Kent Shiraishi Photo Blog

北海道美瑛町の大自然や身近な写真を、
海外へ配信するArtistの呟き。

人間の眼と比較するならカメラはまだまだ・・・。

2012年12月15日 | カメラ&写真
人間の眼と比較するならカメラはまだまだ・・・。

Mt.Tokachi :十勝岳




この写真の色は全て自然な色に近づけています。


撮影情報

12月11日15時35分、北海道美瑛町にて撮影。
カメラ:Nikon D800E
レンズ:Nikon AF-S VR 70-200mm f2.8

焦点距離150mm.
絞りF16、SS 1/30秒、ISO=100.
WB=マニュアル(カラーメータ使用)
AdobeRGB、手持ち撮影、フィルターなし。
ノートリミング。

3,600万画素の解像度・ダイナミックレンジを活かし、
今までのデジタルカメラで出来なかった、
より自然でハイクオリティな作品を創作したい。

僕はそう考えており、
その事に神経を集中させています。

ところで、
皆さんから質問を頂きました。

「この自然な色はどうやって出すのでしょうか?」

実は答えるのがとても難しい質問です。

まず初めに言える事は、
現在最高のカメラを持っても、
カメラの眼で撮影時にこの色を出すのは不可能です!

神様から頂いた我々の眼は素晴らしく、
地球上で最も多くの色を美しく見る事が出来るのです。

人間の眼と比較するなら、
カメラの眼は所詮おもちゃのレベルです!

では論より証拠、
同じ場面をホワイトバランス・オートで撮影した、
Jpeg撮って出しをご覧下さい。



見比べて頂ければ一目瞭然だと思います。

たとえ撮影時に少々WBをいじったところで、
最初の写真のようにはなりません。

今現在、どんなカメラを使っても、
この問題は撮影時には解決しません。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、ここからは少々専門的な事を書きます。

カメラの眼ではWB=ホワイトバランスは、
撮影時に一つしか選択できません。

しかし我々の優れた眼は、
自分が見た地点のホワイトバランスを、
オートで正しく瞬時に選択できます。

この能力はカメラには無く、
我々の「設定」によって決める事しか出来ません。

今回の撮影のように、
夕日が当たる「山」と、日陰の「雪丘」、
どちらも同じ白い雪のはずですが、
見える色が違いますので、
この部分の色温度は当然違います。

ようするにそれぞれWBが違う訳ですが・・・

しかしながら、カメラはどちらか一方のWB、
またはその平均的な数値しか、
撮影時に選択できない仕組みになっています。

よって正しい自然な色(我々が見ている色)を、
表現出来ないのです。

もちろん、画面上で色温度がほぼ同じ状態、
WBがどこでも同じであれば、
人間の眼と同じ色が表現出来ます。



上の写真では、色温度がどこでもほぼ同じなので、
カメラの設定さえ間違わなければ色調整する必要はありません。

結論として、
一画面に複数の大きな色温度の違いがある場合、
カメラの眼は人間の眼と同じ様に色を描写する事が出来ません。

そして一番上の写真の場合、
「空」、「山」、「雪丘」と大きく色温度が違います。

その場合、撮影後に「PCでの現像」によって、
三つに分けて全てに別々のWBを設定します。

技術的にはまだまだ現在の現像ソフトでは、
正直に言いまして難しい面があります。

また納得出来る作品を創作するためには、
それなりの時間も必要になります。

しかしそうであっても、
工夫して切磋琢磨しながらやり続ける事が必要です。

そうやって我々の眼で見ている自然な風景の色に、
少しでも近づけていく。

その結果創作された写真を、
僕は網膜に映る写真、

「Retina Photo」レチナ・フォトと呼んでいます。

現代の写真は、
芸術である事はもちろんですが、
科学でもあると僕は考えています。

よって今までのように、
感性と経験だけで撮っている時代ではない。
論理的な科学の知識も必要だと考えています。

これから自分は、今まで以上に、
未来を見つめて進みたい!

今後は現像ソフトの進化に期待しながら、
この分野の確立に努めたいと思います。

そして最後になりましたが、
間違いなくはっきりしているのは、
我々の眼は素晴らしいという事です!

ケント白石

Kent Shiraishi Photography

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1 コメント

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有難うございました (あるば)
2012-12-19 06:30:51
多忙をいわめるなか貴重な講義ありがとうございました。
今回のレッスンは私の知識でも非常に理解しやすくて、画像を比べながら何度も読み直しています。   色の再現の難しさはわかっていましたが、今度のtopの写真でよくわかありました。
私の現況ではいかに見た目に近づけるか--しか手段はありませんが、少なくともこんな風景に接した時に、今回のレッスンを思いだして「ここのシ-ンにはいくつのWBが必要か?」と頭で考えることはできそうです。
いつも貴重な講義ありがとうございます。
ご多忙な日々を送っておられるようですが体調に気を付けて慌ただしい師走を乗り切ってください。
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