チャイナMBAマネジメント協会

「CMMA: China MBA & Management Association)」

長江商学院 MBAプログラム(その3:カリキュラム)

2012-04-28 | 長江商学院MBA

どうも、長江商学院の石井です。


当校のMBAプログラムは、4月末が前半と後半のちょうど折り返し地点に当たります。1年制MBAの都合上、これまでの前半部分は、必修科目が詰め込まれた過密スケジュールでしたが、先週、最後の必修科目の期末試験が終わりました。現在、スタディグループ活動と試験勉強のない僅かな日々で、かなりの解放感に浸っております。


実は、当校では、その直後2週間にInternational Tripが設定されており、現在、多くの中国人クラスメイトは海外滞在中です。一方、私の様な外国人の留学生は海外に行っても仕方がないのでDomestic Tripを企画し、約10日間の日程で、杭州、上海、重慶、成都と移動し、企業・国際機関・大学訪問、その他観光等をしてきました。

私の主目的は、中国のCoastal areas(北京・上海・広州等の沿岸部)に対するInland(内陸部)の様々な差異を体感することでしたが、最近、政治抗争で注目を集めた重慶市を含めて、短期間でも多くの示唆を得る事ができました。この件は後ほど。


以下では、前回に引き続き、あと2~3回程度、MBAプログラム紹介を続けます。今回は、当校のMBAプログラムの1年間の過ごし方を概観し、次回は、その1年間に学生に提供されるカリキュラム内容に関して書きます。



MBAプログラム日程

長江商学院MBAのカリキュラムは、毎年10月中旬から翌年10月末までの約1年間の中で、10月中旬から2 週間の「準備コース」(当校ではPre-Moduleと呼ぶ)を経て、10月末(11月始め)から始まる本プログラムは、8つの学期(当校ではModuleと呼ぶ)で構成されています(1つのModuleは1カ月半の期間)。



Pre-Moduleの概要

Pre-Moduleは、MBA学生が、正式なMBAプログラムにスムーズに入っていける様にと、学校側が用意したオリエンテーションプログラムです。どのMBAでも入学前後の一定期間、同様のプログラムがあるかと思います。

当校のPre-Moduleは、2週間の期間内に、2泊3日のチームビルディング合宿、財務・統計系の基礎講座、リーダーシップ系講座、レジュメ作成・面接対策・マナー研修等の就職支援講座、教授や外部講師による講演等で構成されています。


MBA学生にとっては、クラスメイトと仲良くなり、クラス全体の雰囲気を知る最初の機会になります。その後のMBAプログラム本番では、4~6人程度のスタディグループを構成し、幾多のグループ課題と格闘する毎日を過ごす訳ですが、この期間で、初めてのグループ活動の雰囲気を初めて知ることになります。

この期間で、中国人クラスメイトの高い英語力を痛感する一方で、エクセルやパワーポイントは日本人や韓国人が得意だったり、議論をファシリテートしたり、ホワイトボードに図示したり、資料に落とす能力に自分の優位性を見出したり等、自分のクラス又はスタディグループにおけるポジショニングの初期設定を調整する期間ともいえます。



8つのModuleで構成される1年間のMBAプログラム

Pre-Moduleを終えると、10月末(もしくは11月始め)から本プログラムがスタートします。以降、本プログラムは、Module.1からModule.8まで、各約1カ月半を1学期とする8つの学期で構成されています。

Module.1(11月開始)からModule.4(翌年4月末修了)は必修科目で構成され、全科目を約60名の全学生が同じ教室で学習します。後半のModule.5(翌年5月開始)からModule.8(翌年10月末修了)までは選択科目で構成され、インターン・就職活動等の学生の個別事情に応じて、取得科目数を調整することが可能です。



Module.1からModule.4までの前半期間(11月から翌年4月末まで)

前半部分である11月から4月までの半年間は、翌年1月~2月の春節休暇(中国の旧正月を含む3週間の休暇)、4月初旬の清明節休暇を除くと、必修科目及び、必修科目に付属するスタディグループ課題、個人課題、予習・復習・試験勉強、さらに、Social Club(学生主体で運営する業界別研究会やスポーツ等のクラブ活動)、Industry Sharing(学校及び学生がAlumniや学外の専門家・実務家を招く勉強会・講演会等)などで、ほぼ毎日、朝から夜までスケジュールが埋め尽くされています。各科目で4~6名の学生で構成する「スタディグループ」での活動が大きな比重を占め、全てを自分1人でコントロールできない面も含めて頭を悩ましつつも、一方で、多くの成功・失敗を経て、MBA生活における大切な経験及び思い出になります。


尚、この期間中の1月には中国・海南省の海南島三亜で「三亜フォーラム」というイベントが開催されます。これは、長江商学院が毎年主催するビジネスイベントで、当校等の学者や経営者による講演やパネルディスカッションで中国のHot Issuesを共有するとともに、当校が擁するEMBA(エグゼクティブMBA)の卒業生・在学生である多くの中国人エグゼクティブの同窓会的な場にもなっているため、MBA生にとっては彼らと関係構築ができる絶好の機会になります。



Module.5からModule.8までの前半期間(翌年5月から翌年10月末まで)

そして、現在4月末に、約2週間のInternational Trip(生徒が自主的に、訪問国およびMBA校・企業訪問、その他娯楽等活動内容を企画するカリキュラムの一環)を終えると、後半のModule.5からは、カリキュラムが全て選択科目に変わります。

各学生が、多くの選択科目を取得して勉強に専念する、もしくは、就職活動やインターンに時間を割く等、個別に動く時間が増えます。私の場合は、選択科目数を抑えて、卒業後の業務に役立つ人脈形成を行う、中国語の学習に時間を割くといった活動に時間を割り当てる予定です。


後半期間中に、各選択科目以外に学校側から提供される学習機会としては、7月後半~8月末までに設定される「Diversified Consulting Project(DCP)」「Internship」と、8月以降の「欧米アジアの海外提携校への数カ月間のExchange」があります。DCPは教授の指導の下で、実際の企業に対してコンサルティングを経験できるカリキュラムになります。ここでのInternshipは、当校が各企業と提携の下に、当該期間に提供されるインターンシップを指しています。もちろん、この機会以外にも、学生個人でインターンを探して参加するケースも沢山あります。

また、最終学期に当たるModule.8は「China Module」と名前が付いており、全て中国市場にフォーカスした選択科目が提供されます。外国人留学生にとっては興味深いところです。このModule.8修了する翌年10月末をもって、当校のMBAプログラムは修了となります。


尚、厳密に申し上げると、10月以降に、海外提携校へのExchangeに行く学生がいる他、長江商学院MBAの卒業資格(the Graduate Diploma)以外に、中国国務院学位委員会承認の学位(the State Issued Master Degree)の取得を希望する場合は、その後、卒業論文を作成し、論文審査をパスする必要があります。したがって、翌年11月からすぐに職場復帰する学生もいれば、就職活動を継続したり、海外校に交換留学にいったり、卒論に取りかかったりと、学生によって、学生期間の終了時期は様々になります。



以上、MBAプログラム1年間を概観してみました。この情報を前提に、次回は必修科目・選択科目等のカリキュラム内容面に関して、少し深堀りしてみます。