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論文撤回Watch
なぜ論文が撤回されたのかを探ります
- 研究不正取り締まり局 -
東大 分生研 3点追加
テキサスMDアンダーソンシリーズはまだまだ続くのですが
ここで一旦、国内に目を向けておきます。
紹介する作品はこちら
Nat Cell Biol. 2003 Mar;5(3):224-30.
Cytokines suppress adipogenesis and PPAR-gamma function through the TAK1/TAB1/NIK cascade.
Suzawa M, Takada I, Yanagisawa J, Ohtake F, Ogawa S, Yamauchi T, Kadowaki T, Takeuchi Y, Shibuya H, Gotoh Y, Matsumoto K, Kato S.
Source
Institute of Molecular and Cellular Biosciences, University of Tokyo, Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0032, Japan
まずはこの写真からご覧ください。
同じ検体を少しずらして撮られた2枚の顕微鏡写真のようです。
著者らは(同じ条件だが)別々の検体の代表写真を示したかったはずです。
同じ検体のものということに気づいていなかったのでしょうか?
続いてこちら
色調のみ若干違いますが、
この2枚の写真も同じ検体由来のもののようです。
しかし、
この2枚は同じ検体由来の写真であってはいけないのです!
二つ真横に並べていて
全く気づかなかったのでしょうか?
最後にこちら
もう解説は不要でしょう。
以上3点は、
誤りであるので訂正の必要があると思います。
数多くとった写真の中から
つじつまのあいそうな写真を適当に
論文提出用に選んだのでしょうか?
とった写真がどの実験条件のものなのか
わからなくなっていたのでしょうか?
そうだとしたら、訂正写真を提出するには、
実験を最初からやり直さねばなりません。
組織標本のように永久プレパラートが残る場合は
大丈夫ですが、
標本が残らない場合は
しっかりと写真の管理をすることが肝心です。
杜撰な実験と言えましょう。