十和田湖・奥入瀬渓流の玄関口に位置する十和田湖温泉郷の近くに、昔の姿を極力留めて復原された茅葺農家があるということで行ってきました
十和田湖温泉郷付近の国道102号線を走っていると、ところどころに青い背景&赤矢印の上に白文字で“旧笠石家住宅”と記された看板が目に留まります。
里山の風景の中をその看板通りに進んでいくと・・・
「十和田市十和田湖民俗資料館」と「旧笠石家住宅」に辿り着きます。
こちらの建物は、『十和田市十和田湖民俗資料館』です。
隣にある茅葺農家「旧笠石家住宅(国指定重要文化財)」が復原され、一般公開されたのに合わせて建築されました。
館内には、地域住民の協力提携によって寄贈された資料が、所狭しと並んでいます。
はてさて、いつの時代のものでしょうか?
“國民健康治療器”と記された、電気を使った健康器具が展示されていました。
今も昔も、人々が健康に気を使うことに変わりはないようです
右は行灯(あんどん)やランプ台などの照明器具。
昔は、電気を使わずにこのような照明だけで暮らしていたんですよね・・・
このように電気に頼らない照明器具は、いざというとき頼りになります。
今の時代、多くのことが便利な方向へと進んでいるような気がしますが、昔の生活を見直すことも時には必要なのかもしれませんね
民俗資料館の向かいにあるこちらが、『旧笠石家住宅』です。
国の重要文化財に指定されていて、建築されたのは1700年代後半(江戸時代後期)と推定されています。
当時、この地域の農家といえば、このような家屋が主流だったようです。
そして、家族一緒に食事や暖をとっていたのが、左写真の「だいどこ」。
ちなみに、「だいどこ」とは台所のことをいいます。
だいどこには当時煮炊きに使っていたカマドがあるのですが、現在もこのカマドで毎日薪を燃やしているのだそうです。
民俗資料館の方曰く、この煙が建物を護るとのことで。
煙に含まれる煤(すす)が茅葺屋根に虫を寄せ付けず、さらには雨漏りを防いでくれるのだそうです
カマドの脇には、薪に使う木などを野山から調達する時に使ったとされる道具が置いてありました。
民俗資料館の方が、確か“ちょうな”とかいう名前だったような・・・と仰っていたので調べたところ、大工道具のひとつでした。
用途は違えど、使えるものはなんでも使ったんですね
上を見上げると、煤(すす)で真っ黒になった天井裏。
黒光りして艶もあって、確かに防虫効果や防水効果がありそうです。
その下には、曲がった状態で填まっていた梁がありました。
今の時代では考えにくいことかもしれませんが、昔は、曲がった木材でもこのようにうまく組み合わせて使っていたんですね。
そして、十勝沖地震などの大きな地震が起きた時でも、倒壊することなくこの状態を保ってきたのだそうです。
建築学科の学生の方達や大工さんなどが見学に来ることもあるそうですよ。
奥に見えるのは“唐箕(とうみ※)”です。
小学校の社会や中学校の歴史の教科書の中で見たものが、実際に目の前にあるというのは不思議な感じです
※収穫した穀物を脱穀した後に、もみ殻や藁くずを風で選別する農具。
足元を見ると、「煤で靴下が汚れるかもしれないですけど・・・」という民俗資料館の方の言葉とは裏腹に、ピカピカの床が
「ワックスをかけているのですか?」と尋ねたところ、「空拭きだけですよ」という答えが帰ってきました。
空拭きだけでこれほどの艶が出るこの床には、栗の木が使われているのだそうです。
栗といえば、堅くて水湿に強く腐りにくいのが特徴ですよね。
三内丸山遺跡からも栗の木の柱が出土したりと、太古の昔から木材として使用されてきました。
さて、昔の家は実に機能的だと感じたのがこの障子戸。
日中でも室内は少し薄暗いなぁ、と感じたら・・・
なんと!障子戸を上に引くことができるではないですか!!
しかも右の障子戸は、車のガラスハッチのように障子部分だけを上に引くことができます
外の光が差し込み室内が一気に明るくなっただけでなく、風通しも良くなり涼しさUP↑
さらに、障子戸の左に見えるのが玄関なのですが、ここを通れない家具などは障子戸を開けて入れるという、一石ニ鳥・三鳥にもなる優れものなんです。
開いた障子戸を留めるのは木の枝のフック。
ナイスアイデアですよね
ちなみに、障子戸の鍵は一本の釘 昔はこれで済んでいたんですよね・・・
先人の知恵がいっぱい詰まった「旧笠石家住宅」と「十和田市十和田湖民俗資料館」。
近くへお立ち寄りの際は、ぜひ見学していってくださいね♪
§十和田市十和田湖民俗資料館/旧笠石家住宅§
■住所 青森県十和田市大字奥瀬字栃久保80
■TEL・FAX 0176-74-2547
■開館時間 9:00~16:30 (但し11~3月は、9:00~16:00)
■休館日 毎週火曜日(但し、火曜日が祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
■入館料 一般・大学生¥100 / 小・中・高校生¥50
■最寄駅 十和田市駅(十和田観光電鉄)/ 駅から車で約40分
■ゆるりら十和田HP http://www.towada-kankou.jp/sight/index.html (見る ⇒ 焼山地区)
by ヴァ♪