蟷螂の独白

世に背を向けた蟷螂です。喜怒哀楽を綴って18年、モットーは是々非々の団塊世代です。

『枯れ葉』を観た

2024-08-26 16:49:08 | 徒然
今日、昨日録画しておいたアキ・カウリスマキ監督の『枯れ葉』を観ました。
本当は平成版『日本のいちばん長い日』を観て以来、久しぶりに映画館へ足を運ぼうと思っていたけれど、名も知れない小さな映画館でしか上映されていなくって、残念でした。
内容はお定まりの貧困労働者映画で、冒頭シーンはスーパーの女店員が、商品持ち出しをガードマンに見とがめられ、解雇されるところから始まります。
その一方で、辛い作業を酒でごまかしながら働いている男性が、飲酒しながら作業をしていたことが露見して解雇されます。
解雇された男女がふとしたきっかけで知り合います。
『お~フィンランドでも「カラオケ」っていうんだ』
『もはや「カラオケ」はインターナショナルだ!』

この映画では、ラジオのニュースでロシアのウクライナへの武力介入が全編を通じて流れていて、カウリスマキ氏のロシアの戦争犯罪に対する見識がうかがえます。
病院が爆撃されて大勢の子供が死んだというニュースが淡々とラジオ!で読み上げられている光景は、薄ら恐ろしさを感じさせますし、登場人物がその件に対してコメントを一切しません。
これは天安門事件を作中に挿入したカウリスマキ氏の過去の作品と似通っています(このときは映像がテレビで流れていました)。
ストーリーは極めて他愛のないモノですが、相変わらず登場人物は寡黙です。
少しあか抜けた登場人物が、月日の流れを感じさせます。
おなじみの役者は登場しません。
それがかえって新作であることを意識させます。
ハリウッド映画のような大掛かりなセットもなく、CGもない、平凡な恋愛反戦映画ですが、食料や電化製品に囲まれて生活している現代人には、啓蒙の意識を持たせる佳作です。
なお、サロンの先生は、この映像作家を御存じないそうです。
ちょっと意外で残念な気持ちになりました。
古臭い映画ですが、いろいろ考えさせられる内容になっているので、一見の価値はあると思います。

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