もとより視覚訴求の優劣で、集客や売上に差が出るというのは当然の事でしたが、今後は、お約束(形式)を求め、同じようなプレゼンテーションを繰り返す者と、その時、その場、その人に応じた訴求を考える者との格差はさらに開いていくと予想できます。
◀店頭オブジェも注目の獲得に復権か?
キービジュアルも近年では、ティザービジュアルと呼ばれるように、訴求要素(焦らす)をより明確にした使われ方が主流となりました。
これは単に強いインパクトで、不特定多数の目に止まる事を期待した昔ながらの手法から、訴求対象を絞って既視性と注目度のバランスを考慮する制作手法へシフトしたとも考えられます。
◀店頭オブジェも注目の獲得に復権か?
キービジュアルも近年では、ティザービジュアルと呼ばれるように、訴求要素(焦らす)をより明確にした使われ方が主流となりました。
これは単に強いインパクトで、不特定多数の目に止まる事を期待した昔ながらの手法から、訴求対象を絞って既視性と注目度のバランスを考慮する制作手法へシフトしたとも考えられます。
その理由は単純で、従来通りでは期待する結果が得られなくなったからです。
キービジュアルもティザービジュアルもその目的は同じで、商材であるコト・モノの存在に注目を集める事になります。そこで今回は「キービジュアル」について改めて考えてみます。
キービジュアルもティザービジュアルもその目的は同じで、商材であるコト・モノの存在に注目を集める事になります。そこで今回は「キービジュアル」について改めて考えてみます。
▲商業撮影をアピールするキービジュアル
【その画は何のために?】
最初に「キービジュアル」についての確認です。
キービジュアルとはPR用途の静止画像(写真やイラスト)で、主な目的はお客様の注目を得る、次いで興味喚起です。環境によって「メインビジュアル」とも呼ばれます。
【その画は何のために?】
最初に「キービジュアル」についての確認です。
キービジュアルとはPR用途の静止画像(写真やイラスト)で、主な目的はお客様の注目を得る、次いで興味喚起です。環境によって「メインビジュアル」とも呼ばれます。
そしてキービジュアルには以下のような特徴があります。
1.メッセージ性の付加
コンセプトやベネフィット(客の利益)などが表現されている
2.複数の媒体で共通使用
複数媒体(紙やWEB)での共通使用が前提に画面設計される
3.強いアテンションバリュー
ありきたりでない独自性やインパクトを持つ
4.比較的長期の露出が前提
コンセプトやベネフィット(客の利益)などが表現されている
2.複数の媒体で共通使用
複数媒体(紙やWEB)での共通使用が前提に画面設計される
3.強いアテンションバリュー
ありきたりでない独自性やインパクトを持つ
4.比較的長期の露出が前提
多くの場合、1クール(3カ月)~4クール(1年)
映画(興行)やファッション、化粧品、自動車業界など多くの分野で世界的に古くから使われてきました。
▲複数の画面比率に対応した画面設計
15年ほど前に、その有用性が再評価され、近年に至っても様々なアプローチが続いています。改めて周囲を見渡せば、皆さんにも多くのキービジュアルと思しき画が見つけられると思います。
ただ一つ残念の事に、このビジュアル手法やその有用性については、中小規模の国内事業者さんたちには浸透していないという事実があります。
もちろん積極活用している企業さんもあるにはあるのですが、私たちの肌感覚としては 1~2%といった印象です。理由としては、販促・広告宣伝を不要、あるいは過小評価しているという事が挙げられるでしょうか。知り合いの中小企業診断士の先生によれば、事業計画に販促・広告宣伝費を全く含まない事業者さんは本当に多くて、金融審査でもその点を指摘される事があるのだとか…
◀要望を伝えて見積を取る
話は少し脱線しますが、キービジュアルに限らずプロモーション・PRに必要なツール制作には、当然それなりの費用が発生します。実はそのコストを嫌って自作で済ませようと考える事業さんが少なくありません。過去にはロゴやパッケージ、包材まで自作するという強者も…
これは販促・広告宣伝に対する認識の問題だけではなく、相場感や対費用効果などの知見が薄いといった事情もあると思われます。適正な予算判断がないと、先の話とは逆に、ムダに多額の販促・広告宣伝費をつぎ込んでしまうといった事態に陥る事もあります。
ただ必要なツール制作にコストを投下できない事情がどうであれ、マーケットにおけるビジュアルの重要性は販路側も認めるところです。むしろビジネスであるなら周辺ビジュアルはきちんと整備されていて当然!という認識は、販路関係者に限らず消費者、つまり皆さんも同じなのではないでしょうか?
