今回の日本橋三越では、
少し面白い店の並びがあったんです。
伊勢根付
一位一刀彫
伊勢一刀彫
この3軒が隣り合わせだったんです。
一位一刀彫というのは、飛騨地方で彫られている
イチイの木を彫刻する国指定の伝統的工芸品。
一刀彫という名前がつくので伊勢の一刀彫と似ているかといえば、全く似ていない。伊勢一刀彫の、一刀の潔さ、なるべく彫りを少なく、着色し、人々の想像力で魅せる一刀彫とはだいぶ違うイメージ。むしろ根付にとても近い彫りをします。
これ、なぜかというと、一位一刀彫は、元々江戸時代に根付職人だった人たちが、人々が着物を着なくなり根付から一刀彫に変わったから。
根付の技術を持つ職人たちが、奈良一刀彫(一刀彫の起こりは奈良)の彫りに感銘を受け一位一刀彫として大きな彫刻を彫りだしたからなんです。
ちなみに、一時飛騨地方で途絶えていた根付を、近年私の師匠、中川忠峰が高山に教えに行き、今再び根付文化も盛んになってきています。
なので、どちらかというと一位一刀彫は、伊勢一刀彫に近いのではなく、伊勢根付と親戚なんですね。
