教の方から見れば駄作なのだろうが、ぼくは後期のくつろいだお気楽セッション・アルバムの方をむしろ好む。Verve盤のオシャレなイラスト・シリーズは、どれも秀逸!
ジネット・ヌヴーの後継者ともいわれた仏の女性ヴァイオリニスト、オークレールの超秘蔵盤(幻のREMINGTON!)。若くして引退してしまったオークレールであるが、熱狂的ファン(ワタシもです。ハイ)を多く持つ。本アルバムでのクライスラーは、同レーベルの「ブルッフVコン」と並ぶ知られざる名演。艶やかな弦の響きがたまらない。彼女は教授として来日したこともある。残念ながら、昨年亡くなられたとか…。ピンクを基調としたかわいらしいイラストと、ベスト・マッチングなレタリングがお見事!
アルバムが多い割りに日本では知られざるシンガーのひとり。アメリカ生まれだが、パリで活躍した。本作はゴージャスなオーケストラをバックに、当時ティーンのアイドルでもあった(ごらんのような美人!)ジェーンの「春の息吹のような」フレッシュな歌声を聴くことができる。「My love is a wanderer」の名唱には聴き惚れる。このポーズのジャケットはよく見るが、ジェーンの夢見るような表情のなんとも素敵なことか!
「LP倶楽部」主催者のアナーロです。当ギャラリーへようこそお越しくださいました! ここでは毎回私の愛聴モノラル盤を1枚ずつ展示いたします。コメントは最小限にとどめますので、1940~1950年代のムーディーなジャケットを、ごゆっくりと御鑑賞ください。
日本では、ジャズはともかく、クラシック(特にモノラル盤)は、ほとんどオリジナル・ジャケットで発売されませんでした。あのフルベンの第9だって、(契約の都合上)アメリカ盤のジャケット・デザインが採用されて、今日に至っています。いまオリジナル盤を手に取ると、とても格調高いデザインばかりであることに気づきます。
こうして“いにしえの”ジャケットたちを眺めながら、アナログ・プレーヤー+管球アンプが奏でる重厚なサウンドを聴いていると、改めて(CDからは得ることのできない)LP(EP)の魅力を強く感じます…。