政財界を牛耳っていた龍賀一族の当主が死去し、帝国血液銀行に勤める水木が出世の足掛かりとすべく、一族の暮らす哭倉村へと向かう話。『ゲゲゲの鬼太郎』を原作とする劇場用作品。水木しげる生誕100年記念作品。
ゲゲゲの鬼太郎は子供のころに見たことがある程度で、あまりよくは知らないんだけど、それでも十分すぎるくらいに楽しめました。面白かった。因習の村で起こる連続殺人事件というミステリ風味が好みだし、その因習もえげつなさがカンストしてて感情を揺さぶられた。水木とゲゲ郎がだんだん相棒になっていく過程もよかった。水木が人間くさいのもよかった。
沙代はあまりにも不憫で悲しくて…かわいらしい笑顔を見せてたけど、あんな地獄のような目に遭いながら生きてきたんだな。東京に行きたいって本当に切実だったんだな。なのに信頼していた水木にまで裏切られた絶望はいかばかりか。水木を好きだったからこそバケモノで殺さず自分の手で首を絞めたのかな…と思うとせつなくなる。
あと時弥もかわいそうだった。せめて魂だけでも救われてくれと思ったけど、最後に浄化されて救われたってことでいいのかな。
水木が記憶をなくしたのもせつない。ちゃんちゃんこを着てれば大丈夫だったのに、ゲゲ郎の妻に着せたからですかね。ゲゲ郎こともわからなくなってしまって、でも完全に忘れたわけではないようなので、何かの拍子に思い出すかもしれないし、そうでなくてもずっと心の片隅にいるのかもしれない。鬼太郎を拾ったあとのことがとても気になる。