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伊勢根付職人 梶浦明日香の『手のひらの幸せ』

根付職人としてのあり方


一言で『伝統工芸』と言っても、
いろんな伝統工芸があり、向いている方向も得意なことも違うため、
いまいろんなところからお声かけをいただくのだけれど、なかなか足並みを揃えて一緒に動くのが難しく、うぐぐと心苦しくなっている。



一気にいっぱい作れたら良いんだけどねぇ。

根付はさ、制作にすごく時間がかかる。
ルーター(機械)やプリンターを使って早く作れる人もいるのかもしれないけれど、
私は相変わらずアナログで、のんびりのんびり彫っている。
その分、どの根付にも個性が宿り、情がわくのだけれど、その情が一つ一つに宿ってこそ完成だとも思っている。
同じ木はないしね。
どんなに似たようなデザインでも、一つ一つ寄り添って作る職人にとっては、全く顔も性格も違う根付なのだ。


私は、そんな情が湧いてこそ、心に残る作品になると信じている。
そんな作品こそ、長く使い込んで“なれ”がうまれるほど使い込んで、自分の子供や孫にも受け継がせたいと思う作品になると信じている。


だから、焦らない急がない。
世の中の流れに合わなくて、
せっかく声をかけていただけたのにみんなと同じように動けなくても、
のんびりゆっくりでしょうがない。
情が宿らない制作は無理なのだ。


まあ、これも甘えなんですけどね。
変わらない、変えたくないことへの甘え。
何を大切にし、何を変えるのか。
変わらないことの方が楽だから、
行動しないことの方が楽だから、
絶対的に行動している人を尊敬する、と決めている。
動いている人のことは無条件で尊敬する。
だからと言って、なんでも出来るわけではないしあれもこれも全部手を出しては、全て苦しいまま終わる。


だからこそ、学びは止めない。
何も動かないのは私の信念ではない。
変わること、行動することは素晴らしいこと。
のんびりだけど、ゆっくりだけど、
でもちゃんといつのまにか、遠くにいられるように。
誰かの役にたてるように。
学ばなければ変われない。
このうぐぐと悔しいという感情もちゃんと感じて、
未来への力に変えて、
私は私だと胸を張って選択するためにも、
学んで咀嚼して、出来ることは少なくても
一つ一つに想いを込めて世に送り出していきたい。


それが、未来に残すことに繋がると思うからさ。









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