テニスと読書とデッサンと!

突然の秋。

8月の狂ったような灼熱の舞台が終わって

入れ違いに9月の涼やかな幕が上がり始めた

その幕間のわずか一夜のうちに

舞台裏では大道具さん小道具さん

それに照明さんたちが力を合わせて

慌ただしく立ち働いたのだろうか

カレンダーをめくった途端

季節の舞台が見事な秋にすり替わっていた

肌寒くて長袖のセーターに袖を通した時

なぜか夏の残像がまだ思い出にならないまま

あのひどく懐かしい痛みみたいに

わたしは耳の中で疼いているのを感じた

 

「お前さん、懐かしい痛みってなんだい?」

「おめえは理系の寺子屋の出か?

つまらねえ分析なんざしねえで

心に感じるまま読んでくれりゃいいのよぅ」

「ふーん、心に感じるままにねぇ。

あっ!思い出したよ、お前さん。

中学2年の時に水沢くんとかいう友だちと

釣りに行って仕掛けを遠くまで飛ばそうとして

耳たぶに釣り針が引っかかっちまった

あの時の痛みのこと言ってんだろ?」

「・・・おめぇなぁ、よくそんな

古くて細っけぇこと覚えてんなぁ」

「当たり前だろ、あたしゃ

ポジティブシンキングで頭脳明晰な

もうひとりのお前さんだもの。

あの時の泣き顔ったらなかったねぇ。

エサのゴカイが耳飾りみたいになっててさ」

「いやぁ、あん時ゃマジで痛かったぜ。

なかなか針が抜けなくってよ・・ってちがわい!」

「じゃあ、どんな痛みだい」

「それはなぁ、心の襞の奥深くに眠っている

デリケートでナイーブな痛みのことでぃ。

まっ、想像力のねえおめぇなんざにゃ

わからねぇだろうけどよ」

「あぁ、わからないねぇ。

あたしがわからなけりゃ、お前さんだって

わからないってことだよ。

なんたってお前さんはあたしなんだからさ」

「・・・じつはな、おいらもわからねぇんだ。

だけどよ、これだけスパッと見事に季節が

入れ替わったもんだから、

なんとなくなんか書きたくなっちまってよ」

「そうだったのかい。

それじゃ理系のあたしが手直ししてあげるよ。

いいかい?よくお聞きよ。

”平均気温が摂氏30℃にも届きそうな

8月の例年にない夏季が終了し・・・”」

「やめろってんでぃ。

所詮おいらとおめぇは水と油。

おめぇは小惑星ベンヌが地球に衝突する確率でも

計算してろってんでぃ!」

「計算して確率が100パーになったらどうする?

あたしゃ一目散に逃げるよ」

「おめぇはアホか!逃げるってどこに逃げるんだ?」

「とりあえず国際宇宙ステーションにでも

お邪魔するよ。お前さんはどうするのさ」

「おお、そうか。それならおいらも一緒に行くぜ。

だっておめぇはもうひとりのおいらだからよ」

 

※小惑星ベンヌが将来的に地球に衝突する確率は約1750分の1。

衝突する確率が最も高い日は2182年9月24日で

その確率はおよそ2700分の1だという。

長生きをお望みの方は

NASAにお友だちを作っておく方がいいかも知れません。


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