
横浜線の中山駅からすぐ近く、横浜市緑区に『榎下城址』という城跡があったのだ。しかも、なんとこの城跡、現在は舊城寺 (舊=旧の古漢字)というお寺になっているが、昔はお城だったというのだ。お寺の名前も旧城寺(きゅうじょうじ)というのがなんともわかりやすい。

室町時代に造られた榎下城は、山田右京之進という武士の居城であった。後北条氏の時代になって、地理的にも近い小机城の支城となった。その後小田原城開城の時に廃城となった模様で、跡地に1603年頃、舊城寺(旧城寺)が建てられた。
最近、城跡意外にも寺巡りも行っていたが、まさにここは城跡とお寺を両方いっぺんに観賞出来る、一石二鳥の史跡であり、僕の好みにぴったりである。
中山駅からは徒歩15分ほど。舊城寺のすぐ近くにちょうど良いTimesの有料駐車場があり、車で訪問するにはとても便利。

駐車場から徒歩2分くらいのところに舊城寺の入り口がある。細い路地の参道を抜けると、趣のある山門が迎えてくれる。

境内に入ると、すぐ右側には何とも立派なカヤの木が。ここの寺林は神奈川県指定天然記念物となっていた。そしてその下には榎下城の説明看板が2つ。一つは昭和48年に書かれた古いものと、もう一つは新しいもの。



まずはお寺を拝見したが、目に付くのは真っ赤な屋根の本堂、そしてこじんまりとした薬師堂。とても歴史を感じられ、趣のある良いお寺である。



そして、お寺の裏手には墓地があるが、一段高くなっているところにも墓地が広がっている。これは土塁の跡で、この上段の墓地エリアが本丸跡らしい。確かに城跡らしい雰囲気がプンプンしている。


本丸跡に向かうと、奥にはこれまた雰囲気のある弓道場があった。

そして弓道場の隣に細い道があり、進んで行くと城を建てた山田右京之進の碑が建っていた。地味ではあるが、実はかなり貴重な中世城郭の史跡としてとても興味深い。


舊城寺を一通り観賞した後、お寺の裏口から出て敷地の周りを観察。境内は一段高くなっており、周りはいかにも土塁らしき遺構が満載。城跡に建てられたのが大変良くわかる。




そして裏側には見事な苔で覆われた母屋があり、お寺の方の住まいらしいので勝手に入って良い場所かどうかわからなかったが、入り口を少し観賞させて頂いた。


東側には小さな公園があったが、ここもお城の箱堀跡らしい。


それにしても、こんなに素晴らしい遺構が残る城跡、そしてお寺が比較的家の近くにまだ存在していたというのは嬉しい発見であった。城跡としても、お寺としてもかなり楽しめる良い史跡であった。