映画「とべない風船」を観た。
2023年公開の日本映画。
監督・脚本は宮川博至。
出演は東出昌大、三浦透子ほか。
瀬戸内のある島。
一人暮らしの父を訪ねてきた女。
父は、余命宣告を受けた母を連れ、
この島に移り住んだ。そして、
この島で骨を埋めようとしている。
無口で陰のある男。
豪雨災害で妻と息子を亡くした。
未だに受け止めきれないでいる。
妻の故郷の島に独り住み続けてる。
愛する者の死とどう向き合うのか。
忘れずにいるのはいけないことか。
それは囚われて苦しむことなのか。
形は違えど、誰にでも起こりうる、
普遍的な問題を正面から扱ってる。
宗教的な共通概念に乏しい現在の
日本で、こうした主題を扱うのは
かなり難しいことと思う。
気負いも衒いもなく、それでも
作り手として考える解を、特別な
契機を挿入することなく、淡々と
示した。
宮川氏にとって初の長編作品なの
だそうだ。つい力が入ってしまう
だろうに。その抑制的な姿勢には
好感が持てる。
でもね。
風船を飛ばすのは1回で十分だよ。