東大 分生研 【4】
Retraction Watch / 2011.06.22 08:05 / 推薦数 : 2
第12回ビタミンDワークショップにおいて、東大分子細胞生物学研究所よりさらにもう1題が発表されていました。
例によってステロイド雑誌2004年5月号に論文掲載されています。
左の図はその論文中の図の一部で、右側は別の雑誌に2003年に掲載された論文中の図です。
やはり、図を再利用していることがわかります。
ここで撤回された2本の論文の撤回理由を思い出してください。
...at the request of the authors...
とあります。著者らが撤回を要求したのです。
著者らはこの論文については撤回の要求をしていないのでしょうか?
過去に掲載されている図を再利用していることは、著者らは認識しているはずです。
ちなみに上記図の一部は別の論文でも再々利用されているようです。
東大 分生研 【5】に続きます。
東大 分生研 【3】
Retraction Watch / 2011.06.21 08:41 / 推薦数 : 1
2003年の第12回ビタミンDワークショップ開催から3年後、カナダのバンクーバーにおいて、第13回ビタミンDワークショップ開催されました。
例によって、発表内容は、ステロイド雑誌にプロシーディングとして掲載されました。そして東大分子細胞生物学研究所からのクロマチン論文のみが撤回されたのでした。
他の論文はクリーンでしょうか?前回紹介したカリフォルニア大学のグループは同じようなことをやっていました。
図の重複使用は、やはりプロシーディングでは、少なからず見られるのです。
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東大分子細胞生物学研究所 【2】
Retraction Watch / 2011.06.20 01:50 / 推薦数 : 1
ビタミンD論文が掲載されたステロイド雑誌2004年5月号について紹介します。この号は第12回ビタミンDワークショップで発表された演題内容が掲載されています。
第12回ビタミンDワークショップはオランダのマーストリヒトにおいて、2003年の7月に開催されました。30カ国から323名が参加し、口演75題、ポスター発表が255題となっています。
発表されたこれらの演題のうち、2004年5月号に100数編の論文が掲載されています。このうち、タイトルの前にRETRACTEDと記されているのはビタミンD論文のみであることが、オンライン目次でわかります。
過去に別の雑誌に掲載されている論文は他にはないのでしょうか?
神戸薬科大学中心のグループの論文が同号に掲載されており、この論文中の一部の図は他の論文中に使われています。どちらが先行かは微妙です。
米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校からの論文も同号に掲載されています。この論文中の少なくとも3つの図は、過去に別の論文で既に、掲載されています。
先行論文タイトル中の Vitamin D ReceptorをVDR とした以外は全く同じタイトルです。
国際学会の発表内容を論文にまとめたプロシーディングでは、図などの重複使用が、少なからず行われているというのが現実なのです。
東大 分生研【3】に続きます。
東大分子細胞生物学研究所 【1】
雑誌Journal of Steroid Biochemistry & Molecular Biology(以下ステロイド雑誌)の2011年8月号に2編の論文の撤回アナウンスがなされました。
2編とも東大分子細胞生物学研究所の同一研究グループからの発表です。撤回の理由は2編ともほぼ同じです。
This article has been retracted at the request of the authors as they had plagiarized the majority of their paper that had already appeared in EMBO J., 24 (2005) 3881–3894, due to their misunderstanding of the respective publishing and copyright policies of the journal and a conference proceeding publication.
This article has been retracted at the request of the authors as they had plagiarized the majority of their paper that had already appeared in Cell, 113 (2003) 905–917, due to their misunderstanding of the respective publishing and copyright policies of the journal and a conference proceeding publication.
かなりきびしい言葉 plagiarized が使われていますね。
撤回された2007年発表論文(以下、クロマチン論文)とEMBO J に発表された論文がペア、撤回された2004年発表論文(以下、ビタミンD論文)とCell に発表された論文がペアとなります。
実際に両ペアを読んでみると特に図の重複が多くみられます。しかし、撤回された2本とも、総説論文のような形式で書かれており、著者らは2重投稿にはあたらないと判断したのでしょうか。
さらに2本の撤回論文の掲載されていた号は、国際学会で発表された内容をプロシーディングとしてまとめたものを取り扱った号であり、大丈夫と判断したのでしょうか。
プロシーディングの定義、解釈については様々であり、別の機会に取り上げたいと思います。
では実際に撤回された論文掲載号のステロイド雑誌の中身を見て見ましょう。
まずは、ビタミンD論文が掲載された2004年5月号について紹介します。東大分子細胞生物学研究所【2】に続きます。