駅名不詳である。この日は山陰本線滝部付近でD51走行写真を撮った後、このD51612牽引の客レに乗り、長門市駅まで移動したところまでは記憶が蘇ったものの、乗車したこの駅が(滝部駅だったか)どこなのか思い出せず、写真にも手がかりになるものが写っていない。単線区間で島式ホームの駅しかわからない。41年も前のことで致し方ないか。
初冬の午後、駅職員の服装と斜光線が季節を物語る。その斜光線が愛用のロッコール28mmレンズに豪快なゴーストを入れてくれた。運転台が露出に引っぱられなくて良かったか。運転席の窓ガラス越に機関士の横顔がシルエットになっている。列車後方に向かって歩く駅職員は、離合列車との交換に所定の位置へと急ぐ様子だ。離合待ちのD51列車と冬の陽の午後。しばし待ち合いのひと時である。
D51列車に乗り、長門市駅で下車した。偶然にもこのD51612号機は1974年11月30日の山陰本線無煙化まで延命し、翌1975年1月12日の広島鉄道管理局主催のさよなら運転を牽引し、2月15日に廃車となったようだ。当時の国鉄はさよなら列車を牽引した当機を記念し、長門市駅前に動輪を保存展示している。
初めて来た長門機関区ではあったが撮った写真が他に残っていない。
Minolta-SRT101+28mm/F2.8 Neopan SS 1972年初冬・山陰本線(1コマは駅名不詳)及び長門市駅構内