そらとPornograffittiと♪

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因島日記 2006 1-1

2017年11月05日 10時10分56秒 | 因島日記2006
2006年3月18日朝  

前日の夜、横浜を出て夜行バスで福山へ。

福山から高速バスに乗り因島に入った。
バスに乗ってから降りだした雨はひどくはないが、シトシトとした雨空だ。
天気がよければもう少し気分も明るくなったのに・・・ちょっと残念

もうすでに胸がキリキリと締め付けられるように痛む。
平面の情報でとてもとても遠かった因島
今、目の前にあるのは緑の山とブルーグレーの海。

「来たんだなぁ~ほんとにあったんだこの島」
当たり前の事なんだけど夢の中にまだ半分気持ちを残してきているらしい。


 土生港につき、トランクをロッカーに預け土生を散策する。

土生港は今治方面のフェリーの渡船場 その先に桟橋があり
人だけを渡す船の船着場。

ホテルと病院の裏手にあたる細い道。大人がすれ違える程度の道幅。
自然に口ずさむ♪土生港から海沿いの道を~♪
立ち止まり海と対岸の島を眺める



私が普段みている海はずっと先まで障害物はない。
せいぜい烏帽子岩ぐらい。景色の違いだけでも驚いている。

病院の横をぬけバス通りに出るとフルーツのお店はまだ準備中。
雨の中、カッパをきて出勤してきたオバちゃんが仕度をしている。

前を通り過ぎ、裏通りに入る。見つけた。タマちゃんち。

一時期貼ってあったと言う「ファンお断り」の紙は見当たらない
少しファンの波は去ったのかもしれないね。良かった。
 
まだシャッターの開いていない商店街の一角。
すでに店じまいをしているお店もあるが、寂しさは感じない。島の人は皆元気。

近所の方の会話が耳に入る。柔らかい西の言葉。
普段のハルちゃんの喋りよりもっと自然に聞こえる。

備後弁+標準語のバイリンガルだからね。ネイティブには敵わないか。


ここに来るまでに何度も見た因島の地図を頭の中で立体にしていく為、路地も歩く。

商店街周辺は平地だけど、少し山側に入るとすぐに急な坂で段差をつけて民家が並んでいる。
時間はたっぷりあるので怪しまれない程度に散策していると土生小に出た。
校舎手前に大きなグラウンド。
ここにハルイチ少年とシラタマ少年は通ったのね。

さらに散策していくと因島市民会館のぞうさんすべり台をみつけて登った。高いところっていい眺めよね。

すべって降りようとしたら雨で濡れている。
お尻が濡れちゃうので靴で滑ろうかと、しゃがんで小刻みに前に出たら勢いが付きだした。
可愛らしい佇まいのくせに傾斜が急なんだもん。着地に自信なし。どうにか上に戻りステップを降りる
次はぞうさんをすべるゾウ

地元紙せとうちタイムスの川野さんのblogにあった落書きを見つけた。
いくつかあるうちのひとつはポルノファン。
きっとここまで来て嬉しかったのだろうね。
でもね、昔も今もこのぞうさんは島の子供の遊具なの。
みんなが大事に使ってるものを私たちが汚しちゃダメよ~
これからくるファンの人にも申し訳ないでしょ?
自分たちの勝手な行動が同じファンを苦しめることになるのよ。里帰りした2人も喜ばないよ。気をつけましょう。

公民館の駐車場にあがって海を見下ろすとすぐ目の前に鶴島が横たわる。
晴れていれば綺麗だったろうな。
深呼吸して海の香りを全身に取り込んで道を下り始めた。

さらに戻っていくと田熊の町。電柱にオカノ写真館の看板。
矢印方向にいくと立派でお洒落な建物を発見。
まわりが高さのない家なのでとっても目立っていた。
すぐそばにレコードの三石屋さん。中心地のゆかりの場所はここが端だろう。

来た方向を別の道で帰りはじめると・・海と平行しているはずなのに道はゆっくりと確実に上っている。
車が通るからこの先で合流していると思い、歩いていく。

数分後、後悔した。
まだ上り坂は続き、さらに傾斜はきつくなってきた。
お買い物に出られるおばあちゃまに道を聞いてみた。

「右手に登る道は海に出られますか?」
「ここを上がって細い道をいけば天理教にでれるよ」
「テンリキョウ?」
「大山神社の横の・・」

!!!

お礼を言い坂を登りだす。キーワードで元気がでた!

コンクリートの道は途中で二手に分かれ細い方を行く。
「おばあちゃん、たしかに道だけど・・・農道じゃん!」
息切れしながら突っ込んでみる。
気にならない程度の雨がまたいつの間にか降りだしていた。

みかんの葉に触れるたび葉の上の雨粒が大きな雫になって飛んでくる。
もう何があっても進むしかない。しばらく歩くとようやく視界が開けた。

正面の山に学校が見える 「あれか?」 想像していた建物とチョット違う。
この旅の最大の目的は所縁の校舎を探すこと。

でもあそこまでいけば手がかりはあるはず。
足元で左右に伸びる車道を横断し直線で降りる。
民家の横をすり抜ける小道。雨が幸いし誰にも会わずに一気に下る。
バス通りに出た。気持ちが煽っているのがわかる。
この辺にあるはず!でも人はいない。
ウロウロとする私を追い越して1台の車が止まった。窓をノックし頭を下げた。
運転していたおじさんは驚いた表情を見せ、窓を開けてくれた。

「旧因島高校はどこかわかりますか?」
おじさんは私の肩のあたりを指さして「あんたの後ろよ」
「???」 振り返っても家が並ぶばかり。
わざわざ車を降りてくれたおじさんは私を手招きし、
人の家の庭先まで案内してくれた。
そこにはあの日の映像で細切れに見た校舎が建っていた。

「ワシもわしの息子もここを出たんよ。今は息子は島を出ていっとるが、今朝の新聞にココに
新しい学校を作るって出てたから教えてやろうと思うちょるんよ」
「跡地の計画が決まったんですか?」

このあたりの小学校と中学校が合併し、2つの幼稚園もここに一緒に建設されると教えてくれた。
児童数減少に伴う大規模な工事になる。平成21年に開校予定。
目の前にある高校は近いうちに空き地になるだろう。
おじさんが通ってた頃の様子も教えてくれた。
島に住む人にとって、私たち以上の思い出の場所がなくなるんだ。おじさんの寂しさに触れた気がした。