テニスと読書とデッサンと!

月に想う。

距離にしても重さにしても速さにしても。

他のどんな値にしても天文学に登場する数字は

とにかく桁外れ。

例えばいまから45億年前の出来事、

そう書いてもそれがどのくらい前のことなのか

感覚としてわかる人はいないと思う。

ちなみに1億年を算用数字で表すと

100,000,000年。

この途方もない年月を45回ほど繰り返して

遡ってやっと原始地球に出会える。

この時期に火星くらいの大きさの

原始惑星が地球に衝突した。

衝突時に悲鳴が聞こえなかったのは、

まだ人間が存在していなかったからだ。

いや、人間どころか最古の原子生命である

シアノバクテリアさえ生まれていなかった。

この凄まじい衝突で宇宙空間に飛び散った地球と

原始惑星の破片はいまの土星のように

地球の外側に破片のベルト地帯を形成した。

そして1千年以上かけて地球を周回し、

引力によって大きなかけらが

小さなかけらを吸収しながら

やがて地球の衛星となって月が生まれた。

この時の地球と月の距離はわずか22万キロ。

現在の平均距離は約38万キロだから

16万キロも近かったことになる。

45億年経た現在は1年に3.8センチの割合で

地球から遠ざかっている。

月の楕円軌道を考慮に入れなければ、

かぐや姫は往路よりも復路の方が

ちょっとばかり長旅だったことになる。

また月の潮汐作用による熱損失から

地球の現在の自転速度は

10万年に1秒の割合で遅くなっているらしい。

 

つまり月は地球がお腹を痛めて産んだ子どもで、

衝突した原始惑星はお父さんと言えなくもない。

そして月は徐々に親離れしつつある

お年頃なのかもしれない。

 

”松の葉に月は移(ゆつ)りぬ黄葉(もみちば)の

過ぐれや君が逢わぬ夜ぞ多き”

歌の作者は別人とのことだけれど、

池辺王(いけべのおおきみ)が

宴の席で詠んだ歌らしい。

もしも原始惑星が地球に衝突しなかったら

こんな恋の歌も生まれなかったはずだ。

 

題名は忘れてしまったけれど、

愛犬の死を悲しんでいる女の子に

おじいさんが素敵な話をする

映画のワンシーンを思い出した。

”犬はこの世での役目を終えると

その魂は月に運ばれていくんだ。

犬たちは月に向かって吠える。

あれは月にいる仲間たちと

交信しているからなんだよ”

 

月にまつわる話って実に多い。

月は人間にとって空に浮かぶ

いちばん身近な天体であって、

きっと何かを考えたり誰かを想ったりするために

眺めるにはもってこいの星なのだろう。


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