店舗や商材によっては、手作り感が市場の好感に繋がるという現象は確かにあります。
しかし一般論として、全てにおいてプロ級の腕前を自認するのでなければ、自作のプロモーションツールが威力を発揮する売場は限られる、という現実は承知しておく必要があるように思います。
◀小型の印刷物は今も有効
【独自性をどう作る?】
キービジュアルの目的は、商材であるコト・モノの存在に注目させる事です。それは不特定多数の人にではありません。ある特定の人たちに、です。
つまり「それ」を欲しがる人、あるいは興味を持つだろう人たちの注目です。参考:3秒の壁って何だ?(攻略編 その1) - Co-BusinessMate
注目を求める範囲は広ければ、それだけ多くの注目が得られる!と考え、誰も彼もをターゲットに据えると、以前に何処かで見たような訴求となってしまい、結局は注目を得る機会を喪失するかもしれません。
そしてビジュアルの露出機会は、ほとんどの場合で複数になるはずです。それらには必ず何某かの共通性やメインとなる “場” が見つけられるはずです。参考:3秒の壁って何だ?(攻略編 その2)
そして、その時点でのトレンドをどう取り入れるのか?を検討します。ただしキービジュアルに限れば、流行りにのる事はお勧めしません。原則的には独自の主張を目指した方が注目の獲得を期待できるでしょう。参考:3秒の壁って何だ?(攻略編3) - Co-BusinessMate
◀小型の印刷物は今も有効
【独自性をどう作る?】
キービジュアルの目的は、商材であるコト・モノの存在に注目させる事です。それは不特定多数の人にではありません。ある特定の人たちに、です。
つまり「それ」を欲しがる人、あるいは興味を持つだろう人たちの注目です。参考:3秒の壁って何だ?(攻略編 その1) - Co-BusinessMate
注目を求める範囲は広ければ、それだけ多くの注目が得られる!と考え、誰も彼もをターゲットに据えると、以前に何処かで見たような訴求となってしまい、結局は注目を得る機会を喪失するかもしれません。
そしてビジュアルの露出機会は、ほとんどの場合で複数になるはずです。それらには必ず何某かの共通性やメインとなる “場” が見つけられるはずです。参考:3秒の壁って何だ?(攻略編 その2)
そして、その時点でのトレンドをどう取り入れるのか?を検討します。ただしキービジュアルに限れば、流行りにのる事はお勧めしません。原則的には独自の主張を目指した方が注目の獲得を期待できるでしょう。参考:3秒の壁って何だ?(攻略編3) - Co-BusinessMate
▲レザークラフトを知る人に向けた訴求
これで作画プランの発想に必要な条件(外部要因)は決められると思います。すなわち、誰に向け、いつ頃どのような媒体で、どうトレンドを加味するのか?という事柄です。人と場所と時期については、ある程度明確な想定が可能でしょう。
これで作画プランの発想に必要な条件(外部要因)は決められると思います。すなわち、誰に向け、いつ頃どのような媒体で、どうトレンドを加味するのか?という事柄です。人と場所と時期については、ある程度明確な想定が可能でしょう。
しかし、こうした条件だけで「独自な画作り」は難しいかもしれません。
実はさらにコアとなる重要なファクターが2つあります。
“何” を “何故” 伝える?を決めましょう。
キービジュアルにとって最も重要で、他のビジュアルと異なる点として「メッセージ性」の付加があります。
“何” を “何故” 伝える?を決めましょう。
キービジュアルにとって最も重要で、他のビジュアルと異なる点として「メッセージ性」の付加があります。
それは、カッコイイ! カワイイ! キレイ!などその外観の内に、企業や製品あるいは提供サービスは “何” をお客様に提供し、それは “何故” なのか?を盛り込むという作業になります。
冒頭の撮影レンズがモチーフの画像は、商業写真の制作サービスを示すキービジュアルです。特殊レンズと企業ロゴらしき文字でそれを表現しています。背景の青はコーポレートカラーで、奥を明るく手前を影にする事で「ビジュアルで企業の未来を明るく」というコンセプトをメッセージしています。
物を浮かせて魅せるという手法自体はよくあるものですが、その影に投影されるロゴであまり見ない表現としました。
冒頭の撮影レンズがモチーフの画像は、商業写真の制作サービスを示すキービジュアルです。特殊レンズと企業ロゴらしき文字でそれを表現しています。背景の青はコーポレートカラーで、奥を明るく手前を影にする事で「ビジュアルで企業の未来を明るく」というコンセプトをメッセージしています。
物を浮かせて魅せるという手法自体はよくあるものですが、その影に投影されるロゴであまり見ない表現としました。
上の画像は、薬師如来の持つ薬壺をイメージして制作された作家物の漆器です。新型コロナ期で「病患が祓われますように」という作り手の願いを表現しました。物が置かれた鏡面表現はありきたりな手法です。これに波紋をつけて仏の静謐を、添えられた山帰来(赤い実の植物)は治癒をメッセージしています。
さて、皆さんの中には「言葉の説明はともかく、画でそれは解らない!」と疑問を感じた人がいるかと思います。その通りで、メッセージ性の付加はその伝達が目的なのではなく「独自性」の獲得手法の一つです。
独自性!と言ったところで、そうそう簡単に発想できるものではありません。そこで製品やサービスに込められた願いや動機の視覚翻訳を試みれば、必然的に他と違った表現になるという訳です。
それに外観(見た目)だけを追った表現と、テーマ性を追求した表現を人は意外と敏感に感じ取るものなのです。皆さんも普段の生活の中で、形式通りの対応と、心ある対応との差を容易に判別しているのではないですか?
今回は「キービジュアル」の意義と作画設計について、コスト面の話を交えつつ考えてみました。販促費を予算にどう組み込むか?は、私たちにとっても常に悩ましい問題なのです。
作画設計の次は「PDCAは使えない?」です。
マーケティングの話題で頻出するPDCAですが、実践運用は無理!って思った事…ありますよね?