私だけあだ名を付けられた。
学校長が憎しみを込めて付けた、
そのあだ名というのが、
「財閥ちゃん!!」だったのだ。
私なんて、財閥でも何でもなく、
一般の家庭に生まれている。
何故、財閥ちゃん!!などと言われるのかと言うと、
当時の学校長の自宅は、母の生家の隣町にあり、
たまたま偶然に母の生家の前を通った時に、
私が母の生家の表門から出てくるのを目撃されたらしい。
校長は、次の日の学校で、
「昨日、奈良で見かけたけど、
あれは、誰の家なの?」
「母の生家で、祖父母と伯父家族が住んでいます」
「君のお母さんの旧姓は?」と訊かれ、
「○○です」と答えると、
「やっぱり、そうかぁ、、、」と。
「何で聞くのですか?」聞き返した。
すると、
学校長が子供時代の思い出を語り出した。
「実はねぇ、、、君の先祖の人達が、
僕(校長)のことを、
貧乏人は、この街の道を汚れるから通るな!と、
馬鹿にされて、いつも石を投げられて、
泣いて帰ったんだよ。
その子の名前が○○(母の旧姓)なんだ。
お坊ちゃま!とか、長者番付とか、
僕には何も知らないけど、散々、イジメられたんだ。
まぁ、そのお陰もあって、悔しさから勉強して、
教師になり校長にまでなれたけどね」
その日、学校から帰宅した後、母に訊ねてみた。
すると母は、暫く考えて思い出したらしく、
「あっ、かなり昔、
それと似たような話は聞いたことがあるわ、
親戚の○○ちゃんがイジメていた!って。
そのイジメられてた男の子が、み○の学校長ってことなの?」
「うん、そうなんだってさ」
何で、そのようにイジメたのか、、、
私には全くもって理解不能だ。
このことで、私は卒業まで苦しむことになる。
その日から校長は、
私のことを「財閥ちゃん!!」と呼ぶようになった。
それが、校庭であれ、廊下であれ、
時には電車の中も、修学旅行とかでも、
至るところで、
突然、「財閥ちゃ~ん」と叫ばれるのだ。
すると、
周りにいる人達が一斉に私を見られる。
そりゃ、もう恥ずかしくて恥ずかしくて、
穴があったら入りたい気分だった。
私自身、母方の身内の資産とか一切関係ないのだ。
だから「財閥ちゃん」なんて呼ばれるのはメチャ困る。
そのことを伝えよう!と、
卒業まで何度も何度も直談判を試みたが、
最後まで取り合ってもらえなかった。
それ程に、校長の怒りはあったのだろう。
友達から、
「ねぇ、なんで校長がホーリーのことを財閥ちゃんって呼ぶの?
みんな名前で呼ばれているのに、どうして?」と、、、
返答が出来なかった。
卒業証書を頂く時にも、
「財閥ちゃん、卒業おめでとう」と、
壇上のマイクで話された。
この時はラスト登校だし、半ば諦めかけていたかな?
自分が経験したことで思うんだけど、
もしかして、子孫が出会う!ってことも
想定して、しっかり考えて行動を取って欲しい。
その時、子孫は辛い思いをすることになる。
結局は、誰1人もイジメないことなんだけどなぁ。