バリ記 

英語関係の執筆の合間に「バリ滞在記」を掲載。今は「英語指導のコツ」が終了し、合間に「バリ島滞在記」を連載。

英語指導のコツ19 反復を嫌う1

2019-11-15 10:19:28 | 私の英語講習
 昨日「語族」について調べていました。12の語族が書かれていました。その下位に語派あります。先祖は語族で、語派はそこから派生した言語です。有名なインド・ヨーロッパ語族というのがありますが、これはスラブ語派、その下位に東スラブ語群があり、さらのその下位に現在のロシア語、ウクライナ語、ベラルーシ語ってあるわけです。語派はバルゴ語派、ゲルマン語派、ケルト語派、イタリック語派、ギリシャ語派、アルバニア語派、インド・イラン語派(これが一番語が多くインド・ヨーロッパ語の基本的な形式をよく保っている、とされている)、アルメニア語派、アナトリア語派とあります。英語はもちろんインドヨーロッパ語族なのですが、地理的にはケルト語派(スコットランドもウェールズもそうですから)分類の中に出てきません。詳しく調べると、英語、ドイツ語、オランダ語、デンマーク語はゲルマン語派だそうです。日本語は独自の日本語族です。下位に日本語派、琉球語派があります。シナ・チベット語族とも違います。朝鮮、モンゴルとも違います。
 人類がアフリカを出て、どの辺で集団がまとまり大きな集団となり、またそこから離れて別の地域を目指した様子がなんとなくわかります。イランからインドへ渡る人々。イタリアの方に渡る人々、シベリアを通り、アラスカに渡り、さらに南下した人々。それは何万年という年月に渡るちょっとづつの移動です。アマゾン流域にたどり着き、そこを生きる場所にしたグループもいました。ヤノマミ、ピダハン・・・現在ですら文明と接触しないイゾラドはアマゾン川流域にいます。

 さて、英語です。混ざり合った言語です。いずれ、どの単語がどの語派からきているのか一覧したいと思います。

英語は反復を嫌う

it と that

 教科書を開くと、すぐに it とか that とか this とでてきます。この違いも実はよくわかりません。
  What’s that?(What is that?)
That is a pen.

とは答えないのです。
 It is a pen.
と答えます。This is a pen. とは答えません。

 このit は「今言ったそれは(を、に)と理解します。
 It を「それは」と記憶すると難しくなります。That も あれはとかそれはという意味ですし、
 That is my book. と言えば「それは僕の本だよ」って感じになります。itと区別するのにthat を「あれは」と便宜的に教えますが、that はさっきだれかが言ったものを指していう言葉ではないのです。初めて話題にだす時に使うのです。受けて使う言葉じゃないのです。
 it はだれかが言ったひとつの物を指して、言う言葉なのです。英語は、反復を嫌うのです。これは日本語との大きな違いです。
 
例えば、
 Is the book your book or my book?
  とは言いません。Book を3回も使っています。
  これは「今言ったその本は君の本?それとも僕の本ですか?」
という意味で日本語だけみればさしあたりOKで、あまり異和感はないのです。ところが英語の世界では異和感だらけなのです。

普通には、
 Is it yours or mine?
と言います。book はどこにもないでしょ。反復を嫌うんです。
 it のことを代名詞というけれど、この代名詞は喋ったり聞いたりするときはあまりよく聞こえないけど、書いたりするときには重要で厄介なものなのです。

 What's this? ときかれたら、It's a pen. と応えるますね。
 これは何? あなたが今言ったそれはペンです。
 そういう風に理解しておくとずっと便利です。
 典型的な昔の学校の教科書を例にだしてみましょうか。

T: Is this a book or a pen? (見たらわかるだろうっていうの)
 S: It's a pen
 T: Is it black or red?
 S: It's black.
 T: Do you like it?
 S: No. I don't like it

 It というのは全部黒いペンのことを言っていますね。
だから一度話題に上ったひとつのものを言い換えていっているのです。

同じ言葉を何度も使うのを英語は嫌うのは英語の世界では徹底しています。

「昨日ね、僕ね、ケンくんの家に行ってね、ケン君のお母さんにケーキをごちそうになったんだ。そしたらケン君のお母さんはみんな食べちゃって、っていうからさ、みんな食べちゃったよ。」

 この日本語あんまり妙じゃないでしょ。ところが英語ではそうはいきません。ケン君は2度目からは his になるしね。お母さんは she となるしね、とても代名詞にうるさいのです。これで受験英語は悩まされます。
 どうでもいいようなことなのです。声にだすとよく聞こえないし、他のことばとくっついてしまって聞こえるし、どうでもいいよ、ってことなんですけど、言ったりするときは必ずちゃんと言わなければならないのです。
 しかし英語の聞き取りは代名詞を無視して聞けば「聞けるコツ」はつかめるのです。強く聞こえてくる音だけを拾えば意味はわかるようになっていますから。

 英語はどうして反復を嫌うようになったのでしょうか。その辺も語族、語派に関係しているようです。逆に日本語はなぜに同じ言葉を繰り返し使うのでしょうか。そもそもぼくの小さな頃は三人称の代名詞なんてありませんでしたからね。「彼は」なんて使いませんでした。      


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