
1963年に出版されたものだが、中身はかなり自費出版に近いような、とても素朴な作りの本である。逆に、この素朴さが今となってはとても貴重で、何とも言えない味わいをもたらしている。1963年の初版は入手が極めて困難で、もしあったとしても50万円以上するらしい。まさにブルース・リーの遺品並みの希少価値である。僕が今回入手したのは第3版だが、とても状態がキレイなものを奇蹟的に安く入手することが出来た。
ブルース・リーが生徒を相手に色々な形を見せながら、拳法の技を解説している。また、ブルース・リーは絵を描くことにとても長けていたが、この本の中にも直筆のイラストが含まれている。


この本で解説されている中国拳法とは、まさにブルース・リーが若い頃イップマンから習得した詠春拳をベースにしたもので、まだ独自の拳法、“截拳道”が正式に体系化される前のものという意味では、歴史的価値が高い著書なのだ。
截拳道を解説した著書は、ブルース・リーの死後に幾つか出版されているが、中でも一番世界的に有名なものは、『TAO of Jeet Kune Do (截拳道への道)』という著書で、世界中で出版されている。これは武術と哲学の両方を解説した、まさにブルース・リーのバイブルだ。僕もオリジナルの米国版と日本語版を所有している。

これ以外に有名なのが、ブルース・リーの格闘術だけに特化して解説している『Bruce Lee’s Fighting Method (ブルース・リーの格闘術)』だ。こちらは全4巻からなる書物だが、この全4巻を1冊に纏めた『The Complete Edition』が出版されており、まさに『截拳道への道』と共に、ブルース・リー著書の双璧をなすものとして語り継がれているのである。

それにしても、ブルース・リー著書の原点である、この『基本中国拳法』をようやく手に入れることが出来て、また貴重な本がコレクションの仲間入りを果たした。