ついて今回は書かれていた。
実在するヒーロー。
いろいろと活躍している人はいるのだが、この時期、松さんが選んだ人は、
当時大リーグ・レッドソックスで活躍していた野茂英雄投手だ。
彼の仕事に対する姿勢を書いているんだけど、それはまさに、
当時、松さんが目指そうとしているところのものを野茂さんに
置き換えることで書かれている文章(エッセイ)のように思う。
>「ウォーリアー(戦士)と呼ばれるほどの肉体的なたくましさを持ちながら、
人の夢さえも叶えてしまうほどの、強い精神もあわせ持っている。
そこに至るまでに努力の日々があったことは言うまでもないだろう。
ただ、その内容は、経験した本人にしか分からないものだし、
私には想像もできない。
ここの文章から松さんって人は努力を大切にする人なんだろうなぁと
いうことがよく分かります。
結果主義ではないってことですね。
もちろん、結果も大切だけど、それに至るまでの努力も考えて人を
みようとするそんな優しい目を持った人なんだろうなぁと思います。
そして、注目すべきところは、後半の部分なんだけど、
「その内容は、経験した本人にしか分からない」という文章。
こういう考えが、当時の松さんを孤独な思いに走らせていたのかも知れませんね。
仕事に対する、仕事の厳しさに対する孤独感。
そういったものが、「松のひとりごと」の第一回目のエッセイによく
表れているように思う。
確かに、役者という仕事は孤独な作業の部分もあるかも知れません。
しかし、思うんだけど、役者さんって、本当に沢山の人に支えられた仕事だと
思うんですよね。役作りとか大変だとは思うけど、そうやって役作りに
集中できる環境にいられるのは、周りのスタッフのおかげでもあるんですよね。
家庭環境のおかげもあるだろうし。
それはさておき。
でも、少し嬉しく思える文章もあるのだ。
>その(野茂さんの)冷静さと高い集中力、
練習にひたすら打ち込む努力があったからこそ、今回の結果
(五年ぶり二度目のノーヒットノーラン)を生み出すに至ったのであろう。
そしてきっと、チームに彼を大リーグの一員として認める愛情があったからこそ、
堂々とマウンドに立てたのであろう。
この文章のどこが嬉しいかというと、
「大リーグの一員として認める愛情があったからこそ、堂々とマウンドに立てた」
という言葉。
そう、確かに練習や特訓も孤独な作業かもしれない。
けれど、そうやって練習、特訓に打ち込めるのは周りの力による
ところが大きいんですよね。
そのことは常に心に留めておくべきことだろう。
周りへの感謝。
今ある自分は周りあっての自分なのだから。
それに気づいている松さんを嬉しく思ったのでした。
しかし、別の見方をすれば、そういった環境を欲していたともとれないでも
ないけけれども。
>野茂選手が勝利を収めたときの表情をみていると、不思議に“安堵”の
顔には思えなかった。もちろん幸福そうではあったけど、それだけではない。
むしろ“楽しんでいる”、そんな表現がぴったりだった。自分が選んだものを
楽しむ素晴らしさ、それを彼の表情から感じた。
今の松さんは、その当時、松さんが野茂さんに感じたものを、
今、松さんの芝居を見ている人に感じさせているんではなかろうか?
