
こたろうくんは何年か前の冬になる手前にやって来た。あんまりお家に入れろとうるさいので、根負けして入れてしまった。狐顔で、狐太郎と命名。夏は空き地の草むらでカナヘビを捕っては家に運んでくる毎日。冬は毎日ケンカの連続…そんなケンカばかりの毎日で、右の前足を噛まれていた。治ったかと思えばまた同じ所を噛まれ…去勢をしておけば少しはよかったんだけど…そんなある日、狐太郎は姿を消した。もうぜんぜん帰って来ない…中途半端な半ノラ状態でいさせた事を後悔した。ましてあの怪我のまま…
季節は冬から春へと移り、桜の花もちらほら…庭の方から鳴き声がした。あの聞きなれた声は…まさか?ガラス戸を開けると狐太郎がいた。いなくなってからゆうに半年は経っていた。首には大きな鈴がぶらさがっていた。(ドラエモン?)去勢もされていた。前足の傷はもちろんきれいに治っていた。そうしてしばらくスリスリとご挨拶をひところして、いつも寝ていた定位置のベッドに寝た。あの頃と同じ様に。でもそのうち開けろというので戸を開けたら出て行った。いや、帰って行ったのかな…新しい住家へ。でもしかし、今時なんてありがたい人がいるんだろう!もう感謝、感謝。もう狐太郎はうちの猫では無いけれど、名前も何て呼ばれているのかな…どうも何件か先のご近所な事は確かで、裏の方の道なき道のフェンス越しに、狐太郎は毎日の様に朝挨拶にやって来る。で、しばらくしたら出せと鳴き、帰って行く。何か、一応うちの子だった事の確認作業なのかな。ホント、GPSでも付けたいくらい。