あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

秘密の願い叶えます(辻賢)

2020年04月01日 | 図書室のネヴァジスタ関連

 

これは「図書室のネヴァジスタ」という同人サークルのゲームのSSです。

多数の登場人物が出て来ますので、詳細はwiki先生か、

ゲームの紹介https://booth.pm/ja/items/1258でご確認下さい。

少しでも興味を持って下さった方はプレイしてみて下さい。

下記のSSSはネタバレでもあるので、ご注意下さい。

また、煉慈と賢太郎とのキスシーンがある為、抵抗のある方は自己回避でお願い致します。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<秘密の願い叶えます>


幽霊棟の辻村の居室。
賢太郎と辻村は並んでベッドに腰掛けて居た。
時刻は深夜に差し掛かる位だろう。
無言の辻村を横目で見ながら賢太郎が自然を装って座り直すと、僅かに腰が触れた。
それだけで辻村は仔猫のように竦み上がる。
それを見咎めると、賢太郎の眉間に皺が寄った。
これで三回目だった。
大人っぽい角張った頬は、頬紅を叩いたように真っ赤に染まり、
中学生の初デートのように辻村は俯いて顔も上げられないのだ。
賢太郎は会話を諦めて溜息を吐いた。
手を握る以前の問題だった。
有名私立大学に合格し、春から晴れて大学生になる辻村との約束通り、賢太郎は麻雀を教えた。
同じく麻雀を教えてやった久保谷に、奥手の辻村にもう一つの約束を果たしてやれと急かされ、
週末車を飛ばして渋々幽霊棟にやって来たのだ。
事情を知ると顔を羞恥に染め、要らないと怒鳴る辻村に逆に説教し、
無理矢理了承させると簡単に手順を説明した。
元々頭が良く、呑み込みの早い辻村は、賢太郎の言った事をすぐに理解した。
しかし、いざ実地で始めると辻村は全く駄目な生徒だったのだ。
槙原のように空気が読めない訳では無いが、純情過ぎるのだ。
これで非童貞なのだから世の中分からない。
最初の女性が年上だった事が幸いしたのだろう。
賢太郎はその女性に同情した。
こんな大きな熊のような男が欲望のまま押し倒して来たのなら、さぞ恐ろしかった事だろう。
いや。
賢太郎は横目で辻村を覗き見た。
辻村は自筆の小説通り、綺麗な心の持ち主だ。
今では、その飾りの無い言葉が、全て自分の心を護る為のものだと分かっている。
幾ら、相手の気持ちが理解出来ないにせよ、庇護すべきか弱き女性を傷付けるような事はしないだろう。
監禁されていた時とは違い、今ではそう信じられる。
賢太郎は小さく吐息を漏らすと、辻村の手を無理矢理引っ掴んだ。
ぎょっとした顔をして辻村が賢太郎を見る。

「まどろっこしいのはもう止めだ。ほら、好きにしろよ。実地で採点してやるから」


自分より一回り以上も太い辻村の首に腕を廻すと、賢太郎は妖艶に微笑んだ。
最初、実地で教えると言った時に、賢太郎は辻村を女役にして教えてやるつもりだった。
しかし、辻村は女役なんて出来るか!…と烈火の如く怒り出し、手が付けられなくなった。
面倒臭いと思いつつ宥めながら考え直した賢太郎は、
「じゃあ、俺がやってやる。確かにお前が可愛い女役なんて無理だろうしな」と呆気羅漢として言ったのだ。
辻村は慌てた。
確かに賢太郎は自分より華奢で、其処等辺の乳臭い女達より色っぽい。
しかし、正真正銘自分と同じ男なのだ。
然もお気に入りの清史郎の兄で、何ヶ月も監禁した相手で、
ネヴァジスタ騒動では散々迷惑を掛けた恩人なのだ。
そんな相手を幾ら有難いとは言え、女扱いなど出来やしない。
「女の扱い方は知ってて困る事は無い。俺からの合格祝いだ」
と賢太郎は弟の清史郎のように、悪びれずに言ってのけたのだ。

「……黙ってちゃ、何も始まらないぞ。…キス位してみろ。
大体それで口やかましい女も黙る」

ほら、と促され辻村は初体験の時の記憶を辿って目を閉じ、相手を恋しい女性と思い込もうとする。
しかし、ふと薄く目を開くと賢太郎の恐ろしく綺麗な顔が間近にあって硬直してしまう。
意外と長い睫毛が影を落とし切れ長な瞳は閉じられ、薄いが桃色の唇が濡れて誘うように息づいている。
賢太郎は男だ。
だが、辻村は衝動的に、この男にキスしたいと思った。
今時の女子高生のように小さい顔の輪郭に掌を添え顎を上向かせ、自然と唇を合わせていた。
最初は触れるように、そして啄ばむようにまた口付ける。
辻村のキスは情熱的だった。
自分から誘ったものの、キスされて一瞬目を見開いた賢太郎は、
真剣にキスをする辻村の表情に、大人しくまた目を閉じた。
辻村のキスは悪く無かった。
重なる唇を通して、相手が自分を求めている事が伝わって来る。
深く。
更に深く。
そして顔の角度が変えられると、押し当てられた唇が抉じ開けられる。
賢太郎は驚いてびくと肩を揺らした。
開かれた唇に何かが入り込んで来る。
舌だ。
賢太郎は目を見開いて辻村の肩を掴み、引き剥がそうとした。
勿論、体格に差が有り過ぎる為、びくともしない。