その当時の松さんというのは、悩みながら舞台に立っているってイメージが
とっても強かったんですよね。
見ていて「まだ、役が掴めないんだろうなぁ。」とか思えるときがよくあったので。
特に初日あたりなんかを見に行くとそんな感じがとても強かった。
けれども、最近はそこまで激しくは感じないし、
今回のメタルマクベスに関しては、松さんは初日から楽しみながらしてるなぁと
見ている側には見えます。(本人はそうじゃないのかも知れないけど)
まぁ、今回の芝居、最初の登場シーンから楽しまなけりゃ
やってけない!ってところがあるからかも知れませんが・・・>林Bなので。
>プライドを持つこと、楽しむこと、努力すること。
それは誰にでもできる。強さは誰の中にでもある。
野茂投手の仕事を見て、こちらもパワーをもらったような気がするし、
勇気もちょっとだけ湧いてきた。特別なこととしてではなく、
頑張ること、ベストを尽くすような努力をすること、
それは人間のとてもシンプルな気持ちから生まれる行為なのだと思う。
とにかく、松さんはこの「誰にでも」という言葉をこの当初よく使っている。
前回のエッセイ『HERO』の噂話でもよく出てきた言葉だ。
何が彼女をそうさせたのかは私には想像がつかないけれども、
何かが彼女を不安にさせていたのだろう。
でも、それでも、こうやってエッセイを書くことで自分を奮い立たせようと
していたのかなと今、このエッセイを読んでいてそう思う。
第一回目のエッセイにもあったように、何か摸索中だったのだろう。
けれども、当時は次から次へと押し寄せる仕事をひたすらと
とにかくこなしていくしかなかったのだろう。
そんな中で、この「松のひとりごと」のエッセイの筆記は、自分を振り返るのに、
いい機会(時間)になっていたのではないだろうか、とこの三回目まで
読んできてそう思えてきました。
女の人に「HERO」とはあんまし言わないのかもしれませんが、
この当初、松さんが思っていたHERO像に今の松さんは
随分近づいているように思いますよ。
はい、十分松さんも松さんがいうところのHEROです!
選んだ道を楽しんでいますもん。
私も自分の選んできた人生、楽しみたいと思います。
最近、へたれ気味だったので。
それについては、いつか別の日記で書こうと思います。
こうやって、一ヶ月、一ヶ月の彼女の文章を一冊の本にして読めるのは、
前後のエッセイと読み比べもでき、気持ちのつながり、変化を
感じるとこができて面白いなぁと思います。
まだお持ちでない方、『松のひとりごと』おすすめですよ。
最近は、文藝春秋「オール讀物」にて父・松本幸四郎さんとお手紙を
やり取りしている形式の「父と娘の往復書簡」で、
一ヶ月交代でエッセイ(手紙)を書かれているんですよね。
4/22(土)発売の5月号では松たか子から幸四郎さんへの手紙でした。
だから6月号は幸四郎さんから松さんへの手紙で、
7月号が松さんからの幸四郎さんへの手紙となるわけです。
これ、私、読んでないんですよね。
読むようにしよう。今の彼女の考えや思いが分かるだろうし。
「プライドを持つこと、楽しむこと、努力すること。」
これがこの当時の彼女の仕事に対する信念だろう。
今もそんなに変わりないのではないかと思う。
大切な三要素だと思う。
今はもしかしたら、もっと他の言葉になっているかもしれないけれども。
「楽しむ」ことって本当に大切だと思う。
楽しめなくなったら余裕がなくなって、いい結果は出せないですもんね。
周りの人にもいい迷惑な人となってしまうだろうし。
どうせなら、楽しんで、周りの人も楽しい気持ちにできるくらいの
人になりたいもんですよね。
そして、松さんがいうところの誰にでもなれるヒーローになりたいもんですよね。
そう、なろうと思えば誰でもなれるヒーローに。
そのためにも、仕事にプライド(プロ意識)をもって、
楽しんで、努力していこう!
最後にちょっとお断り。
ここに書いてある感想は、私の独断と偏見の意見ですので、
「え~、松さん、この当時こんなことで悩んでたんだぁぁぁぁ。」
と100%受け取らないでくださいね。
私の視点から見るとそういう風に見える&見えたと
いうことなんであしからず。
■当時の松さん
2001年7月発売 文藝春秋『母のキャラメル』
2001.06.13 Release 4thアルバム『a piece of life』
コイシイヒト/雨の色/a bird/another birthday/優しい風/Sha la la/PIANISSIMO/ゆびさき/a piece of life/沈丁花
■『松のひとりごと』
2003年11月30日 第1刷発行
著者 松 たか子
発行所 朝日新聞社
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