「アリスとテレスのまぼろし工場」
という映画を観た。
2023年9月公開の日本アニメ映画。
監督・脚本・原作は岡田磨里。
制作会社はMAPPA。
ほぉ、これは。
大した作品が出来たものだ。
ファンタジーだが、甘くない。
主人公は14歳の男子女子。
だが大人にも見応えのある映画だ。
古い製鉄所の城下町。
爆発事故で時間空間が閉ざされる。
現状の維持と安定を望む大人たち。
大人に従わざるを得ない子供たち。
満ちてくる閉塞感。
破ろうとする者は消えてゆく。
外界から紛れ込んだ一人の少女。
町から出られない男子女子は、
少女を外界へ帰そうと決意する。
いろいろな人がいる。
現状を守ろうとする者。
危機感がなく反応が希薄な者。
現状の閉塞感を嘆くばかりの者。
最後まで夢を追おうとする者。
映画は、誰も完全に否定しない。
何が良いことなのかも示さない。
それが現実でしょ、と言いたげに。
万人受けしない難解さも何のその。
結末もハッピーエンドか判らない。
それでも男子女子を突き動かした
感情だけは、どうしようもなく
確かなものだと思えてくる。