「んっ……!んんぅっ……!! …煉……!!っ……」

賢太郎は必死に密着する身体を離そうと足掻くが、辻村はその両腕を簡単に捉え、
そのままベッドに押し倒した。
焦った賢太郎は必死に脚をバタつかせ起き上がろうとするが、
慣れたように辻村は賢太郎の脚の間に入り込み、身体を上に引き摺り上げる。
その間にも辻村は賢太郎の口腔内を探り、怯える舌を絡め取り蹂躙した。
両腕を拘束され、碌に息継ぎもさせて貰えない為、賢太郎は次第に意識朦朧となってくる。
女性が相手の際は常に自分が主導権を握っていた所為か、相手に翻弄されるようなキスは初めてだった。
子供が玩具に夢中になるかのように、辻村は賢太郎を食らい尽くす勢いで求めて来る。
実施で採点どころではない。
このままでは不味い。
やがて濡れたような音がして、賢太郎はやっと唇が解放された事に気付いた。
逆光で辻村の表情は余り良く見えないが、
情欲に光る獣のような目がギラギラと自分を見ていて、視線が逸らせない。

「……っ……賢太郎……っ……」

お互いの荒い息遣いだけが聴こえる。
暴れて捲くれ上がった賢太郎のシャツの下、日焼けのしていない白い肌が露になっていた。
綺麗に分かれた腹筋は、賢太郎の呼吸に合わせて小さく上下している。
辻村はその光景に息を呑んだ。
長いキスで赤く染まった目許。
潤んで揺れる漆黒の瞳。
唇の端から飲み込めなかった唾液が精悍な顎のラインを濡らしている。
賢太郎は壮絶に色っぽかった。
女の扱い方など、もうどうでも良かった。
賢太郎をもっと乱れさせたいと辻村は思った。
辻村は賢太郎の目を捉えたまま、シャツの下に手を差し入れる。
其処で額に壮絶な衝撃が来て、辻村は頭を抱えて横に倒れ込んだ。
目の前にチカチカと星が飛ぶ。

「………ってぇぇ!!…っ……てめぇ!!賢太郎!!……いきなり何しやがる!!」

頭突きされた辻村は赤く腫れた額に両掌を当て、涙を浮かべて怒鳴った。
起き上がり乱れたシャツを慌てて直しながら賢太郎が負けず怒鳴り返す。
心無しか目許が潤んでいる。
余程怖かったのだろう。

「…されて当たり前の事しようとしてただろうが!!…このバカが!!…」

口許を袖で拭きながら、賢太郎は辻村を睨み付ける。
袖から覗く細い手首は紅くなっていた。
あんなに強く掴んでいたのかと辻村は胸を痛める。
未遂とは言え、確かに相手の同意も無しに襲おうとしていたのだから何も言い返せない。
唇を尖らせ目も合わせてくれない賢太郎の横顔を、
辻村は暫く眺めて居たが、やがてベッドの上に胡坐を掻き、しゅんと項垂れる。
叱られた大型犬のようだった。

「……お前……、…」

ぽつりと呟かれる賢太郎の声に、辻村は顔を上げた。
紫にも見える大きな瞳と視線が合う。
驚いた表情の辻村に、賢太郎は困ったように微笑んだ。
出来の悪い生徒に見せる師のような顔だった。
辻村の心臓が跳ねる。

「…女の扱い方ってより、がっつかない仕方を指南した方がいいのかもな……」
「……実地でか?」

辻村は思わず聴いていた。
それは本音だった。
あんな真似をして、怒らせたにも関わらず、止めると言い出さない賢太郎の気持ちが嬉しかった。
そしてまた賢太郎に触れる事が出来ると心が躍った。
そんな分かり易い辻村の心情を察してか、賢太郎は目許を綻ばせると、
口の端を上げて不敵に笑った。

「してやってもいいが…。……次も容赦しないからな」

今日のレッスンは取り敢えず終了だと賢太郎はビールの缶を取りに階下へ降りて行く。
その後ろ姿を見送りながら、辻村は新しい願い事が増えたなと大きく溜息を漏らしたのだった。


<了>

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大人の余裕が子供の無邪気さで無くなるのが好きです。
煉慈は一番純情だと私は思っています。好き。

あ、でも、これ京羅樹でもやったな・・・(遠い目

 

 

 


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