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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

CRスナバー回路は磁気リセット回路

2010-11-03 18:07:36 | 電子回路
本回路はフォワード型スイッチング電源の一例です。トランスの1次側回路に注目してください。スイッチングトランジスタのCE間に、点線で囲んだCR回路が取り付けてあります。(幾つかのメーカー製電源を調べてみましたが、このCR回路はすべて付けてありました)

トランジスタがスイッチングすると、トランスの1次側の自己インダクタンス:L1によって、開閉サージが発生します。上記のCR回路はこの開閉サージを吸収するためのもので、一般にスナバー回路と呼ばれます。ここまでは問題ないですね。

しかし最近まで、もうひとつ疑問点が残っていました。
トランジスタのスイッチングによって1次巻線に流れる電流は一方向のみです。すると、コアのBH曲線に見るように、電流がゼロになってもコアが磁化されたままになります。この残留磁束をリセットするためには、1次巻線に逆電流を流さなければなりません。

そこで、ハタと気づきました。CRのスナバー回路がサージ吸収する原理です。トランジスタがオフした時に、L1の励磁電流はスナバー回路のCに流れ込み電荷として蓄えられることによってサージ電圧を吸収します。しかしこの回路はL1とCによる直列共振回路になっているので、L1の励磁電流がすべてCの電荷に置き換われば、こんどはCからL1に向かって逆電流が流れます。この逆電流がL1の残留磁束をリセットするのです。(抵抗RはLC共振による振動を適切に減衰させるためのものです)。むしろ、この磁気リセット機能がCRスナバー回路の主たる目的でしょう。これに気づいたときは、目から鱗でした。

まとめると、このように用いられるCRスナバー回路は、サージ電圧を吸収すると共に、コアを磁気リセットするという、とても巧妙な回路なのですね。

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4 コメント

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スナバ回路 (kaoaru)
2013-01-30 12:00:11
聞いただけでは「砂場回路?」って思える言葉ですが、これを知っている人はあんまりいない。

ブラウン管式テレビ受像機には必ずついてたんですけど・・・。

ブラウン管の帯磁対策に電源ON時にブラウン管に巻きつけてあるコイル(?)で消磁作用をもたせていたのがソレでしたけど・・・。

液晶画面全盛の現在では意味なくなったしなぁ~!
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砂場回路 (ホロン)
2013-01-30 20:35:56
わたしも最初に聞いたときは砂場回路かと思いました。(笑)

ブラウン管テレビにはスナバー回路が付いてたんですか。それは知りませんでした。スナバー回路で消磁する。すなわちこれも磁気リセットということですね。

それにしても、テレビの中身までよく御存じですねえ。
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高校3年の1年間 (kaoaru)
2013-01-31 12:39:58
3年生ともなると、電子工学なんてやることがないものです。(それよりも就職のほうが問題!)

1年間「テレビジョン受像機」がカリキュラムでした。

工業高校って、そういうものだったのですよ!
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就活 (ホロン)
2013-02-01 00:55:22
我が家の娘もこの間まで就活でワイワイ言ってました。
私はほとんど風来坊のような暮らしをしてましたので、就活などとは縁が無かったですねえ。

「テレビジョン受像機」のカリキュラムを一年間やるんですか。いいですねえ、なんか羨ましいような。一度は専門的な勉強を授業でやってみたかったですね。文科系の私の電気は、ほぼ100%独学でした。
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