1997(平成9)年、八戸市にある風張1遺跡から出土した縄文時代後期後半の遺物666点が、国の重要文化財に指定されました。
その後2009(平成21)年7月10日に、それらの重要文化財のうち「合掌土偶」1点が国宝に指定されました
そして2年後となる2011年7月10日、八戸市縄文学習館(※)のすぐそばにオープンしたのがこちら ↓
『是川縄文館』
※現在、八戸市縄文学習館は是川縄文館の分館となっています。
赤と黒を基調にした建物へ向かう歩道の脇には、土器のオブジェが。
ちなみに、外壁の三角模様は竪穴住居を表現しているそうで。
窓の内側にもさりげなく土器が展示されており、夜になるとライトアップされるとのことです
館内に入ると、天井からデンマーク製の照明器具が吊るされたモダンな雰囲気のアトリウムが広がっています。
写真最奥部には遮光器土偶を模したマークの入った門。 そしてこの空間にも、赤と黒という色を使った縄で装飾が施されていました。
1920年代、兄・泉山岩次郎が自宅の敷地内を鍬で耕したところ甕や壺が出てきたそうで、それが現在の是川遺跡(※)の始まりなのだそうです。
※中居遺跡(縄文晩期)、一王寺遺跡(縄文前期・中期)、堀田遺跡(縄文中期)の3つの遺跡で構成されています。
泉山兄弟は、私財を投じて遺跡の発掘・保存に尽力したそうで、その出土品は約5,000点にものぼります。
そして、1961年には出土品を一括して八戸市に寄贈したということです。
なるほど、泉山兄弟なくして是川遺跡を語ることはできないのですね
さて、是川縄文館には大きく分けて企画展示室と常設展示室があるのですが、まずは企画展示室へ向かいます。
現在こちらでは、開館企画展『八戸の埋蔵文化財』を開催中です。
今回の展示では、緊急発掘調査が始まった1974(昭和49)年から現在に至る37年間の発掘調査の軌跡をたどりながら、遺跡の発掘成果と貴重な出土品を紹介しているとのことです。
室内には、学芸員のおすすめコーナーがあったり。。。
実際に遺跡から出土した、太古の昔の貝に触れることもできたりします♪
そして、このあと向かったのは常設展示室。
“縄文への道”と記された入口の奥には、なにやら不思議な光が見え隠れしています。
土器の文様を表現したというこの光の先には、どのような縄文が待っているのでしょう?
・・・! また光が!!
こちらは「縄文くらしシアター」といって、当時の植生や人々の生活を想定して作られた影像をマルチシアターで見せるコーナー。
さて、この先には「縄文の美」というエリアがあるのですが、こちらも赤と黒を基調とした室内となっています。
このエリアは、さらに【漆の美】・【是川の美】・【風張の美】という3つのコーナーに分かれているのですが、冒頭から出てくる“赤と黒”という色の謎は、【漆の美】のコーナーへ行けば解明できそうです
【風張の美】コーナーには、国宝「合掌土偶」と同じ風張1遺跡から出土した頬杖をつく土偶が展示されていました。
残念ながら足が折れた状態でその部分が見つからないために重要文化財で止まっていますが、完璧な形で発掘されていれば、もしかしたら・・・
ところで、土偶の表情って様々ですよね。
凛とした表情の土偶もいれば、鼻の下をのばして少々おまぬけな表情をした土偶もいたり・・・
よく観察すると、おもしろいものですね
観察といえば、こちらの「縄文の謎」コーナー。
中居遺跡(是川遺跡を構成する一遺跡)を発掘調査したときの成果から、縄文人のくらしや技、当時の自然環境などを紹介しています。
展示室内をよ~く観察してみると
なにやら、床にいろいろと描かれているようです・・・
これは床に記された記号・数字と展示物の記号・数字を照らし合わせながら学習するコーナーのようで、特に子どもたちに喜ばれそうですね。
そして最後は、お待ちかねの
いらっしゃいました!!
2009(平成21)年7月10日、国宝に指定された『合掌土偶』。
淡い光に包まれて、神秘的な光を放っていました
さて、是川縄文館には民俗・文化史や自治体史などのほか、八戸にある各遺跡の図書が閲覧できるコーナーもあります。
各展示室をまわったあと、気になることをここで調べる
時間を忘れて、のめり込みそうです。
さらに1階アトリウム奥には、是川遺跡と関連のある遺跡を紹介している「是川羅針盤」や是川遺跡のデータベースを検索できる「はちのへ遺跡ログ」があります。
また、この近くにある一般収蔵庫の観察窓からは、出土品の収蔵状況を見学できますよ。
最後に、ミュージアムショップに立ち寄りました。
手づくりとは思えないほど精巧に造られた合掌土偶の置物や小瓶に入ったはにわなど、気になるお土産が
八戸せんべい汁やドリンク類などを販売しているカフェスペースも隣接していますので、小腹がすいたときに立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
いや~、実に密度の濃い時間でした。
是川遺跡を中心に、日本各地の縄文文化を垣間見ることができる「是川縄文館」。
八戸もまた、“縄文のまち”であることを再認識させられました。
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§八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館§
■住所 青森県八戸市大字是川字横山1
■TEL 0178-38-9511 / FAX 0178-96-5392
■開館時間 9:00~17:00
■休館日 第2~4月曜日(但し、祝日・振替休日の場合はその翌日)、祝日・振替休日の翌日、12月27日~1月4日
■入館料 一般¥250 / 高校・大学生¥150/ 小・中学生¥50
■最寄駅 JR八戸駅(東北新幹線、八戸線、青い森鉄道)/ 駅から車で約20分、南部バス[是川縄文館行き]で約25分、終点下車すぐ
※その他のアクセス方法は、下記HPの「利用案内」を参照ください。
■HP http://www.korekawa-jomon.jp/
by ヴァ♪