阿佐ヶ谷ヴィオロン
一年に一度のSPタンゴコンサートがありました。以前からお約束をしていて、やっとお伺いができました。カナロ楽団の1930年代の演奏に始まって、ロベルト・フィリポ、ピリンチョ五重奏団他、タンゴ歌手のキロガ、マイサニ、アンヘル・バルガス、ガルデルなど、ラストはディサルリでしめくくる内容です。アンコールでカナロ楽団を2曲。あわせて18曲です。40年代の頃のダリエンソは、すぐに思い浮かべる例のスタイルとは違って、ゆったりとした感じ。1950年代のフランチーニ「chique」あたりからは、私にも聴き馴染みのある音です。フリオ・ソーサのSPはないのかなと思って質問すると、SP時代ではないからだそうです。
芝居もそうですが、音楽ももちろん時代と共に歩んでいます。それぞれの楽団の色あいやテンポ感など味わいながら、その時代を想像したり…ゆったり楽しめるコンサートでした。仄かな光を含んだような、どこか啜り泣いているような味わいの古いタンゴのそばに寄り添って、しんねりと聴いていて心地よかったです。
昨今、インターネットで音楽を配信することが多くなってきましたね。…状況的にやむおえないこともありますが、もちろん生演奏、ライブの音質にかなうものではありません。とうぜん体感に違いがあります。こんな時に、SPコンサートはとても嬉しいものでした。
以前、金沢芸術村へ仕事で行った時に、金沢蓄音器館を訪ねました。そこで初めていろいろな蓄音器を試聴させて頂いたのですが、目の前に演奏家がいるような音に魅了されたことを思い出しました。 金沢蓄音器館
ここのコンサートでは、SPによって針をえらぶそうです。
お店の方に、蓄音器の前にすすめられて座りました。…そうすると、なんだか目の前に歌手が立って歌っているような、不思議な感じがしました。蓄音機の後ろ、下に向かって深いスペースがあるので独特な響きなのかもしれません。
100回再生すると、擦り切れるというSPレコード。
針を落とすたびに削られてゆきます。
アンティークなソファにからだを沈ませて、2時間弱。
こんな感じで、静かに聴くことが出来てとても良い時間でした。
そう…静かに耳を澄ますということが、とても心地良かったです。
一枚づつ、SPをかけるごとに蓄音器を手回す。
その工程も音楽を丁寧に味わうひとつとなっていました。
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ほろ苦いブランデー珈琲を☕️
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