ぶっさきゃら

らくがきとその他色々・・・。

朝の幽霊 33

2016年05月29日 | Weblog
「誰かに飼ってもらってたのかなぁ」
「それしか考えられないなぁ」

でも、もっと派手なリアクションしてほしかったわ・・・。
うん。

これで一件落着かな。
あれもあれから全然見ないし、気配も感じないし。
ぶっさん帰って来たし。

何だったんかねぇ・・・。

おれら霊感なんて全くないのに、ホントに何だったんかねぇ。

「わたし、霊感ない事もないかも」
「ん?なんて?」

娘が変な事言いだした。

朝の幽霊 32

2016年05月28日 | Weblog
「おとうさん、おかあさん、ぶっさんかえってる」
「えっ」
「犬小屋にいる」

「ぶっさん」
あれ?
ふつうやん。

「ぶっさん、どこへ行ってた」
なんでふつうなの?
めちゃくちゃ尻尾振るとか、喜びすぎておしっこちびるとか。
なんかリアクションあるでしょ。

痩せてないし、汚れてないし。
「おなか見せてみ」
怪我もないし・・・。

なんでこんなにふつうなの?

何事もなかったように、娘にもらったアイスクリームをがっつくわけでもなく
ふつうに食べている。

朝の幽霊 31

2016年05月27日 | Weblog
「帰ってこないじゃん」

いや、絶対帰ってくる。
何か感じた。

「でも、ぶっさんってひょっとしたら、今から考えたら霊感有ったんと違うかな」
「霊感?・・・犬に?」
「うん、だって突然何かにおびえたり、何かと戦ってるみたいになったり、遠くの何かを目で追うような
 こともあるし、何か見えてたんと違うかなぁ」
「ただの怖がりとちがうん」


朝の幽霊 30

2016年05月24日 | Weblog
「行かなくていい」
「どうして?」

大体の事は分かった。

多分。
何十年も前に女の子が行方不明になった。
それが河原でかどうかは分からないけど。

若い両親は探して探して何年も何年も探して。
見つからないまま年老いて・・・。

たまたま何故かあの日の夕暮れ時にあの女の子が当時の姿のまま現れた。

そして当時自分が住んでた家のあたりで消えた。
多分家に帰ったんだろう。

そして天国から迎えに来た両親が、ウチへお礼に来た。

両親もその当時の姿に戻って、三人で天国へ行ったんだろう。

「ふ~ん・・・でも、なんかなっとく」

「ぶっさんが帰ってくる様な気がする」
「え!」
「帰ってくる」

朝の幽霊 29

2016年05月24日 | Weblog
「え?なに、わたしだけ見えてんの?」

それで、なんとなく周りを見回したら、お向かいのおばあちゃんがその3人の後ろ姿に
手を合わせてるの・・・。

そこで掃除が始まったから、おばあちゃんと話せなかった。

朝ごはん食べたら聞きに行ってくる。

朝の幽霊 28

2016年05月24日 | Weblog
「やっぱりおかしいわ」
「なにが?」
「町会の掃除だったから、朝早く出たの。
 そしたら見た事ない3人連れがウチに向かって深々と礼をして、小学校の方へゆっくり歩いていくの」
「どんな人?」
「う~ん・・・普通の親子連れだけど、ちょっと違和感感じた」
「どう?」
「はっきりは分からないけど・・・服装が、3丁目の夕日っぽいというか・・・」
「女の子は」
「3,4歳くらい」
「あ」
「ん?」
「それ・・・わかめちゃんルックじゃなかった?」
「そうそう!」
「そうかぁ・・・」

掃除当番の人、もう何人かは出て来てたんだけど。
「見た事ないねぇ」
「なにが?」
「あの人たち」
小声で言ってみたけど「どこ?どこ?」って見えないみたいなの。

朝の幽霊 27

2016年05月13日 | Weblog
そうなんだって。

ええ!
「くねくねより怖い!」
あれはくねくねじゃないって。


お向かいのおばあちゃんが、もう20年以上前にどこかに引っ越したって。
身内が自分で引き取ったのか、どこかの施設にか分からないけどって。


なんかピンとこないなぁ・・・。

「あれ?ビールの箱は?」
「テーブルの・・・あれ?」
消えてる。

昨日の夜にはここに有ったよね。
「うん、有った」

娘は?
「わたし見てないって云うか、気にもしてなかったから分からないけど
 なにもなかったと思う」


朝の幽霊 26

2016年05月13日 | Weblog
「3歳くらいだったよ」
娘としたら計算合わない。
町会の掃除とかでも見た事ないしぃ。
年齢的に掃除とかには出ないのと違う?
町会に入ってなかったら出ないだろうし・・・。

あくる朝、玄関前を掃除している向かいのおばあちゃんに聞いてみたら。
「そんな歳のひと町内にはいないよ」との事。

「でも何年か前には居たわ」
「という事は」
「あ、ちがうちがう、誰か身内に引き取られたって聞いたけど」
「子供さんに?」
「いいえ、お子さんは居なかったの」

思い出したわ。
ずっと昔.
昭和何年頃かは忘れたけど。
小さな女の子が居たけど行方不明になって。
「そのままわからないの」
新聞やニュースにもなってたけど・・・。


朝の幽霊 25

2016年05月12日 | Weblog
夏の終わり頃の夕方と云っても、やはり散歩に行くと汗びっしょりです。
シャワーしてキッチンに行くと、テーブルの上にビールのギフトセットが・・・。

「これどうしたの」
「さっき、おじいさんとおばあさんが、ありがとうございましたって」
「ん?」
河原で娘を見つけて連れて来てくれましたって。

「やっと娘が帰ってきました、ありがとうございました」って。
「おじいさんとおばあさんって?」
「うん」
「むすめって言ったの?」
「うん」
「うそ・・・孫でしょ」

で、その人たちどこの家?
それが見た事ない人なの。
あそこの坂を下りたところで居なくなったから、あそこらへんの家の人だと思うけど。

「何歳くらいの人?」
「それがぁ、80かぁ・・・90歳以上かも」
「えぇっ、ほんとに?」

あの女の子3歳くらいだった。
 

朝の幽霊 24

2016年05月12日 | Weblog
小さな女の子でも、夕暮れの中では不気味だったけど、思う間もなくしがみついてきた。
「ひとり?」
頷く。
「おうちはどこ?」
声を出さずに土手道路の向こうを指差した。

私が住んでいるところなので、手をつないで連れて行った。
女の子はおかっぱ頭ではないけど、来ているものはワカメちゃんルック。

いまどき珍しいなと思った。

左右を確認して道路を渡って、坂を下って住宅街に入った。
「おうちはどこ?」
家を確認しようと見たら居なかった。

犬の散歩の時はいつも手袋をしているので、手を放したのに気が付かなかった。
女の子の家はここのすぐ近くなんだろう。
と、思ってウチに帰った。